〇〇七
『亡都と財宝について』
ローランダルク王国の滅亡は冒険者たちにとって絶好の好機であった。
彼らは危険や謎、そして財宝の可能性に目ざとい。
自らの身を顧みずにローランダルクに飛び込んでいった。
それに見合う対価は確かにローランダルクに存在していた。
ローランダルクには『六門の聖具』と呼ばれる特殊な力を持った六つの武具の存在が伝えられており、闘技場の英雄や将軍、宰相らなどに与えられたという。
これらには不思議な力が宿っており、一軍にも勝る武力や叡智をもたらし、ローランダルクの繁栄に貢献していた。
この『六門の聖具』や王家の財宝を狙った冒険者たちであったが、ミラージ山脈を越えた峰の上から都を見下ろした時、彼らは息を呑んだ。
都を構成する街々が混ざり合い、沈み、奇妙な配列を成しているのである。
風景画の題材、名勝として知られていたメンシス湖は干上がり、炎に包まれた人型の何かが街を這い回り、炎と蒸気の合間を半透明の魚が泳ぎ回っている。
それに加えて、訳の分からない幻が絶えず視界の端をちらついては、いつの間にか消えているのである。
冒険者たちの中でも特に熟練した老冒険者はこの都を評して、
「ああ、街が人を試そうとしておる。老いたこの身では、とても挑めぬ……」
と歎じ、冒険を取りやめて引き返してしまった。
彼の判断は正しかったと言える。
廃都に乗り込んだ冒険者たちは誰一人として生きて帰らなかった。
そして、得体の知れない幻影の壁がローランダルクを押し包んだのである。
以来ローランダルクは『幻日教団』と都を包む幻影によって封印され、マダラメイアの【しるし】の出現まで亡都に挑む者は現れなかった。
以上の情報を閲覧したならば、【〇〇四】に戻りたまえ。
【https://kakuyomu.jp/works/1177354054888453186/episodes/1177354054888454991】
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