最近の天狗 

低迷アクション

最近の天狗 

最近の天狗


「…もしかして、天狗さん…?」


兵士の夜間戦闘迷彩と顔面に装着した先端が長い3つのレンズ付き暗視ゴーグルの装備を

見た“狐っぽい耳”をピョコピョコさせてる着物姿の少女が呟きながら、小首を傾げた。


兵士は少し黙って、現状把握に努めてみる。

360度視界の森の中は異形のモノ共の囲まれている…正に死界、生き残る選択肢は

ただ一つ。それは肯定…


兵士は頷き、こう言葉を返した。


「そう、そう。俺、最近の天狗…」…


話は5分程前に遡る…


自衛隊が用意したC-130輸送機の中で、最新の装備に身を固めた兵士達の1人

“九鬼 京介(くき きょうすけ)”はまもなく自身達が降下するであろう、

眼下の景色を眺めた。


 後部ハッチが開かれたそこには、闇に絶妙に溶け合う緑の群れ、情報によれば、

ここはS県山間部で今、話題の“化け物共の巣”になっているらしい。


この話題というのは数年前から始まった、世界中がどうしようもない不況と環境問題、

地域紛争に悩まされていたあの時代…各国政府はそれらの“捌け口”を探していた。


つい最近まで、最敵国家と目標されていた分断国家は、

食糧難であっさり統一化の道を歩み始め、


テロの温床であった過激組織は資金不足のため、人質解放を促進、脅威でも

何にもなくなった。


大国同士のいがみ合いはあるけど、WW3的な第三次はゴメンというのが、全国家

共通の本音。敵が必要、出来れば人間以外。いました!世界のあちこちに!


初めて、それを見た時、一般大衆は恐怖と興奮に包まれ、

企業と軍部、そして政府は“恰好の標的”を見つけたと舌なめずりをした。


どっかの科学者が開発した探知器などの発見と具現化する装置(?)によって

心霊、UMAといった、いるか?いないか?わからない連中が、人間達の目の前に、

白日の下に引き出され、晒された。


彼らの姿は一様に違い、中には特殊能力を持っている奴、巨大な奴とか色々いて、

ホントかどうか知らないけど、人間にも長年に渡って害を及ぼしている奴もいたらしい。


恰好の交戦理由と殺戮対象を得た政府は緊急かつ、迅速に軍隊による攻撃を決め、アホな

日本政府のでしゃばり的呼称をそのまま採用した。


かくして「AYAKASI(アヤカシ)」と名付けた異形のモノ達が、

各地で見つかり、攻撃され、駆逐されていく。


世界規模の攻撃に伴う軍需物資と武器の生産による経済安定、労働力の確保、

国家を超えた連携と協力は人類に平和という恩恵をもたらした。


もちろん、数百万のアヤカシの死骸を肥やしにした上でだ。


戦争による経済復興は世の常…敵方に対する人道的余裕が生まれるのは、相手を完全に

蹂躙し、凌辱しきった後に訪れる。


今戦争も御多分に漏れず、九鬼自身も口にするのも憚れる酷い場面…アヤカシに対する

戦友達の行いを随分目にしてきた。


そして、今作戦は日本の自衛隊が行う国内最後の作戦、山中に残ったアヤカシ達の残党狩りを行う。


九鬼達、国連傘下の特別攻撃隊は世界各地の異形の存在と戦ってきた実戦経験豊富のギース達(傭兵連中)…“ライフルは撃った事あるけど、手榴弾は投げた事のない素人公務員”共のお守というか、水先案内人として、先行投入される予定だった…


そう、だったのだ…どんなプロの兵士にも油断というか“ウッカリ”はある。

外の風景を眺め、降下準備を整える九鬼は眼下の森を見て、不覚にも哀愁の感情に興じてしまった。


(自国に戻ったのは、何年ぶりだろう…あの森、小さい頃に遊んだ山にそっくりだ。思えば、あの頃から、アヤカシはいたんだよな。鼻垂れたガキの俺を見て、連中はどう思っていたのだろう。)


