クリスマックス! 

低迷アクション

クリスマックス! 

クリスマックス!


「わっかりましたぁ!脱げばいいんでしょ!!この柔肌がいいんでしょうが!?

こんの“柔肌を貴方へ送ります!”的な感じでいいじゃないっすか!」

「オイイーッ!止っめろぉ!!何で18禁バーみたいな展開になってんだ、この野郎!てか、

とりあえず踊り食いみたいに脱ぐのをやめろぉっ!!」

「軍曹、踊り食いってなんすか!?これ小説ですから、その表現は多分わからないっすよ。」

「小説ってなんだ!この野郎こちらとら現実だ!この野郎!!」

「もぉう、仕方ないですね!脱ぐか!」

「いや、それはいい。」

「どーにも!こーにも!脱ぎますか?」

「いや、それもいい!!」

「※☆!@>/(意味不明の言語)脱ぐか!!」

「止めろって言ってんだろうがぁ!てか、ただ単に脱ぎたいだけだろ?この野郎。それこそ18禁タグ付けなきゃいけなくなるってもんだぞ!この野郎。あ?まずい。これは小説投稿の手順だ。」

「お二人共!読んでくれている人は、この辺で読むのを止めそうなくらいの展開となってきましたので!とりあえず、何故こうなったのかの説明を!」

「そうだな!!とりあえず話は1時間程前にもどーるぅっ!!」… 


寒さが薄着の肌に染み込むのを噛みしめながら、俺こと“軍曹”は飲み屋に向かう前の

路地を歩いていく。店の名前は“フロムダスク・ティルドーン”日没から夜明けの意味を

持つ店名の通り、日が沈んだ頃から夜明けにかけて、家で過ごす事ができない。過ごす場所がない、ろくでなし共が集まる場所となる。かくゆう、この俺も、荒廃した地元で燻る

“同人野郎”だ(二次創作、一次創作。オリジナル小説の作成!投稿!時には現実面での

創作的?探求もしばしば…!)

年末が近づく昨今は、有明の辺りで巨大な同人イベントが待ち構えている。

残念な事に落選しちまったが、心の広い戦友達のおかげで、売り子参加、委託でのサークル参加等、忙しくなりそうだ。だが、その前に最大の難関がっ!?

世界規模で彼女、奥さん、家族のいない単独野郎が寂しく過ごす最大の難関が先に来ている。

その名はクリスマス!毎年、同じような境遇の野郎が集う地獄の苦行。気分的に言うとイブが一番せつなく、その次の日はなんとなく大丈夫な感が漂う2日間、全くもって手前勝手な持論で申し訳ない。

だが、今日はその前日!!こんな日に酒場に集まる馬鹿達にろくな者はいないが、

苦行の聖夜を過ごすもの仲間としては悪くねぇ…!!


それにあれだ!マジであれだ!!もしかしたら、ワンチャン(ワンチャンス)あるかも

しれない。こう、うらぶれた酒場に掃きだめの鶴的なおねーちゃんとか、家出中の女の子

とか!とにかく女子が!(低俗表現、真に失礼!)それに俺は同人野郎!奇想天外の

ドキドキヴィジュアルを期待したっていいじゃない!そんな僅かばかりの!湯が沸騰して皮膚真っ赤にベロンベロンになる程の暑さくらいの切実さを胸に秘め、ドアを勢いよく

開けた俺に、強盗団みたいなマスクを付けた覆面男が突っ込んできた…


「軍曹!大変ですぜ!!(その声の主を間髪入れずに拳を一発。)」

「お前さぁっ!!…結構長い前フリをした上で!話始めようとしているのに、

このタイミングで強面覆面野郎来るのは可笑しいだろっ!?ここは金髪の幼女とか

女子高生をさぁっ?」


軍曹は目の前の殴ったけど、すぐ立ち上がった覆面男“アスク(あだ名)”を罵倒する。

覆面をつけてるが、別に顔に傷があるとか、お尋ね者ではない。まぁ、飲んでいる最中も

覆面つけてる、覆面リスペクト野郎であり、悪友みたいなもんだ…俺の解説兼心の中を

読んだように奴さんは口を尖らせてくる。


「軍曹!突っ込ませてもらえば、こんなゴミ溜めに、そんなか弱い娘が来たら、それこそ

狂ってるっていうもんでさぁ?」

「最近じゃ、そういうシチュ(シチュエーション)もありっていうぜ?

