脅迫?哀願?特殊部隊!

低迷アクション

脅迫?哀願?特殊部隊!

脅迫?哀願?特殊部隊!


 「“魔法少女は出張中?”えっ?出張って、何かの暗号?解読表はどこだっけ?・・・

ねぇよ!ある訳ないやん。えっ?何っ!?あの子ら会社組織なの?この野郎!

どうするんだ?コンにゃろう!!」

「今は傭兵さんも、PMC(民間軍事会社)なんて会社に就職する時代ですから。

そう言われてみれば最近のアニメに出てくる変身ヒロインとか魔法少女も組織的に

国家的規模で運営されてますよね?」

「そうゆうアニメ事情はどうでもいいんだよ!今の世ん中を見てみろ?さっきまで俺が電話した魔法少女は実際にいるじゃん?更に言えば、俺達が解決しなきゃいけない

“この極東の島国において、ありえないくらいの重火器で武装した集団”は

現実問題として地に足ついて、ナウで暴れ回る予定だぞ?」

「そうですよね。それが問題ですよね・・・・」

「ああもう、昔は良かったな!ベトナム戦争の頃を覚えてるか?米軍の機密を満載したブラックボックス積んだ輸送機が敵地の真ん中に落ちた時の事を?」

「思い出しましたよ?駐屯地の酒場で経験豊富な奴等をかき集めて、回収に行かせた奴ですね?確かに、昔は良かった!場末の酒場に行けば、殺し屋なり、傭兵なんかがすぐに頭数揃いましたからね・・・ん、待てよ?確か、この町は・・・少し当てがあるかも・・・」

「何でもいい!使える奴ならどんどん投入しろ!夜明けまでにカタをつけろ!」

「勿論、了解です!店の名前も打ってつけですよ。」…


 産業、経済が衰退しまくり、潤い無くしまくった感じの様相を呈している我が

“荒廃した地元”の選りすぐりの最下層どもが集う酒場。店の名前は

“フロムダスク・ティルドーン”日没から夜明けの意味を持つ、この場所で俺は

ノンビリ酒を飲んでいる。あだ名は“軍曹”別に兵隊って訳じゃないけど、何故か

こう呼ばれている。本当はおかわり頼みたいけど、頼むのに、必要なマネーは

もう尽きている。ちなみに言えば、今飲んでいる金も払うアテはない。


(さて、どうするか?)


と思案する。一気にかっくらって逃げ出す手もあるが、すかざずカウンターから

マチェット(山刀)が飛びだすだろう。ここの店長は、こと食い逃げに関しては

とても厳しいのだ。悩む俺の心を見透かしたかのように、ふいに目の前に当の店長が立つ。

日焼けしたメキシコモロコシみたいな顔つきに黒い長髪。ガキが見たら卒倒する事間違いなしと見受けられる面構えが、俺を見下ろす。こっちも卒倒しそうだよ。全く。

言い訳を口からミサイルみたいに発射する準備を整え中の、俺の頭の

電子コンピューターは、店長がコップになみなみと注いだ“おかわり”に“解読不能”の文字を大きく映し出してオーバーヒートした…


 「仕事がある…」


店長は短く言葉を発して、奥の席…個室とかじゃぁ、勿論ない。ただ単に奥なだけの

テーブル席を指し示す。こちらが文無しという事はとっくに承知らしい。俺はため息一つ、コップを持って席を移動する。席配置を見る感じじゃぁ、正直逃げ場はないが、

余裕を見せておくのは大事な事だと思う。既に席には3人の人影が座っていた。

店内は必要以上に薄暗いけど、何だかシルエットがしなやか、しゃな~りとしている感じがする。あれ?可笑しいな?こういう展開だと、ガッシリしたマッチョ面な影が出迎えるはずなんだけど…更に近づいた俺は、思わずため息をつく。


「どうなんだろ…これ?」

「ああっ?どうなんだろ?ってなんじゃぁっ!?わりゃ、オイッ!」


俺の嘆息にテーブル席を拳でドンと叩いたのは、この店のホステス?看板娘?

南米の酒場とかで言うと店に飼われている娘の“あんず”だ。勝気な性格とワイルドな

感じで皆からよく慕われているけど、特にそれ以上の事はない。恐ろしく格闘能力があるとか?妖艶な魅力は皆無だ。せいぜい、言葉遣いが非常に汚いくらいだ。


「いや、何で、あんずなの?もっとさぁ、こうなんていうかさぁ。筋肉隆々な無頼漢とかさぁ、細見だけどアサシンスキルMAXなおねーさんでしょ?ここはさぁ…」

「うるっせいな!今は平日の深夜2時、皆寝てる時間だし、家族もある奴、仕事がある奴はこんな店にはいねぇよ。お前くらいだよ?暇そうに無い金気にしながら、ガンガンお代わり頼む奴ぁよ!」


吠えまくる怪獣面のあんずはどうもでいいとして、横でオドオド、ビクビク震えている

シマリスみたいな女の子がそろそろ気になり始める俺がいた。仕事の内容もそうだが、

見たところ、服装もちゃんとしているし、正直こんな店には場違いすぎる気がするが…

こっちの視線に気づいたのか?あんずがニヤリと笑い、その子の頭をガッシと掴み、

胸元に引き寄せる。思わず悲鳴を上げる女の子。そりゃそうだよ…


「ひゃううっ」

「なに、鳴いてんだよ?この子はっ!?ちなみに名前は“しずく”あたしの後輩。

使えそうな奴が集まらなかったんで連れてきた。」

「拉致されました。」

「なぁにぃ~っ?」

「すいません、ごめんなさい。ぶたないでぇ。」

「や、やめたげなよ。(思わず声をかける俺)」

「ふんっ、まぁいい。後でな?(その言葉にしずくがビクッと震える。)とにかくこの子の“フルフル感”は使えると思うんだよ。今回の仕事にさ!!加えてこれを持続

させるために、ある仕掛けを施してるのさぁ。」


赤い舌をチロチロ楽しそうに見せながら、あんずは喋りを止めない。本当に楽しそうだな。

コイツは…雌猫がウルウル目のハムスターをいたぶる感じで、しずくの髪を撫でながら、猫撫で声で囁きかける。


「しずくぅ~?あんたの飼ってる仔犬ちゃん可愛いねぇ~?」

「ハ、ハイ?」

「いいから、そこは“はいっ”て素直に言うんだよ。(あんずが、しずくの髪を勢いよく

引っ張る。)」

「ひゃんっ、ハイッ!!」

「“ハイッ!!”じゃねぇ!“はいっ”だ!(再び髪を引っ張るのを制して俺が突っ込む。)」

「いや、わかんねぇよ?そんな微妙なニュアンスなんかよ!」

「はい~…」

「ふん、まぁいい。もしこの仕事が上手く行かない時は、アンタの犬はあたしの仲間が

ミキサー車に放り込んでミンチボー・・・」

「ひゃああああっー!(しずくの絶叫。)」

「おいいーっ!脅迫じゃねぇか。お前等?マフィア?闇の組織なの?おウチに返してやんなさいよぉ~!」

「黙りな!軍曹!それくらいあたし等は切迫してる訳なのさ!ためらいや個人的感情はこの際!捨てる!」

「そんなに危険なの?俺、全然役に立てる気がしないんだけど(すかさず、あんずがしずくの頭を掴む。ウルウルお目目が俺を見詰め…)よし、わかった。

わかったよ。とりあえず話を聞こうか…」3人目の紹介(照明がついているのに何故か

姿形がボンヤリで見えない?)は後に、俺は話を聞くことにした…


 「事の発端は1時間前(早?“さっきじゃん”とのツッコミは無視された。)国内で

活動している武装犯罪組織“ヘルマスク”の一団がこの町に潜入したそうなんだ。

そいつらは軽機関銃に対戦車ミサイル。オマケに大量の爆薬を持ってるときた。」

「正直?勝ち目無くね?って気持ちが心の全体を占めてるんだけど、更に言えば、

大量の武器弾薬ってのは悪い奴等によくあるパターンだよね?でも、こんなしけた町に

持ってきてどうする?意味ねぇだろ?」

「こんな町だから良いんじゃね?夜になれば人っ子一人いないし、警察は

カップラーメン食うしか能がないさ!もっとも5発しか入らないニューナンブやⅯ37が毎分900発のマシンガンに敵う訳はないけどね?それに肝心の正義の味方は出張中で、

出払ってるそうだからさ。まがりに曲がってウチ等の所に依頼が来た訳よ。」

「依頼が来る場所間違えてるよね?確かにここは、ゴロツキ共が集まってるけど。

町も全体的に荒廃してっけど。いやぁ、むうりだろぅ~俺達じゃぁ…だいたい正義の連中が出張中って…それってどうなの?」

「なあにぃっ?ええ~いっ、グダグダと煮え切らない野郎がぁっ(掴んだしずくの頭に力を込める。)」

「みゃあぁぁ~っ」

「わかった。すまん。合いの手ゴメン!話続けて!」


あんずの意に反する俺の言葉は、しずくの身体で払わされるようだ。これは何て脅し?

と言いたいが、我慢する。


「とにかく、連中の意図は全く読めないけど!この町にいる。潜伏先もわかっている。

依頼主たちの様子じゃぁ、かなり事を急ぐようだから、すぐに行動しないと不味い。人数、目的は一切不明だけど、とりあえず奴等を無力化できればOK!わかった?

依頼主についてきは聞くな。最高位の存在、神と同等だと思いな。」

「報酬は?」

「今日の飲み代は店が持つ!」

「やっす、いくら人がいねぇからって、命張るんだよ?それは酷くないか?泣きそうだぞ!?この野郎。」

「大丈夫、向こうには歴戦の勇士って嘘こいといたから。」

「こくなよ?後、とりあえず、しずくさんから腕離しな。ろくに話ができねぇ。」

「ふっふぅ、いいだうぅ(喋りながら、しずくを手元から離す。)だが、アンタは

この依頼を断る事ができないよ。」

「な、何っ?」

「さとみ!顔を見せてやんなぁ。」


ニヤリと笑うあんずが、3人目の子を紹介する。

“さとみ”と呼ばれた色白の何処か儚げで幸薄な少女が立ち上がり(さっきまで気配も

感じれなかったけど…)こちらに笑顔を向けようとした表情が突然ひきつり…


「う、ううう、ゴホン、ゴホン。」


うめき声をあげながら咳き込み、そのまま蹲る。


「大丈夫?」


思わず駆け寄る俺だが、体が震えだす少女の床下に赤い液体が広がったのを見て、足が固まる。


「ギャァァァ、この子、仕事する前から吐血してる!誰だオイ?見えない攻撃、呪いか、

それとも万病的なアレなの?」


俺の問いにも答える余裕もないといった感じで蹲り、震え続けるさとみ。

そこでハッと気づく俺!


「わかった!この子、もしかしたら、あれかぁ?俺達を油断させるための演技をしているとか!もしくは吐いたものから毒性の何かを発生させる能力者的な感じかぁ!」

「いや、さとみは純粋に病弱キャラだよ?さっき、病院から連れてきたんさぁ。」

「先に言えやぁぁ!あんずぅぅ!!てか、いくら人がいないからって、

なんてもん連れてきてんだぁ?」


間髪入れずにツッコミを返す。そんな俺に…


「いえっ、だ・・・大丈夫。」


口から赤い液体を迸らせながら、こちらに這い進んでくるさとみ。やばい、ホラーを

通り越しての恐怖だ。全員が自然と後ずさる形になる。


「わ、私、この通り体弱いけど、町の平和のために一生懸命戦いますから!・・・」


最後の部分だけ、目を「カッ」と見開き、這い寄りを加速させるさとみに

怯えながら言葉をかける。


「お、落ち着こうぜ。さとみさん?その気持ち!凄く大事!でも今は平和?ノー!ノー!それよりもマイボディ!体を大事にしましょう。アンダスタン?」


俺の震え声と、いつの間にか片手にしがみついたしずくが同じくらいの震え声で説得する。


「そうですよ。アタシ、グッドな病院知ってます!ハイッ!」

「南米の秘薬・・・まだ店にあったかな?店長ぉぉぉっ(お前が連れてきたんやろが!と無言で睨む。」


各々、個々の最大元なポテンシャルを活かしたフォローを入れた結果、動きを止めるさとみ。一同に、安堵のため息が秘かに漏れる。だが、次の瞬間。激しいうなり声を発し、先程より更に激しく咳き込むさとみ。


「ごほ、ごほっ、ま、不味い・・・出ちゃう!」


「何がっ!?と」全員、心の中で恐怖の絶叫を上げる。床下でブルブル痙攣する彼女に

代表というか、無言の攻防に負けた俺が前に押し出される形で質問する事となった。


「あの、さとみさん?(いつの間にか敬語!)」

「・・・」

「そのなんていうか・・・俺達で用意できるものがありましたら、なんなりと言って下せぇ。例えば救急車ですとか、防護服で身ぃ固めた対生物災害対策部隊ですとか。必ず用意しますんで!!」

「・・・ホントに・・・」


俺の力強い声に、僅かに顔を上げるさとみ。ほっとする一同。だがすぐにうつむき、咳き込みが再開される。


「さとみさん!!」

「高級アイス・・・」

「?」

「こ、ここから500メートル先に行ったところにあるコンビニ、ファック・マート

路地裏前店で今日、限定発売している1個540円税込みの高級アイス100個が・・・欲・・・しい。」

「100個?えっ、欲張りにも程がない?スーパーサイズユー?

いや…ちょっとタ~ンマね。さとみさん。」


何だか、アイスの注文をする時だけ淀みない感じだった気がしたけど…とりあえずの問題は…顔を付き合わす軍曹達。いつの間にかあんずも加わっている。


「あのよ?何か仕事云々より先に…多分、俺の気のせいだと思うんだけど、さとみちゃん、もしかして、本当に可能性の話なんだけど、仮病じゃない?俺達をゆすってない?」


頷く一同。あんずに至っては「不味いの連れてきたなぁ~。」とやや反省気味な様子だ。


「わかりました。思い切ってさとみさんに、どこまでが本当ですか?って聞いてみますよ。

軍曹!」


決心したといった表情のしずく。目も良い感じにキラキラだ。そうだな。確かにこーゆう時は、まわりくどいのより、直接聞いた方が効果抜群な時もある。


「やってくれる?しずくさん。」

「ハイッ!」

「よっしゃ、気をつけてね。」


軍曹の言葉に軽く手を上げ、さとみに歩みよる彼女に軽い感動を覚える俺がいる。


「あの、さとみさん・・・」


瞬間、顔を上げたさとみの口から緑色の液体が吐き出される。それを、もろに顔面に喰らう

しずく。全員の悲鳴がこだまする。床へ静かに崩れ落ちる彼女の顔には緑色の液体が

ベッタリと張り付いている。その場に凍りつく一向の視線に気づいてか、さとみが

顔を上げる。その口から緑色の液体が一筋糸を引く。


「これなら…お役にた、立てるでしょ?フフ……フウッ…ウウッ…次は誰がっ…?」

「ワアアアアア~すいません、これ脅迫ですよね?絶対!あ、すいません、心の声が

現実に飛び出してしまいました。アイス買ってきますね~!」

「えっ?ちょー、武装集団ヘルマスクはどうすんのよ?」

「それも込みだ!行くぞ!」

「わ、私もぉ…行きます~…ウゥ…ウゲ…」

「ワアアアアア~」


第2弾を発射しそうにえづく彼女に、俺達は悲鳴を上げて床に転がるしずくを運び出し、

暗い外に飛び出した…


「いや、そーゆうのは店行って、買ってくれよ。」


ガスマスクとドイツ製突撃銃G36で身を固めた“ヘルマスク”の団員は困ったといった顔で

こちらに応じる。確かに、夜中の倉庫街を顔ベッタベタにした放心気味の女の子と、それを引き摺る2組の男女の組み合わせはちょっとないだろう。「止まれ」と構えた銃を下してくれたのは本当に助かったが…今は


「それどころじゃねぇ!後ろから這い寄る病原体Xが!文字通りに這い進んできてるん

だぞ?この野郎!いいから、高級アイス100個出せや!オイッ!」

「いや、落ち着けよ。ウチは売ってないって言ってるだろ?てか、場所を見てっ!?

倉庫街だよ!ここ!?置いてある訳ねえじゃん!更に、これは…俺の善意で言うけど、別に

あれだからな?100個集めても願いは叶うとか、そういう事はないからな。」

「んなこたぁ、わかってるわ!ええいっ、ちょっとこっちにこい!しずくぅ!」

「ふにゃぁぁ~い?」


「埒が明かねぇ!」って感じで頭掻いたあんずが、しずくを前に引き出す。意識朦朧な彼女の頬をビビビビンと思いっきり張る。


「ひゃんっ、ひゃあんっ。」

「とっとと起きな!眠る許可は出してないよ!ほらぁっ、あんたが何されたか、この兵隊さんに話しておやり!ほらっ!さぁっ!!(言いながら、また頬を張り、悲鳴を上げる彼女。オロオロする俺と警備の兵隊。)」

「いや、その辺にしとけよ。俺が言うのもなんだけどさ。(こっちの言葉に兵隊も頷く。)」

「甘い事を!言いやがってからに!早くしな。しずく!じゃないとあんたの犬は今頃…」

「みゃあああああ~んっ!」

「うるっせいぞ!お前ら!一体何事だ。」


終わりの見えない会話に気が付けば、俺達の周りは倉庫から飛び出したヘルマスクの軍団に囲まれていた…


 「なるほど…つまり、こちらのお嬢さんのワンちゃんが、後数分でコマ切れになりそうで、さらに言えば、お前達の後ろに何か凄い病原体が迫っているという事だな?それで?

アイス100個を用意しないと不味いと?…よくわからんが俺達には

何も関係ない話だよな?」


全員ガスマスク集団のリーダー格が、もっともな疑問をぶつけてくる。何とか武装集団全てを外に出す事に成功した。ノコノコ出てくる様子は、一見ゆるめな印象を持つが、

全員がゴツイ防弾アーマーと巨大な銃を持っている。これだけあれば、誰も止める事は

出来ないだろう。そこから生まれる余裕という所か?しかし、下手な説明では全員ハチの巣だ。上手く事を進めねば…そう思案する俺の横から飛び出したしずくが目を

クリクリ輝かせて叫ぶ言葉に思わず発狂しそうになった。


「貴方達を武装解除すれば、ワンちゃんもアイスも大丈夫なんですぅ~!」


俺とあんずが同時にしずくを後方に引っ込め、固まった感じのガスマスク集団(超こええ!)に無理やりな笑顔を向ける。


「ゴメンなさいねぇ~この子舞い上がっちまったみたいでぇ!もうねぇ!ハッハァ!」

「こんの馬鹿雌犬!(あんずが笑顔の反面、しずくに“キスできるんじゃね?”くらい顔くっ付けて囁く。)お前は後で…もし後があったら、お尻の皮がひん剥けるまで皮鞭で躾けてやるから覚悟しておきぃな!」

「ヒイインッ、ごめんなさ(あんずが口を抑え、自身の胸でしずくの顔面を押しつぶす。)

「オイッ、お前等…」


リーダーが低い声で囁く。それを合図に全員の銃口が上がる。万事休す!大ピンチだ。目を閉じた俺に、耳障りな、這いずり音と恨めしそうな声が聞こえてくる。まさか…これは!


「ひ~ど~い…じゃないですかぁ~。私をお~い~て~いくなんて~?そして~アイスはどうしたんですか~?」


ズルゥッ、ズルゥッと這いずるさとみが俺達の後ろに姿を現す。まさか、店からずっと這いずってきた?「偉い!努力家さん!」じゃない。「ヤダ!怖い!!ホラーな這いずりさん!」だ。


「ずっとぉ~…冷たい地面を這ってきてぇ…もう限界ぃ~」

「落ち着いてよ、さとみ!アイスは買ってくるからさぁ!」

「そうですよ!私もグッドなアイスを買ってきます!」

「そうっすよ、お目当てのヘルマスクさん達は目の前にいるじゃないすか?せめて、コイツ等だけでも!!」

「貴様ら!何を言っているんだ?もういい!全員殺せ!」

「バッカヤロウ!この状況じゃぁなあ?お前等も俺達も一蓮托生なんだよ!空気読め!」

「もう…げんかぁ~い~」


さとみが大口を開けた、次の瞬間「えっ?その小っちゃなボディーの何処に、そんなもんが?」ってくらいの緑のビックウェーブが俺達を包みこんだ…

悲鳴と怒号が連続して起こったのは、もはや遠い記憶のようだ。緑色に視界が歪みまくった俺は、ゆっくり立ち上がった。辺りを見れば、もう色々喪失って感じのしずくと放心状態のあんず…死屍累々のヘルマスク軍団が転がっている。いや、全員ではない。俺と一緒に立っている奴がいた。恐怖で顔が震えてくる。口から緑色の雫を垂らし、さとみが一瞬微笑んだように笑い、ゆっくりと告げた。


「つぎは~…アイスゥ~200個~。」

「ウワアアアアアー」


その声に俺と勿論ヘルマスクを含む全員が弾かれたように立ち上がり、コンビニに

向かって走りだした…(終)


 

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