そんな想いと心地よい眠気に近い感覚が起きる。睡眠は充分に取ってきた筈だった。だが、妙な浮遊感を感じた時はもう遅い。


「HEY?クキ?」


戦友の黒人兵と自分の距離感、目線の位置が可笑しい。それも一瞬の事、後はただ下に勢いよく落ちていく体。寝ぼけて足を滑らせた事に気づくのと、味方の兵達が機内でこちらを

指さし、


「アヤカシの攻撃だ!!」


と吠える声を聞きながら、九鬼はパラシュートのレバーを引いた…



 あの後、状況を確認するために暗視装置を付けて、本当に良かった。おかげで

目の前にピョコんと出てきたキツネ耳娘に咄嗟の言い訳をかます事が出来たのだ。


だが、問題は…


思案する九鬼の前に脂肪の塊のような巨大な影が被さった。


「コイツ、本当にて、天狗かぁ~?」


何処に口や目があるのか、皆目不明だが、野太い声はしっかり聞こえている。その隣から編み笠を被った猫サイズの獣も3匹、鋭い爪を見せ、こちらを覗く。


手に持った自動小銃には対アヤカシ用の銃弾が詰まっている。四方八方撃ちまくれば

造作なく、コイツ等を殺せるが、一体何匹の敵がいるのか?弾が尽きる前に味方と合流できるのか?皆目検討もつかない。


ここは努めて冷静に、成り行きに任せ“最近の天狗”を演じ続けよう。


「ぬっぺにかまさん、何言ってるの!この長い鼻は絶対天狗だよ!

きっと私達を助けるために空から降ってきたんだよ!!絶対、ね!天狗さん!!」


先程の狐少女が九鬼の腕を掴み、縋るように腕を振り回し、周りのアヤカシ達に説明する。

ありがてぇ…よくわからないが、この天然ちゃんは自分の事を信じていくれている。


“キツネ耳娘とか、人間タイプの妖怪キャラは得てして、俺達、人間の味方になってくれる奴が多い、エロコメ展開とか、萌え萌えシチュもふんだんだ!九鬼”


ふいに戦友の“ボブ”の言葉が蘇った。


元デルタ(特殊部隊)出身の凄腕傭兵。最終階級は少佐なのに、日本のアニメ大好き。

傭兵になってアヤカシと戦うくらい驚異的な戦闘能力を持ってるけど、日本の漫画大好き。

コスプレとかも大好き。お盆に年末は絶対!訪日決め込むオタクっぷり。


日本人なのに、そっち方面は全然詳しくない九鬼に事あるごとにその雄弁さを用い、どうでもいい知識を叩き込んでくれたものだが…まさか、こんな所で役に立つとは…


九鬼は足元の少女に頷き、徐々にその数を増していく大小様々の異形のモノ達に即興の台詞を披露する。


「彼女の言う通り、俺は最近の天狗。現在の人間共の悪行に怒りを覚え、参戦仕った。

俺が手にしているのは錫杖代わりの“銃”これは奴等の武器だが、我が一族は術式により、


連中に擬態し、攻撃する人間で言う破壊工作を得意としている。本来なら、大量の味方を

率いてきたかったが、人間共の鉄の鳥の攻撃により、一族はほぼ、離散し、全滅。自分だけが辿り着いた。


お手前方の総大将に拝謁願いたい。」


自身満々の前口上、学生時代は演劇部出身ではないが、まずまずと言った所だろう。

その証拠にアヤカシ共は皆、黙り込んでいる。ん?違うな。様子が可笑しいぞ?


