〇〇八

『マダラメイアと幻日教団について』


 マダラメイアはローランダルク王国の創成期から信仰されていた土着神である。 大陸を東西に二分するミラージ山脈に遍在し、炎と幻を司るとされている。

 ローランダルク王家は彼女と契約してミラージ山脈を切り開く権利を得たが、その代りにただ彼女のみを信仰することを求められたという。

 炎を司る女神の信仰と東蛮の砂漠地帯における火炎信仰とが似通っているのは偶然ではないだろう。ローランダルクの祖先が東蛮から流れてきた民族たちの集合体であることは有名である。

 そうでなくても、火や熱が光を歪めて幻を見せるのは道理だ。


 ローランダルクにおいてこのマダラメイア信仰を司るのが『幻日教団』である。 元々はローランダルク王家に仕えて宗教的祭事を取り仕切る一部署に過ぎず、信仰の形骸化に伴い他宗教の流入を認めたローランダルクの中では不遇な立ち位置に在った。

 現在、彼らは災害を生き残った遺民をまとめ上げてミラージ山脈の西側に里を築き、厳重に都への道を封じている。

 祭祀長ゲモン=アゾニクスはローランダルクの滅亡についてこう語る。

「ローランダルク王家は契約を違えたせいでマダラメイア様を怒らせたのだ。怒りを発した神に許しを乞う術は無いが、ただ【しるし】を持つ巡礼者たちだけが都に立ち入り彼女の怒りを慰めることができる」

 と。

 故に、彼らは【しるし】を携えて来る者達を歓迎し、そうでない者達に対しては排他的な態度を取る。

 もし【しるし】を持たずに里を訪れたならば、教団の手荒い歓迎を受けるかもしれない。


 以上の情報を閲覧したならば、【〇〇四】に戻りたまえ。

https://kakuyomu.jp/works/1177354054888453186/episodes/1177354054888454991

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