描写は端的で、結婚式の花嫁入場のシーンだけだというのに、主人公と妹との過去から未来までを見通せて、彼らの人生が胸に迫ってきました。ちょっとの仕草で思い出す回想が、じんわりさせます。登場人物みんなの幸福を祈って、精一杯の拍手を送りたくなります。
最後の最後まで甘えん坊で我儘な妹。どことなく兄に似ている旦那さん。「この先、兄と旦那さんが一緒に酒を飲んだら、妹の話で盛り上がるんだろうなぁ」と彼らの未来まで想像してしまう素敵なお話でした。
ずっと一緒にいた妹がお嫁にいく。ワガママなところもあった彼女の最後のお願いは、お兄ちゃんに手を繋いでもらってのエスコート。普通はお父さんの役目だけど、大事な妹の最後のワガママを聞いてあげない訳がありません。新郎さんの元に行くまで繋ぎ続けた手。愛情と暖かさで胸が一杯になるお話でした。
可愛がってきた妹がお嫁に行く。そんな妹が最後にお願いしてきたことは、結婚式の時に手を繋いで、エスコートしてほしいというもの。今までずっと一緒にいて、何度も手を繋いできた。これで最後というのはやっぱり寂しいけれど、笑顔で妹を送り出すお兄ちゃん。兄妹愛に溢れた素敵なお話でした。