「お母さんは…」


足元からの声に驚く。下を見ればお眼目ウルウル、耳と尻尾がフルフルの少女がいた…



 「状況を整理しよう“おとら”」


「ウン…」


おとらと名乗った狐少女が泣き出す前にレーション(携帯食料)にあったキャンディを与え、

何とか話を聞く事に成功した九鬼は安心から、コロコロ変わる危険の目まぐるしさに、

幾度も冷える内心をどうにか落ち着かせる。


今、森の中にさざめくアヤカシ共から生き残る鍵を握るのは、自分の膝にチョコンと腰かけ、

頭に生えた耳で鼻孔を非常に擽るおとらだけだ。上手く事を進めねばいけない。


「君のお母さんは九尾の大妖で、人間との戦闘で捕まってしまったという事だな。

場所はわかる?助けに行ってくれる仲間は?ぬりかべとか、土蜘蛛は?砂かけババに子泣きのジジでもいい。


牛鬼なんてのもいたな。結構、メジャー所の奴等はどうしたの?」


「場所は多分わかる…でも、仲間は皆、死ん(また、目元が涙が溜まり始める)」


「ああ、いい!いい!大丈夫。そっかー、そうかぁ~、うーむ、困ったな。」


ボブに教えてもらった強めの妖怪達を上げてみたが、考えてみれば、ここ数年の戦闘で

大方のアヤカシは駆逐されている。となると残りは…


九鬼の視線に気づいたのか…おとらが、オズオズと自身の小さな指を数え、助けてくれそうなアヤカシの名前と特徴の説明を始めていく。


「えっと“脂肪なら任せてのぬっぺ”に“かまいたちを起こせるかまさん”、

“雨とか泣き声で相手がビックリ川姫ちゃん”、“洗濯物が臭くなるよ白さん”

それと、最近の天狗さん!」


最後は笑顔でちゃっかり自分が助ける仲間に加えられてる事に軽いショックだけど…

そもそもの問題は、まるで使える戦力がいねぇというのはよくわかった。


名前を指名された先程のぬっぺとかまさんは戦線恐々の面だし、着物が可愛い、お人形みたいな川姫は既に泣いてた…“白さん”と呼ばれた布切れ+トカゲ頭はヒラヒラ、何処かに逃げようとしている。


どうする?九鬼は惑う。今の状況を見れば、ここにいるアヤカシは雑魚ばかり…自分の

障がいになるとは思えない。銃を撃ちまくれば、たちまち四散し、この後、突入してくる


素人同然の自衛隊員でも楽に勝てそうだ。目の前でピョコピョコ耳を期待に動かしまくる

おとらの母ちゃんがいれば、彼等の特性と自身の力を持って戦えるが、今の状態なら、総崩れは目に見えている。


自分は傭兵。所詮は金で誰の肩にも止まる渡り鳥。コイツ等を助ける義理はねぇ…


(いや、あるか?)


目の前の少女は自分の“嘘”を信じてくれた。その後の推移を考えれば、そうでもないが、

結果として命を救ってくれた。その恩に報いなければいけない。


“九鬼、アニメ展開的に行けば「可愛い、萌え~」と思ったキャラはとりあえず救っとけ!後で絶対いい事あるから!“


ボブの至極適当な言葉がフラッシュバックする。目の前の少女が“可愛い”かは、

長らくアヤカシと戦い、乾いた心の九鬼には分らない。


ボブに確かめようとも、彼はこの戦争が始まった時、何処かに姿を消していた。


だが、迷っている暇はない。人間側の攻撃は今にも始まる。心のボブも昔見た戦争映画の

鬼軍曹風に


“ドウイッと!(それをやれ)ドウイッと!”


を繰り返していた。この最弱の異形達で戦術を組み、作戦を立てるのだ。黙り、暗視装置に手をかける自分の答えを待つようにアヤカシ達が近寄ってくる。


やがて立ち上がった九鬼は背中の降下パックを確かめ、顔の暗視装置に着いた証明を光らせ、言葉を放つ。


「俺に考えがある。」…



 危険な戦場から工作員や要人を救出させる緊急手段として“フルトンパック”というモノがある。使用者の背中につけた小型の気球を上空に浮かせ、輸送機に取り付けたフックで引っ掛け、機内に引き上げるモノだ。


