衣替えの詩
誰にも興味がないという顔をしていたあの子に嫌われてみたかった。痛覚だけが、その輪郭を丁寧になぞって、夏と冬には、ぼやけたからだが淘汰されてしまうこと、誰にでも優しくする人は実は自分にしか興味がないこと、こっそりかいた落書きが誰にも咎められなかったように、地球儀にペンを突き立てる、ささやかな反逆だった。
「指先だけで人が死ぬ時代に、きみは何を求めているの」
誰かが好きと言った、誰もが好きと口を動かした。
からだのなかに春が滲んでしまったらもう、死ぬしかないのかもしれないね。
いま、誰も知らない小説を好きになるのは、五十年後、また読みたくなっても見つからない寂しさが恋しいから、宇宙だけはきっと君を拒まないよ。
何もない空だけは、きっと。
春と純潔、あるいは死 雨水あめ @clarte_i
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