リアルタイム

GARA

リアルタイム

今日からもう、毎日‘普通’な食べ物を食べれないかもしれない。


そう思いながら少年は中年の女を殴り続けている。床の隙間やカーペットには血が大量に染みている。


少年は虐待されていた。暴力ではなく精神的に。

いつしかそれのせいで学校を三日前から行けなくなった。簡単に言うと少年は病んでいた。

この日は母親についにカッとなって家の花瓶で殴りつけてしまった。

父親は仕事で帰ってこれず、助けてとは誰にもいえない、言う勇気がなかった。

だから殺した。少年は頭の回転が良かった。

母親を刑務所に入れてもまた釈放され今度もし会いたいと考えてしまったら元も子もない。人間はどんなに嫌いな親でも会いたくなる習性があるから。


自分が少年院に入ったらふつうの食事ができないだろう。でも耐えられない。


少年は楽しんだ。母親がボロボロになってゆく姿はとても美しいと感じた。


ピンポーン


チャイムが鳴った。

少年は自分で警察を呼んだ。意味のない時間はいらないから。

返り血で染まった服とズボンのままで玄関へ歩いていった。


ガチャ


ドアが開いた。少年は疑問に思った。


「…?誰?」


雨の中スーツ姿のメガネを掛けた男がいた。


「私は国のものです。」


「国の人が何の用?つかなんでここにきた?」


「あなた様は選ばれました。

あなた様は選ばれたのです。」


少年は少しキレ気味だった。


「は?」


「実は今

人を殺した未成年を探しておりまして、コンピュータがあなた様を見つけ出したのです。」


どうせ警察が来るまで退屈だし

少年は付き合うことにした。


「…どうやってそのコンピュータは僕が人を殺したってわかったの?」


「その辺は私はわかりません。しかしあなた様は選ばれたのです。これからあるテストを受けてもらいます。」


「何言ってんだお前」


「ルールは簡単です。あなた様にこれを差し上げます」


スーツの男は白い粉を少年に渡した


「…?これ麻薬か?」


「いいえ違います。これは国が開発したその名も‘‘リアルタイム’’です。」


「…意味わかんねぇ本当はそうやって子供に麻薬とかを渡すそして高い金を払わせて稼ぐ

密売の人だろ」


スーツの男は少年の言っていることを御構い無しに言った。


「これは人を1人殺すことで時間を固定した時に戻せます。」


「は?」


「しかし条件があります。

時を戻す前に殺した人間は戻した時には都合のいいことにあなた様以外の人間全てがその人間を忘れます。」


「…」


「そしてここからが大切で、時間を戻す際にあなたを大切に思っている人が1人世界から消えます。

どうですか?

これを水に薄めて飲めば効果が発揮します。

逆にそのまま飲むと、効果が強すぎて最悪死に至ります。」


少年は考えた。


「まあいいや、どうせ少年院行きだ。

麻薬ってどんなものきになるしもらおう」


「はいどうぞ」


「でわ」


そう言って男は扉を閉めた。


少年はリビングに戻り、死んだ母親の死体なんて目にくれず台所へ行った。


「確か水で薄めるんだっけ?」


少年はコップに水を入れてリアルタイムを口に含んで水を飲み込んだ。


その瞬間視界が真っ暗になる

そして気がつくと学校の中。机の上だ。


そうだ放課後今日掃除当番で机の上に座って喋ってサボってたんだ。


「おい、きいてる?」


「あぁきいてるよ。道に猫の死体があった話だろ?」


「そうそうそれでさ…」



…本当に戻ったのか?


彼は冷静だった。


だとしたら自分のことを大切に思ってる人間が消えたのか?


掃除が終わったらクラスの出席番号の表を見に行った。

1人消えてることに気づいた。

少年はその人間を覚えていた。

河原美智子

この人間が消えてる。

きっと自分の事が好きだったのだろう

そう少年は考えた。


…まあいいや

どうせあいつブスだし。


それよりこの力はすごいな

…邪魔な人間を潰すか。

この‘‘リアルタイム’’さえあれば

いらないものをけせる。

法律にも引っかからないなんて夢みたいな薬だな。



それから少年は人間を殺しつづけた。


理科の先生の都築先生

あいつは俺を嫌っている。

成績を下げられたりされて、

明らかに無視されたり、

だから理科室の実験途中で首に試験管の割れた破片をぶっ刺してやった。

最高だった。

その代償として隣のクラスの仲良しの奥広が消えた。

どうでもいい


次に友達のしんじ。

あいつは普通に嫌いだ。

インキャのくせに構って来やがるし

見てるだけでイラつく。

だからシャーペンで腹をおもいっきり突き刺してやった。

何度も何度も周りの人間が見る中、

楽しかった。

代償として幼馴染の香山が消えた。

あいつは俺のことが好きだったらしい。

一度告られたけどタイプじゃないから

振った。

まあいいや。


沢山の殺人を繰り返した。

少年はいつしか慈悲がなくなってしまった。

人を殺すのに抵抗がなくなってしまった。





少年には気になる女がいた

クラスの人気者の女子だった。

名前は京子

少年はこの人間だけが特別だった。

少年は自分だけが特別だと少年は思って欲しかった。

でもわからない人間の感情は読み取れないから。

だから少年は、自分が大切な人だと彼女が思っているならこの世界からきっと消えるだろう。

少年はそう考えて人を殺しつづけた。

リアルタイムは少年にとって利益だらけのものだった。

嫌いな人を殺せるし、彼女が自分が大切かを

知れるから。

でも彼女は今もなおこの世界に存在している。


少年は何百人の人間を殺したが

この前調べたが人口は全く減っていないらしい

つまり

殺すたびに新たな人間がこの世界に入ってくる。

そうできているらしい

リアルタイム自体どんな仕組みかは少年にはなにもわからかったが、少年にはそんなこと気になりもしなかった。

ただ少年はいらない人を潰すのが楽しかった。

これまでに消えた‘‘代償’’は全員興味ない。途中は誰が消えたかなんて確認しなかった。

少年はそれを無駄な時間と認識したから。


少年は自分のことを大切に思わない彼女に

怒りと憎しみがあった。

彼女が自分を本当に大切に思っていても構わない。どうでもいい

自分が少しでもイラついた。

だから殺す。

彼女はいらない人間だから。

放課後彼女をラブレターに見せかけた紙で町内の公園に呼び出した。


「…」


少年は彼女が黙ってベンチに座っているのがわかった。

少年は彼女の方へいった。


「あなたが私を?」


少年はうなずいた。


「…ありがとう私もあなたが好きだから…」


少年は持っていた包丁を地面に落とした。

少年にはその一言だけで彼女が必要と認識した。


「だから…




死ねよ」


彼女はそういってナイフで少年の心臓を刺そうとした。

少年は思わず避けたがナイフが横腹に刺さっている。

少年は痛がって地面に転げ回った。


「避けんなぁ!

殺す殺す殺す!

気持ちわりんだよ!死ね!

いつもこっち見やがって死ねェェ!

テメエなんてどうでもいいんだよぉ!」


少年は頭に‘‘殺す’’その言葉しか浮かばなかった。

少年は地面に落とした包丁を掴んだ。

その瞬間彼女が少年に殴りかかって来た。


「テメェなんて誰も覚えないんだからぁ!」


殴り続ける彼女、力が抜けていくが少年は手にもっていた包丁を彼女の首に刺さった。


「ヴゔ!」


「お前も…リアルタイムを使えるのか…」


意識がもうろうとしている。


「ああ…そうよ」


彼女はニヤッと笑い倒れた。



少年は気づいたら机の上にいた。


「おい、聞いてる?」


何度も聞いた話

少年は見えている全てがなにもかも殺したかった。少年は机の上にあるシャーペンで話しかけて来た相手を首にぶっ刺した。

つまらない

痛がっている話しかけてきた相手を

クラスの掃除をしている人間どもが見つめる。


叫び出す女子、逃げ出す男子、もう何回目だろう。

今度は椅子を持ってほうきを落とした女子の頭を殴りつけてやった。

つまらない

今度はほうきで逃げ遅れた男子の1人を滅多打ちにしてやった。

つまらない

今度は逃げ行く女子を追いかけて窓から落としてやった。

簡単に人は殺せる。でもやっぱり

つまらない

あんなに楽しかったのにどうして?


つまらない


つまらない


つまらない


そして先生がこっちに走ってきた


「やめなさい!

そんなことは!」


みんないつのまにか逃げ去っていた。

教室の中で痛がって必死に生きようとする3人と窓から落とされて気絶してる1人の人間がいる。


大人の人間どもが集まってきた。

つまらない

だから大人の人間の首を閉めた。

止めようとする人間どもがとても馬鹿みたいに騒いでいる。

首を閉められた人間は死んだ。


そして少年の目の前が真っ暗なった。

少年は疑問を抱いた。

どうしてこんなにつまらないのか。

そして少年は気づいた。

真っ暗の空間から一向に現実に戻らないことに。



少年は理解した。

大切な人は自分

一番大切な人間は自分だと。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



理科の都築先生が授業をしている。


それを真面目そうに奥広としんじがきいている。


ベラベラと香山と美智子が笑顔で話している。





町内の公園には包丁がベンチの近くに置いてあった。


町内の公園の木の上に黒いスーツのメガネをかけた男はいった。





「無様ですね」





黒いスーツの男は姿を歪みながら消えていった。












リアルタイム 終わり










解説


設定としては、

黒いスーツの男 は‘‘死神”です。

死神はいらない人間かどうかを判断し、

最終試験はリアルタイムを自分のために使う人間は永遠に出られない地獄に封印されます。

また、少年が殺した人たちはなにもなかったと記憶が改ざんされて肉体や魂を取り戻します。


大切な人を1人消す設定にしたのは、

どれだけその少年は自分のことをこんなにも大切に思ってくれたんだ!

ときずいてほしかったからです。


ちなみに大切な人が消えていく順番があります。

それは少年をどれだけ大切思っているかで、早く消えるか遅く消えるかです。

少年は自分のことが誰よりも大切なので、最後に消えていったのです。




あとがき



リアルタイムを読んでいただいて、ありがとうございます。


設定がちょっとわかりにくかったですかね?


つまらなかったらすみません…


また誤字などがありましたらどうぞ報告してください。







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