で、何?用件は?えっ?明日のクリスマス?お前と?…少し考えさせてくれよ。」


平時でも素顔を晒さないアスクが覆面の上からでもわかるくらいの渋い表情を作る。


「実はコレなんですよ!(え?今、軽く俺の話無視した?てか、こんなマスク野郎に聖夜を

過ごす相手がいるんかぃ?と軽く絶望。)」


そう言って上げられた小指をあり得ない方向に、とりあえず曲げて、

叫び声を上げる暇を与えず頬を張った。1メートル80センチの長身が派手に吹っ飛ぶ。

座っていた席からそのままカウンターに激突するアスクに、店の主人である干からびた

トウモロコシみたいな面構えの店長が


「何事だ?」


とばかりに大振りのマチェット(山刀)が持って、現れた。


「すまねぇ、店長。アスクの野郎がまた女絡みだ。どうせ、あれだ。ご多分に漏れず、

小っこい若年性(幼い)の娘ッ子とか攫ってきたんだろう。」


軍曹の言葉にアスクが勢いよく立ち上がる。


「ちょっと待って、待って下さいよ!話を聞くより先に、小指折るの勘弁ですぜ。この指は向こうを指したもんです。てか、まだ内容も聞いていねぇのに何事ですか?決まった訳じゃないじゃない?小っさい子とはね!!」

「黙れぇぇぃ!昔、お楽しみ幼稚園作戦とか抜かして、軽トラで幼稚園に突っ込んだ馬鹿はどこのどいつだ?」

「あれは、仕方のない事ですからね。とにもかくにも話を聞いて下さいよ。」


アスクの真剣な言葉に軍曹も、店長も(とりあえず、山刀をしまっているので一安心。)

周りで見ていた客もいつの間にか、話を聞いてみる事で

頷く様子を見せる。特に打ち合わせた訳でもないが・・・


「口で言うより見て貰った方が早いですね。ちょいとこれを見てくだせぇ。」


アスクが変な方向に曲がった手を、なおし治し、背後から巨大な袋を引き出してくる。

こちらが確認するまでもなく、フタがモゾモゾ動き…ひょっこり顔を覗かせた金髪

青おめめの女の子を視界0.1秒で確認し、アスクの顔面を勢いよく殴りつけた。



「ギャアアァァ、小っちゃあ!テメ!こん野郎。舌の根も乾かんウチに、

なんつーうモン連れてきてんだぁ!?えっ、どーしよう?ちょっと誰か、コイツを警察。

いや、駄目だ。サツはあかん。巻き添えはゴメンやん?遠い所に…何処かうらぶれた感じの酒場へ捨ててきてぇ!あ、ここじゃあん!?(店長が無言で山刀に触れる。慌てて否定!)

と、とにかく、何っ一足早めの邪悪なクリスマスプレゼント貰ってきてってゆーか、攫ってきてんだ!この野郎!」

「落ち着いて下せぇ、軍曹!この子は宅配テロみたいなもんでさぁ!今日、朝になったら

俺の部屋の前に、この袋が置いてあって。中に入ってたんですよ。」


黒い覆面が赤色に変色しつつあるアスクが焦り顔で反論してきたが、こちらは受け合わ

ない。今は一刻も早く、コイツとこの子から離れなければいけない。余計な関わりは

ゴメンだ。何故なら明日はクリスマスやん!これ以上、惨めな思い通り越して!捕まるとか、どんだけだよ!俺の焦りまくった表情に、袋の中の少女がゴソゴソと半身を出し、こちらを見つめてくる。白が映える衣服はアスクが提供したものでない事を祈りたい。こちらを

ジーッと見つめる彼女の整った顔立ちは最高だし、同人野郎の俺としては、充分そそられる

が、今は…


「脱ぎマスか?」


若干、控え目あまあま!&あどけなさ(意味不明解釈失礼。要は可愛い声って事。)の

残る声が心地よく耳に響くが、えっ?今何て?あんまこの

シチュエーションでは、聞こえない言葉が聞こえているけど?気のせいかな?


「ん?ちょっとわかんなかったな~?君今なんて?もう一度いい?」

「だぁからですね!何だか信用できないって?話でしょ。こんな時はこちらの誠意、

まずは裸を見せて、信頼をね!ほら、クレオパトラさんもそんな感じで絨毯かなんかに

包まって、王様の前に登場して色々勝ち取った訳じゃないですか!それを

見習ってる訳ですよ!ワタシ拾うてくれたアスクさんだって、フルオープウンなワタシの体見て、信用してくれたんですからね!(勿論、このタイミングでアスクを殴ったのは言うまでもない。)という事で軍曹!脱ぎますか!」

「絶対やめて!!」

「おっかしいなぁ~。アスクさんの家で呼んだ書物によれば、クリスマスシーズンに冴えない男子の元に袋詰め女の子が来たら、爆萌え卒倒の筈だったんですけどぉ~?」

「(蹲ってるアスクを踏んづけてから。)そいつは、この覆面馬鹿の趣味だからぁ!

普通の奴ぁ!そーゆうの好きとは限りませんぜぇ!」

「えっ?軍曹さんもそーゆうの好きだよね?」


そういいながら、いそいそと服のボタンをはずし始める少女。よく見りゃ、下は穿いて

ねぇ!かなり絶叫!!俺!


「や~め~て~!!」


俺の叫びが店内に響き…それ以下、最初のページのやり取りに戻る…


 「とりあえず、お名前は“ほむん”さんでよろしいっすね?」


コクンと頷く少女。とりあえず脱ぐのを止めてくれた彼女は、カウンターで店長が持ってきたココアをチビチビ啜っている。その端っこで居酒屋客にボコボコに殴られ、たん瘤で

デコボコ覆面に出来上がったアスクから聞きだした所によると、朝起きたら自宅前に

本当に袋が置いてあり、中から彼女ほむんが出てきたとの事だった。

ボーっとした表情のままの

彼女は、断りもなく部屋の中に入ってきて、本棚にあった書物を夢中で読み、続いてはネットにテレビを連続視聴。その辺りからよく喋るようになり、言動が可笑しくなったそうだ。

加えて言えば、その感ずーっと服を着ていない事に気が付き、慌てて着せ

(この辺りの説明で「確信犯だろ?」という掛け声と共に全員が殴りかかった。)

店に連れてきたそうだ。

(「何故?袋に入れたまま?…」の部分で再び全員が…以下略!)


「迷子かね?しかも、ほむん?キラキラネームにしたって、どーゆう漢字を当てるんだ?」


飲み客の一人が彼女の頭に手を置きながら、喋る。ほむんは、くすぐったそうに頭を動かし、言葉を発した。


「たまたま逃げ、いえ、置かれた場所がアスクさんの家の前だったのです。

素敵なプレゼントでしょ?」

「いや、たまたまは、何となく察したけどよ?何で逃げてきた?(呟いた言葉を見逃さない)」

「えーっと(逃げの部分は否定せず)今にわかります。そろそろかな?」


屈託ない彼女の言葉と共に、店のガラスが派手に砕け飛び、けたたましい銃弾の雨が

俺達に降り注いだ…


 「外にいる人数はおよそ20。それぞれ暗視装置付きヘルメットに突撃銃消音装置付き!

スカータイプとⅯ648を使ってるぞ軍曹!誰だぁ?問題起こした奴は?」


素早く偵察に飛び出し、速攻で引き返してきた元外人部隊上がりの飲み客が

カウンター陰に素早く身を滑り込ませてきて、俺に報告を、何故か俺にっ!?報告を

してくる。それを追っかけるように続く空気を裂く消音銃弾の雨。カウンター内で頭を

抱えながら俺は怒鳴り返す。


「お前の頭は未だにリベリア内戦かっ!?決まってるだろ!この子追ってきたんだよ?

全くなんてこったっ!?最悪のプレゼントだ!…」


断言する俺の手を、冷たく小さい手が掴む。見ればフルフル泣き顔のほむんが、こっちを

見ている。ハッと衝かれるマイ良心!俺は何てことをっ!?第ピンチな自身の状況に

我を忘れていた。こんなか弱い娘っ子を怯えさせるなんて、同人野郎失格じゃないか?いや、そりゃ、勿論たまに18禁の奴は買ったり、見たりするけどさぁ!何か、慰めの言葉をかけようとする俺の眼前に顔を近づけた彼女が小さく囁いた。


「そそる?」

「・・・・」



彼女から距離を置き、膝を抱えて蹲る。一気に冷めた…不思議がるほむんの傍でアスクが

にじり寄り


「そこはもっと萌えアピール大事ですよ。ちょっと胸元が見えるようにとか…」


等々ほざいてやがる。状況を考えろ!全く!頭を上げれば一撃で人生お終いだって

話なのに…恐らく店は敵に包囲されている。客達は死んでるのか?

生きているか?はわからないが、テーブルなり、なんなりに身を隠しているのだろう。

元々荒くれ者や世捨て人が集う店だ。警察のパトロール外の区域であり、助けが来るとは

到底思えない。どうする?考える俺の耳に拡声器を通した声が響いてきた。


「中にいる者。無駄な争いは好まない。我々が欲しいモノはプレゼント。そちらから

贈り物をして頂きたいたこ。何を贈るかはわかっているだろう?」

「ああ、わかっているとも。わかっているぜ!クソッタレ…」


これ以上ないって言うくらいの悪意を込めて、呟き返す俺は、棚から転げ落ちた酒瓶の蓋

(銃弾で割れていた。)を口に含んで、考えた。

スゲェ上から目線の言葉遣いだが、こちらに降伏の余地をくれているらしい。ありがたい。だが、その決断をするとなると…チラリとほむんの方を見る。


「えっ?引き渡すの?」


って驚愕顔の彼女だよ。全くもう!よく見ればアスクも、

店長も!えっ?外人部隊までっ!?何で、そんな顔をして俺を見やがる?

てか何で俺が代表みたいになってんだ?

ああもう、本当にヒデェ!こんなプレゼントってあるかぃ!サンタさん!!


だが、ここで諦めたらいけない。俺には待ってる人…いや、人はいねぇ!

場所があるんだ。巨大な!ビックな!サイトの

ビックなイベントが俺を待ってるんだよっ!?

虚しいとは誰にも言わせないぞ!これが俺の生きる道!外道だろうが、最底辺だろうが!生きてやる!!

俺はスーッと顔を正すと、できるだけ平静フェイスを何とか作り、皆を見た。


「なぁ、みんなぁ!聞いてくれー!!スーハーッ!(息すっきりのミントの香りの

か・わ・り・にスコッチの香り)今から、そこのほむん、袋に入れてあいつらに

引き渡そうぜぃ!イッエェイ!」


瞬間、全員から繰り出された拳に顔面を砕かれる。しかも一番殴ったのは、ほむん!!

マウントで殴りまくりの彼女と他の野郎共が口々に罵声を、銃弾と同じくらい浴びせ

まくってくる。


「ひっどぉい!軍曹!最低、馬鹿鬼畜!!ペド野郎!!ぷ~に~なケットに参加しちゃえ!(ペドは普通、敵に売らんと思うが…ちなみに、ぷ~に~某は、ちっこい子集まれ的な

イベント。勿論、参加済み。)」


「軍曹!見損なったぜ!確かにアンタは覆面を被んなきゃ“あ、こりゃイカン”な面だけど、心はまっすぐな!素敵なクソ野郎だと思ってたぜ?(フザケタ事抜かすコイツには勿論、

一発お返ししてやったのは言うまでもない。)」


「バファでは…裏切り者は両手を落とす…(店長!バファって何処の国?てか、山刀

出さないでー!)」


「あんたとはアフリカで、はぁでに暴れ回ったけどよぉ!まさか、こんな…こんな

小さな子を売るとは信じらんねぇよ?馬鹿ぁっ!!思い出せよ!

95年のコンゴ、ドハフール空港右翼陣地!あんた、俺を助けてくれたじゃねぇか?

(それ何ていう軍曹?酔っぱらって、勘違いしてるよ?絶対!!

“よく見たら頭に酒瓶刺さってる!” 95年って、俺そん時幼稚園!!多分!)」


「テメェ等、拡声器で投稿勧告してから何分立ってんだっ!?コラッ!!こっちはもう、

待ちきれなくて突入してきちゃったこじゃねぇか!コラァッ!(え~っ!?外の人達、

いつの間にか、中入ってた~)」


気が付けば、カウンター周りを武装した隊員達が囲んでいる。他の客も良い按配で投降している状態。問答無用で撃つ訳じゃないので、とりあえず俺は安心した…


 「いや、すまんね。我々も穏便にすませたかったこだけど。町の人に聞いたら、この酒場は、かなり柄が悪いっていうもんでね。ちょっと覗いたこら、覆面かぶせたこな男を、皆で殴ってるじゃないか?仕方なく銃撃をさせてもらったこ。」


コイツ、上等なスーツ着て、偉そうな感じなのは大変結構だけど、目元が離れすぎじゃね?それにいちいち「た」の発音時に「たこ」が付くのは何でだ?

