第6話
昨日は寝れなかった。あの人気者の花山千景と友達になったことは、今まで平凡な人生を送ってきた私にとって快挙?いや、なんだこれ。緊張かな、なんとも言えない気持ちでいっぱいだった。
登校の足取りはなんとなく重い。
そもそも友達って具体的に何していったらいいんだろう。あの周りにいる可愛い子たちを差し置いて自分にできることはなんだろう、わからない。髪の毛につけた綺麗なガラス玉がついたヘアピンをなでて、ため息をついた。
「果乃ー、あれ、元気ないじゃん」
「あ、夏子。」
斯く斯く然々…と、言いたいこところだけど、まだ何が起こるかわからないし、もしかしたら、花山くんの悪い冗談だったのかもしれない。目立たない私をからかったのかも?そういう表情には見えなかったけど、可能性も0ではないぞ、うん。
「ちょっと寝不足で」
ウソではない言い訳をする。
「そうなの?今日球技大会だよー大丈夫か?」
「あー球技大会か…」
3年生になって初めてのクラス行事。運動は得意でもないし、不得意でもない。でも、今日はなんとくなく乗り気じゃない。
学校についてHRでは誰がどう競技に出るとか、そんな話し合いが繰り広げられた。結果的には私は夏子の強い誘いでバスケットに参加することになった。動けるのかな。学校には体育科があり、毎年体育科の生徒の独壇場のような気がする。
花山くんを見ると、やっぱり。
ちゃんと中心にいるじゃん。
なんなら花山くんの周りに人が集まっているととっても良いくらいの男子の群がり。昨日のはやっぱり何か悪い冗談だった。そもそも昨日までした会話自体、私の妄想から繰り広げられたものだったのかもしれない。別に花山くんとお近づきになりたいと思っていた訳でもないが、なんとなく、後ろから見る花山くんに特別な感情を抱いていたのかもしれない。
チャイムがなり、球技大会が始まる。みんなに迷惑はかけないように、そこそこ頑張ろうかな。
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