第68回 キャラの喪失は魅力の喪失か?(下ネタ有)


 超大型連休の後は、超大型五月病が日本関係者を悩ましているという昨今ですが、意外と僕は大丈夫でした。昨日からボスが2週間ハワイにバケーションに行ったからでしょうか。普通に休みをとる環境が、稀代の10連休を特別なものと思わなくしたのでしょうね。本当に「フレックス上等、残業は非効率、休みは権利だ」という姿勢は見習うものがあります。


 日本はどうしてもだからしょうがない、とか属人的な性質で判断されますからね。いわゆるキャラクターというもの。そのキャラが根付いたら勝ちって実際どうなんだ……。


 このところ久しぶりに会う友人が多かったので、懐かしい感覚をよく覚えます。職場に出張に来た同期も「最初はバカみたいだったけど、きちんと応対できるようになってきた」と常務執行役員からお褒めの言葉を貰ってました。キャラ変ですね。いいなぁ、僕もいつかはきちんと受け答え出来るようになるんだろうか。恋愛事情の話になって「はい! いわゆる草食系と言われるそれです!」とはきはきと答えたら呆れ顔になってたしなぁ。


 話をもとに戻しますが、僕は特筆すべき個性があまりないプレーンな人間なので、キャラが欲しい。第63回(※1)の「キャラが立ってる人……。つまり、個性が欲しいのか?」というコメントに酷く共感しました。


 しかし、現状、僕はによりキャラが立ってきました。リアルな友人関係の中で自覚しています。これも高田純次ごとく軽やかにエロくなりたいという目標のもとの成果とも言えますが、最近、友人に言われて嬉しかった誉め言葉がこちら。


「爽やかな童貞」

「童貞界のパイオニア」

「童貞王」


 そんな紹介を頂けるようになりました。

 でも王はちょっと言い過ぎですね。童貞正二品くらいかな、正二品は日本でいうところのそうろうの位。童貞でそうろう……。(言いたかっただけ)


 とにかく、上記はダーウィン賞(※2)のように名誉ある不名誉ではなく、不名誉がちな名誉だと捉えています。


 女子高生の娘を持つシングルマザーに迫られたり(アメリカ人)、初対面のインド人の女性と泊まりの旅行に行ったり(事実ですがミスリードしてます)、彼女でもない女性とホテルに泊まったり(色々あったんです)――と、そんな逸話を話していたらいつの間にか、「童貞の中でも先を進んでいる童貞」という評価を貰えるようになりました。、彼女も数名いましたし。


 正直、かなり美味しいんですよね。

 

 恋愛は人並みに経験していないくせに、変に経験を積んでしまっている。そのキャラが立っているので楽なんでしょうか、意外と恋バナをみんな話してくれるんです。コラムとか一般論で理解はしているので、普通に納得してくれることもあります。


 で、最後に「でもお前は童貞だけどな」とかツッコミが入るととりあえずウケます。もちろん、キャラが分かってる人に限りますが。


 この歳になってくると恋バナと言っても結婚とか、深い話になってくるので、僕も真摯に対応します。深くて真摯で紳士だからこそギャップが効いてくる。


 そんな自分のキャラが好きです。


 でも、同時にこのままではいけないことも分かっている。

 いつかは手放すときがくる(と思っている)ので、その時僕は何を拠り所にウケを取りに行くのか、という問題が付きまといますね。


「キャラの喪失は魅力の喪失か?」という疑問です。


 これは作品の中でも考えているところです。キャラ付けというものをして生まれた登場人物はそのキャラがぶれたら魅力も喪失するのだろうか。


 キャラがぶれるというのが分かりにくいですが、その人の特徴と言われるものと矛盾したら、ということでしょうか。特徴も一つだけではないと思うので「目に付く特徴」ですね。


 クールなイケメンが、暑苦しい熱血漢になったら。

 遊び人が、遊ばなくなったら。

 童貞が、卒業したら。

 おしとやかなお嬢様が、闊達な庶民になったら。

 ひねくれた主人公が、真人間になったら――。

 

 簡潔に言って、魅力の喪失だ。と思っています。

 但し、一部の。


 人は一貫性のある、筋の通った考えや行動に魅力を感じます。だから「童貞」や「信念をもった人」に惹かれる。説得性をもっていて、心に響く。


 でも、もともと人間なんて矛盾した考えを持つんです。それでも魅力を持った人はいます。ほら周りを見てごらんなさい、童貞じゃなくとも魅力的な人はしこたまいますね。

 

 言葉もそうです。同じ言葉でも矛盾した意味合いを持つ言葉なんていくらでもある。思考に試行を重ねてやっとの思いで出した発言でも、相手によっては受け取り方が逆になり得る。でも、そんな言葉に僕は魅力を感じる。


 キャラが変わっても魅力を失わない人がいるのは、他の部分が補っているからです。小説では人物との付き合いが短い分どうしてもその他の魅力が受け取り辛い。だから、魅力の減り方が大きい。だから、小説内でキャラを変更させるのは難易度が高いと思います。多重人格とか。それでも面白いのは凄いですね。


 でも、現実の場合はそれだけがキャラではないから、別のキャラになるだけです。


「元童貞のAskew」とか、「深い眠りから目覚めた子猫」とか言われるんでしょう。

 

 元童貞ってつくほどネタになる。

 そう思うとキャラが全て死ぬわけではないと思います。

 

 誰かを楽しませて、自分も楽しい。


 そんなキャラは無数にあります。

 今のキャラが全てと思わないこと。


 どんな人でも魅力のある部分が一つなんてあり得ないと思います。

 今のキャラに隠されたもっと魅力のある部分が後から掘り出されるかもしれない。


 そう思うと、魅力のある「童貞」というキャラを喪失することは惜しい気もしますが、一概に悪いとはいえないですね。

 




 さて、僕はいつキャラが変わるのでしょうか。

 それを楽しみにして今日も僕は酒を飲みます。







 ※1 第63回 面白い人

    https://kakuyomu.jp/works/1177354054888425664/episodes/1177354054889259640

 ※2 ダーウィン賞 「愚かな行為により死亡する、もしくは生殖能力を無くすことによって自らの劣った遺伝子を抹消し、人類の進化に貢献した人に贈られる賞である」Wikipedia

 本当におもしろいので興味あればググってみてください。


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