アヤカシの攻撃で森の落ちた隊員の1人を捜索する輸送機は夜空に発光信号を出しながら、

浮かび上がった気球を見つけ、フックを用い、隊員の回収を行った。


やたら、重量感のあるフルトンを引き上げた機内は一気に騒然となる。

気球にぶら下がっていたのは巨大な肉の塊の怪物。中にいた全員が銃を構えるが、

そこから響く、くぐもった声に動きが止まった。


「ま、待てぇっ、撃つな~。俺だ。九鬼だ。さっき落ちた隊員のなぁっ…」


「お、お前、九鬼か?一体どうした?」


姿は違くとも、聞き覚えのある声に同僚の黒人兵が怯えたように吠える。


「アヤカシだ。奴等の術にやられたぁっ~、人体をこんな風にしちまう疫病が

そこら中に溢れてる。は、早く森から逃げろ、逃げるんだぁ~っ」


不気味な音程でがなる塊に隊員達の間に動揺が走っていく。恐怖が浸透すると同時に、

今度は鼻につく嫌な臭いが身に着けた衣類から立ち上り始める。


追いうちをかけるようにグニャグニャ体を揺らした塊が不気味な音程で囁く。


「その匂いは第1兆候だ。その後、ズクズクに体が溶け出すぅ~。

早く、早くぅ逃げるんだぁ~」


自身の体を見つめ、震えだす兵士達の間を一陣の風と何かに斬られた激痛が走る。

全身を再度改める。傷はない。だが、今の痛みは?


「第2兆候~体の痛みは神経の麻痺ぃ~…」


そこまでが限界だった。隊員達は我先にパラシュートパックを抱え、機外に飛び出していく。

アヤカシとの戦いを幾度も繰り返してきた彼等だからこそわかる経験だ。


(ヤバい奴とはやり合うな。相手は化け物、何があるかわからない。

一回退いて、態勢を立て直す)


そう学んできた彼等の行動は早い。最後に残った操縦士2名も外に飛び出したのを確認し、

ぬっぺの中から九鬼は顔を出す。その後から、おとらと川姫、白さんが姿を現す。かまさんは先程、飛び出し、一匹目が風、二匹目が切り、三匹目が治療の一仕事を終え、休憩中だ。


「肉に包まれるのはあまり良い気分じゃないが、とにかく上手く行ったな」


全身の不快感を何とか拭いつつ、九鬼は操縦席に座る。アヤカシ達には、天狗なのに何故、飛ばないのか?の理由に人苦労した。最後はフルトンを見せ、新型の飛行方法と鉄の鳥なら全員を運べる事で納得させたが、上手く行ったようだ。後は任務を果たすだけ…


隣の席に腰かけるおとらに向かって

力強く言い放つ。


「お母さんを助けに行くぞ!」…



 「どうです、なかなかの上玉でしょ?」


鎖、それも対アヤカシ仕様に繋がれた少女を示し、男は下卑た笑みを浮かべる。体は

普通の人間だが、全身の色が緑色だ。この男が案内する地下牢には、彼女のような人間型のアヤカシの多くが監禁されていた。


ボブは“楽しくて仕方ない”と言った表情を何とか装い、強く握りしめた拳を何とか誤魔化す。アヤカシとの戦争で勝利を確認した人類は早くも“奴隷としての使役”を敗残者側の

彼等に課そうとしていた。


捕まった彼等は飼い主の欲望を満たすために使われるか?実験動物のように切り刻まれる。そんな事を許していいのか?否、断じて否だ。だが、今はその時ではない。焦るな。全てを見てからだ。


「こちらが我々の手に入れた最高の商品です。」


男が示した部屋には巨大なケージが置かれ、その中に、ビル程もある大型の獣が眠るように

横たわっていた。これは…


「まさか、九尾の狐?そんな、バカな…」


ボブの呟きに男が満面の笑みを浮かべる。そう言えば、コイツの商売は政府との関わりが強い。この大邸宅兼収容所の外には戦車まで鎮座していた。


これ程の大妖を捕獲するのも納得と言えるか?


「どうです。お値段の交渉は、後程、酒宴の席で…」


(頃合いだな)


こちらに笑いかける男に対し、ボブが行動を起こそうとした瞬間、巨大な衝撃が屋敷全体を襲った…



 「ぬっぺは超便利だな。オイッ!」


墜落した輸送機の中で九鬼は吠える。おとらの母が監禁されている屋敷は文字通りの要塞だった。対空砲火の攻撃に火を噴き、そのまま突っ込んだ輸送機の中で彼等が無傷なのは


ぬっぺの肉の塊が衝撃をカバーしたおかげだ(最も、そのおかげで彼の体はだいぶ崩れたが…)


「お、俺はしばらく、お休みだぁ…」


と呟くぬっぺに頷き、駆け寄ってくる警備の兵達の前に飛び出した川姫が大きな声で泣き(真似して、おとらも泣いた)動揺する彼等の肩と足を九鬼が素早く銃で撃ち抜く。


そのまま、のたうつ兵士を飛び越え、崩れた壁からアヤカシ達を侵入させた。


「天狗さん!」


耳をピョコんと瓦礫から覗かせ、心配顔のおとらに片手を上げ、答える。


「お母さんを助けな。ここは任せろ!」


気障っぽい台詞と同時に近くの地面に大穴が開き、巨大な爆発が起こる。爆風と衝撃から、何とか立ち上がった九鬼の前に、配置された戦車と警備兵達が銃弾を発射しながら、迫ってくる。


「手加減は出来そうにねぇな!」


先頭を走る集団に銃下部に取りつけられた擲弾(グレネード弾)を撃ち込み、吹き飛ばす。

接近する敵を銃弾で蹴散らし、戦車との距離を詰めた。


手元で作成したグリース付きC4(いわゆるくっつき爆弾)を砲塔に投げ、そのまま爆発させる。


攻撃で四散し、混乱する兵達を小銃と拳銃で交互に撃ち抜き、外で動くモノが自分1人になった事を確認した後、九鬼は室内に向かって移動を開始した…



 「驚いたな。お前、九鬼か?」


酷い匂いの立ち込める(恐らく白さんの仕業)廊下を抜けた九鬼の前には、銃を構えた、

かつての戦友、ボブがいる。


その後ろには多くのアヤカシ達が大挙していた。一番奥には巨大な狐が鎮座しており、おとらや川姫達が嬉しそうに、巨大な九本の尻尾に飛びついている。


「ボブ、どうしてだ?」


散らばった薬きょうと転がる人間達はアヤカシの仕業ではない。恐らくボブだろう。わかっているが、敢えて聞いた。


「これが俺の仕事だ。現在、一部の人間達は彼等を“救おう”と動いている。俺としても

勿論、賛成。こんな耳っ子ちゃん達なら、助けるに値する。そう思わないか?」


頷くべきか?少し迷う。だが、成り行き的には彼等に味方してしまっているが…


そう思う彼等の後ろでおとらの母である大狐が頭を動かす。原因はすぐにわかった。


「爆音?不味いな。奴等が勘付きやがった。」


ボブが呟き、銃を構える。これだけ派手に暴れたのだ。人間側だって勘付く。いや、もしかしたら屋敷内の誰かが自衛隊に応援を要請したのかもしれない。


大狐が首を振り、それに頷いたアヤカシ達が九鬼達の傍を抜け、外に向かっていく。その途中、おとらがこちらを振り返り、例の不安+耳とお眼目フルフルでこちらに尋ねる。


「天狗さん?」


(参ったな、その顔で頼まれちゃぁよ…)


「テングさん?」


ボブが不思議そうな顔をする。いやいや、元はと言えばお前のせいだぞ?九鬼は苦笑交じりにおとらに頷く。彼女の顔がパッと輝いたのを確認し、ボブに改めて向き直り、自分の決意を口にした。


「そうそう、俺、最近の天狗!」…(終)





 

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