穴だらけのカウンターに座った男の周りでは銃を油断なく構えた

SОF共(特殊部隊装備)が客と俺達を牽制していた。穏やかでない状況は以前として

続いている。男が嫌に水っぽい、スベスベした手をこちらに翳す。


「要求は一つ。その少女を渡してほしい。ここにいるべきではないのだ、彼女は。

勿論、納得してもらえるな?」


言葉と共に兵士達が銃を動かす乾いた音が響く。参ったな。政府絡みじゃないとしても

強大な力が働いている。コイツ等の装備を見れば一目瞭然。大人しく要求に従うとするか…こんだけの武器が向いていれば、すんなりと話が進むだろう。彼女の秘密とか能力なんてのはどうでもいい。渡した瞬間に殺されるかもしれないが、それ以外に道はない。この展開を嫌う人は一杯いるかもしれない。でも、それは所詮、他人事視点の話。テレビやアニメなんか見て、


「最低だな!」


なんて言うのはテメェ(自分)の立場になってないからだ。だから好きな事が言えるし、

好きな考えを持てる。これが、特殊能力者や魔法少女みたいな能力があればいいが…いや、あってもわからないな?皆もそうだろ?実際は…と

非現実的要素大好きの俺が現実にそーゆう場面に立ち会った時の対処法を、

ひとしきり披露した後に、口を開いた俺の口から、いや、俺じゃないっ!?俺じゃない

けど!俺、クリソツな声が店内に響き渡ったー!!


「その子は何と言ってる?」

「んっ?」

「その子はお前達と行きたいって言ってるのか?俺にはどうしても思えないんだが?

なぁ、どうだい?」

「ウン!ありがとう軍曹。」


わかったー!この子、ほむんちゃ、いや、ほむんさん腹話術使ってる~!?一人芝居してるんだ~?へぇ~っ、すっごい~!とても良い笑顔だね~!そっかぁー…まっずい~!

凄い表情で魚ヅラのボスが俺を見ていた。


「それが、貴様らの答えか?なるほど…よくわかったこ。」

「いや、よく見るのはアンタの方、よく見て?動いてないよ。俺の口!」

「今、動いたこ!撃てっ!」


相変わらずのよくわからん口調なボスの指示より早く、カウンターから飛び出したアスクが兵士の顔面を殴る。応戦しようとした彼等の顔面に酒瓶をヒットさせるのは外人部隊だ。二人の動きに呼応するように、今まで大人しくしていた客達が、すかさず兵士達に飛びかかり、武装解除をしていく。どいつもコイツも酷い!責任は全部俺におっ被せか?この

野郎!全く酷いぜ!


「軍曹、後ろ!」


兵士の頭に飛び突き、ボコボコ殴りまくってるほむんが叫ぶ。オイッ!口真似は止めろ!

って思ったら、本人のほんわかボイスやん。一体何がっ?


「おのれ~小癪な人間どもがぁ~っ!!」


いつの間にか、立ち上がったボスが怒りを露わに近づいてくる。その顔は皮膚が破れ、

ぬめった水色の黄色い目玉と触手づらのタコ野郎…えっ?リアルタコ?旧支配者?な怪物が接近してくる。戦ってる周りの兵士達が恐怖の悲鳴を上げて、口々に叫ぶ。


「えっ?ウチのボス、クトゥル何とかのモンスター?」

「そういや、いつも風呂入った後、変にヌメヌメしてたけど!」


部下も知らなかったんかい?とのツッコミ前に、眼前に迫った敵の頭がスパッと文字通りに二つに分かれ、その場に崩れ落ちる。呆気にとられる俺達の横で山刀を構えた店長が

一言呟いた。


「家の店はタコ料理出さねぇ。」…



 「ホントはね。ホムンクルス(人造人間)なんだ。私をつく…」


静かに喋るほむんを手で制す。事情を聞くにはお腹一杯だ。店の修繕、兵士達の対応と

タコの片付け。問題は一杯残っている。今言える事は…


「ほむんの好きにしな。もう自由だぜ?」


しばらく、こちらをジッと見つめる彼女。全く…カワエエな。コイツは要らねぇ、

いや、貰っちゃいけないプレゼントだ。


「じゃぁ、これ…」


少し笑った彼女が小さな石を取り出す。受け取る俺に軽やかな声が響く。


「早いけど、クリスマスプレゼント。じゃぁ…またね。」


ボロボロのドアを乗り越え、消えていく彼女。慌てたアスクが追いかける。

俺はその、何の変哲もない石を見つめた。

ホムンクルスと旧支配者的タコ頭…彼女の経緯から察すれば、まさか、これは賢者のい…

どんな願いも叶うという…俺は少し考えてから、短く笑い、店長に渡すために歩きだした…(終)




 

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