プラネタリウムの詩






  「まるで銀河ね」


アイスが溶けていくように、これこそが世界の秘密そのものなんだ、と色褪せたおもちゃの宝石を引きずって、引きずって歩いている。ひびが入るたびに綺麗になるそれを羨むことは決してなく、誰かの足音で世界が軋んでいく、極彩に飲まれている、それはまるで、



  まるで銀河みたいな、



満たされていたくないから、空はいつも頭上にあるのでしょう。心臓のかけら、最後のピースはきっと永遠で、液晶に映る君は、いったい誰なのかと、目を閉じる。真夜中、コンビニの店員が興味なさげに視線をそらしてくれて嬉しいのは、あの傷だらけの宝石が溶けて虹彩を少し、歪ませているからよ、ねぇ、この街に沈む浸透圧が今、朝焼けに透かされそうになる肌を必死に撫でている。



  まるで、銀河みたいな、

  


  春がいた。













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