第5話




―――――俺たち、友達にならない?






花山くん?何言ってるの?

そもそも友達ってなろう?って言ってなるものでもないし、花山くんの周りにはいつもたくさんの人…今更、私と約束をして友達になるなんて、よくわからない!



「急でごめん、そのヘアピンはあげる。昨日、鏡で合わせてたの似合ってたから。


で、その、お礼。」


「お礼言われることなんてしてないよ」







「今日、バイト先聞かれてた時、黙っててくれてありがとう」



ああ、あの時の…









「実は…あんまり女子が得意じゃなくて。」



え?


なんだって?




「え、でも話しかけられてるし、普通に返事もして…」


「うん、だから相槌と生ぬるい返事だけはどんどん上手になって」









「中川さんはなんか、いいな、って思ったから」


「へ…」



今話してるのが、あの花山千景とはどうも納得できない部分もあるけど、思い返せば来る人来る人にあんなに話しかけられてるのに、花山くんであんなに盛り上がってるのに、花山くん自身はあんまり会話に参加していないようにも見えた。






「…ヘアピンありがとう…明日からつけるよ。










友達…喜んで。」



「ありがとう、中川さん」




で、





「具体的に何をするのかな?友達って…」


「うーん…」



めちゃめちゃ困った顔するじゃん。

そこは考えてないのか、







「あ!じゃあ、放課後クレープ食べにいこう」


「ぇえ⁈」



それは恋人とするやつ!

てか、街を花山くんと2人で歩くなんてできないよ…



「じゃあ遊園地?」



「ちょ!」



だから、それは彼女と…



「ちょっと待って、花山くん」



「うん?」



「彼女、いませんよね…?」




「いないよ。いたこともないよ」



「ぇえ⁈本当に?」



あの花山くんはみんなの告白を断るって噂は本当だったんだ。



「そんなこと嘘つかないよ。



あ、中川さん。もう6時過ぎてる、家はどこらへん?」



「昭和町だよ、ホントだ、もう帰らなきゃ」


「今店閉めるから送ってくよ。」


「大丈夫大丈夫!いいよ!」


花山くん何言ってるのー!



「そう?また遅くなった日は送らせてね」


「う、うん!じゃあまた!」


それはもう、すごいスピードで店を出た私。





おかしいよ、花山くん。

学校一モテてて、いつもみんなに囲まれてる、そんな人が友達になろうなんて








「…花山くん、なんか変…!」

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