第2話 少年の憂い
時は飛んで5017年…少年、蒼井 透は17歳となった。
蒼井 透は天才的な頭脳を持っていた。
「マジか透!お前また全教科100点なのか!?」
透のクラスメイトの男子、涼太郎は教室に響き渡る位の大声で言った。
クラスのみんなが、透達のほうをチラチラと見ている。
「うん。」
透は元気な涼太郎とは対照的に、さほど嬉しくもなさそうに答えた。
「お前、普段授業中寝てばっかりなのにどうして俺より勉強できるんだよ~。俺は赤点なのに。」
涼太郎は不満気に目を細めながら言った。
「もうすぐ夏休みだし、今度一緒に勉強会でもしようか。」
「おおおおお。神様、仏様、透様ありがとうございます。」
涼太郎はキラキラとした目でお礼を言った。
「ところでさ。」
急に話の空気が変わった。
「うん?」
「急に話変わるけれど、透は何かやりたいこととかないの?夢でも趣味でも。」
「ああ、うーん…。」
透は言葉に詰まったかのように曖昧に言葉を返した。心なしか表情も困っているように見える。
「いや、もちろん悪いってことじゃないんだけどさ、透、何でもできるのに、優しいのにただ呆然と目の前の物事をこなしているだけのような気がして…。」
少し自分の発言に焦ったのであろう、目線が泳いでいる。
「心配してくれてありがと。俺、何がしたいんだろうな…。自分でもよく分からないんだ。やっぱりからっぽの人間なのかな。」
少し自嘲気味に答える。
透の目は、何を見つめているのか分からない。ただ、どこか遠くを見つめていた。
いつか分かるといいな。自分のほんとうにやりたいこと…。そう思いながら。
Memories of the Stones 真紅月 朱希 @colderkyosui
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。Memories of the Stonesの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます