誰傑小説大賞 応募要項
快亭木魚
応募締切および資格
○応募締切:2199年13月47日
○応募資格:他社と契約してない人で、かつ誰が読んでも傑作だと思えるような文章力があり、読者をひきつける物語が書けて、編集の直しの必要がなく、修正依頼も即効対応できて、コミュニケーション能力も高くて、愛想が良くて、偉い人の命令には秒で従うことができて、見た目も良くて、1年中24時間休みなく書くことができて、文句も言わず、健康で病まず、家族関係も良好で、実家も裕福で、友達も恋人もいるような、ごく普通の素人であれば、どなたでも応募可能です。
○禁止事項
以下のような小説は失格とします。
・応募要項のパロディをもって小説とするような愚行
小説とは、魅力的なキャラクター、素晴らしく意外性のあるストーリー、美しい情景描写、読者を引き込むテクニックを交えた総合芸術です。
例えば、応募要項のパロディを作って、それを応募するような愚行は断じて許されません。そういう愚かなことをやる人は自由を履き違えてますね。間違いなく小説家にはなれないでしょう。
こういうパロディを書くような人に限って、「間違いなく小説家にはなれないでしょう」というようなことを書いて、「自分は何でも知ってるから批評的なことも書いちゃうぞアピール」をしてしまいますが、それはとてつもなく愚かな行為だと気付きましょう。
・誤字が1字でもあれば失格です。考えてもみて下さい。「。。」のように「。」が2つあったらおかしいですよね?このつぶらな瞳は下を見つめてどうしたんだろう?と思いますよね?「、、、、、」のように「、」が沢山あったら、あきれて目が点になりますよね?そういうことです。
「誤字が1字くらいあっても誰かが修正してくれるだろう」という甘ったれた精神で書いている作品は、志の低さが文章に表れてしまうものなのです。編集者がどれだけ読み込んで、誤字脱字を修正しているか分かりますか?熱心な読者が速攻で間違った表現を指摘する手間が想像できますか?そういうところです。
・「役不足」禁止
「役不足」でいいのか、この文章は?「力不足」なんじゃないか?非常に多くの作品で、幾度となく、この「役不足」論争は繰り広げられています。このどっちだ?という疑問を抱かせてしまう時点で己の「力不足」を自覚しましょう。あまりに力不足の人が多い為、当コンテストでは「役不足」という単語を使用した表現を禁止します。
何?しょうもねえ禁止事項作りやがって、我らこそが力不足ですと?
うるせえ!分かっとるわ!
・オチがあることを期待する心の禁止
こんなところまで読んで話のオチがあると期待するような心の持ち方を禁止します。
・これは小説とは言えないという野暮なツッコミの禁止
もう締切まで30分しかないので、こういう展開になります。
皆さんはぜひこんなしょうもない応募要項などご覧にならずに、未来永劫残るような傑作を書き続けて下さい。それだけが我らの願いです。
人は、規約とか詳しく読まないままスクロールして同意ボタンを押してしまうものです。
もう分かったでしょう。
ここまで読んだら共感という名の同意ボタンを押して下さい。
(終)
誰傑小説大賞 応募要項 快亭木魚 @kaitei
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