明日香
夏休みが終わって学校に登校し始めると、学校って今まで私が思っていたよりもつまらなくないんじゃないかって思い始めた。
慣れるまでは嫌で仕方なかったお勉強も、頑張ってやってみたらできないこともないし、何よりお母様や姉様たちがたくさん褒めてくれるから嬉しい。
虫を捕まえたり四葉のクローバーで押し花を作ったりしても褒めてくれなかったのに、勉強をすれば褒めてくれる。
今まで勉強をあんまりしてこなかったから過去の姉様たちと比べたらまだまだなんだろうけど、頑張ればきっと追いつけるわ。今はそれを目標に勉強しているの。
人間のお友達もできたわ。いままで世界を見渡して素敵なものを見つける遊びをしていたけれど、お友達とお話しするのも悪くない。流行りの話題になるとついていけなくなるときもあるけど、あははって一緒になって笑っていれば何となく楽しい気分になる。何よりわたしを見て話しかけてきてくれることが嬉しくって、お友達といるといつでも笑顔になれる。
素敵なものを見つけたらところ構わず声に出してしまうことを辞めた。
お友達には変な目で見られちゃうし、お母様や姉様たちはそういうことを言った後はしばらく見向きもしてくれない。だから素敵なものを見つけたら心の中で喜ぶことにしたの、心までは誰にもわからないでしょうから。
大好きだった魔法が出てくるお話も最近あんまり読む気が起きない。たしかに楽しいのだけれど、お勉強をして褒められたほうがもっとずっと嬉しい気持ちになるから。
たくさん頑張ったテストの結果を見せて褒められた後お母様に尋ねる。
「ねえお母様、わたしのこと好き?」
「ええ明日香、大好きよ」
お母様に抱きしめられる。
わたしは認められている。
わたしは今、とっても幸せ。
少しだけ変わった子 白情かな @stardust04
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます