思い入れ

ちゅけ

第1話

幽霊が裸ではないため、何か思い入れのあるものは完璧な(?)幽霊だろうと生き霊だろうと、身につけておけるのだということは察していた。


どうにも私は”男に恨みのある生き霊“をみることが多く、彼・彼女たちは何かしらの小道具を持っていた。


それは口紅だったり(有名ブランドのものが多い)、コンパクトミラーだったり、ボールペンで首をチクチク刺してるのもみたことがある。


一番悲しかったのは。


小さな女の子が、ぬり絵を持っているときだった。クレヨンも色鉛筆もなく、ぬり絵の紙だけを数枚、胸に大事に抱えていた。この子が後ろをついて歩く男の、唯一の優しさだったのかもしれない。


幽霊がみえても、ただそれだけで、警察や相談所に通報することは出来ない。幽霊がいるから、なんて理由で動いてくれるひとは居ない。


怖いばかりでなく、悲しさも幽霊を引き寄せるかもしれない。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

思い入れ ちゅけ @chuke

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る