第65回 自分探しの旅って悪いことかな?
数日エッセイを更新していないとなんだか手持ち無沙汰になりますね。
キーボードに向かう手がわきわきしてきます。『あれ、なんだか、思考が、遅れてくるよ』みたいな感じで先に文字を打って、後からガシガシ消していく。見切り発車万歳、勢いだけで書き始めます。そして竜頭蛇尾に終わる。いやいや、竜とはそんな大げさな。瞬発力だけはノミのようで、あとはナマケモノのごとく、のへーっと万策尽きるのがいつものこと。せめて痛くないようにどうとでもなーれ、と思いながら投稿しています。
さて、今年は例を見ない大型連休で楽しんでいる方も多いでしょう。例に漏れず僕も連休をとります。
じゃあ休んで令和を祝うのか――なんてことはなく、はい、明日からニューヨークへ行って参ります。日本から友達が来るのでね。へへへ、どれだけへっぽこか見せてやろう。うなずきだけはアメリカナイズされた実力を見せてやろう。もしかしたら見つかるかもしれない、ペラペラと英語を話す自分が。気温5度のナイアガラの滝に打たれたら見つかるかもしれない、思いつきもしなかった名作のアイデアを持った自分が。あまりの寒さと迫力に英語どころか日本語の語彙すら吹き飛んでいきそうだけども、その時はその時だよね。
ということで、今日は「自分探しの旅」について。
はい、ここまでが前置きでした。1,000文字目標の7割を前置きに使いました。これだからぐだぐだと長(駄)文になるんだ。反省しろ。そして、残り300字でまとめられそうにもありません。そんな自分は見つかっていません。メーデーメーデー、自分が行方不明です。はて、そんな自分なんていたっけな。
じゃあ、旅に出て探しに行くか。
それが「自分探しの旅」だと思っていませんか?(唐突な問題提起)
はっきり言って、そんな「自分探しの旅」は意味不明です。皆さんもお察しの通り、訳も分からない想像上の自分なんて探しても見つからないに決まっている。自分は自分なのに、何を探しに行くんです?「知らなかった自分」なんて後付けですよ。記憶の改竄です。切羽詰まった時に出来るなら元から出来たに違いない。「実力以上の自分は出せない」んです。出せたら、それが実力でしょう?
ここまで言っておいて何ですが、僕は「自分探しの旅」が大好きです。後ほど書こうと思っていますが、今迄幾度となく僕は「自分探しの旅」へ出てきました。
僕はそんな旅で何を見つけてきたのでしょうか? すでに書いたように理想の自分なんて幻想ですからね。率直に言って、「自分探しの旅」とは「現状追認」いわば「自分のへっぽこさを確認する旅」だとなんとなく思っています。
「理想の自分」――ではなくて、むしろ「ダメな自分」に打ちひしがれるのが「自分探しの旅」の醍醐味なのかなぁ、と。
もう四半世紀以上生きてくると自分のことは分析出来ていますよね。何が得意で、何が苦手か。どういう風に見られやすいか、実際の自分の性格はどうか。でも、そんなことは日常という連続した非日常の中ではいつの間にか気付きにくくなるのです。脳は常にサボる道を探しているので、同じ反応であればスキップしてしまう。
だから「自分探しの旅」が必要です。
普段とは全く違う環境に一人で乗り込んでみる。「多分、出来るだろう」と思ったことをやってみる。繋がりも何もない人と居酒屋で喋ってみる。
そうすると、自分の輪郭がシャープになります。僕はその感覚が好きです。「あぁ、なんて自分はへっぽこで、イワシ野郎で、ミジンコほどケツの穴の小さい男なんだろう」「はぇー、みんな凄いなぁ」という感覚が。
そしたらね、自分が見つかるんですよ。やっぱりダメな自分がね。すると、その経験によってちょっと頑張れる。あんな人になりたいな、とか、あんなことやってみたいな、ってなる。更に自分のへっぽこさは笑いに変わります。人の不幸は蜜の味ってね。
そんな旅が「自分探しの旅」だと思います。
だから、僕は「自分探しの旅」が好きです。
どこまで行ってもダメな自分は変わらないのですから、じゃあなるべくダメさを引き立たせる場所に行こうかな、そんな経験をしようかな。そしたら、ちょっとでも自分も周りも楽しくなるはずです。
旅は好きだけど、荷詰めと片付けが大嫌いな自分も絶賛発見中です。早く荷詰めしないといけないのに、こうやって長々と文章を書いています。あぁ、やりたくないよー。
ともかく、今回も多分色んな自分が見つかりますね。
1年近く海外に住んでいるのに全然英語と料理が上達しない自分とか。なまじ調べただけに知った気になって迷子になる自分とか。パフォーマンスを楽しんでいたらお金をせがまれて断り切れない自分とか……。
まぁ、それも後になって「お前、全然頼んないな! あはは!」に変わると信じています。
もうそろそろ引き伸ばしも限界が近づいてきました。
しぶしぶ荷詰めをして、寝て、飛行機に乗りましょう。
それでは、「自分探しの旅」行ってきます。
※1 周りが働いているから、という理由はアメリカでは理由にもなりません。
自分で都合をつけられるのなら、2週間でもバカンスに行く。自分第一です。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054888425664/episodes/1177354054888502913
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます