第2話 ハイスペック妹

彼女は座席表をみてすぐに席につき、本を読み始めた。

(文学少女で黒髪ロング。完璧な組み合わせだな。席も窓際でめっちゃ様になってんな。写真みたいだわ)

ぼーっと彼女を眺めていると先生が入ってきて入学式の流れを説明したあと、体育館に誘導された。


式が始まり、校長先生や来賓の人達が話をしていた。

「続いて、入学生代表伊藤雫」

そう呼ばれて壇上にあがって行ったのは、一目惚れした彼女だった。壇上に立っているということは入試トップで合格したという事だ。

(伊藤さんっていうのか、覚えておこう)

伊藤雫は原稿をスラスラと読み上げ自分の席に戻って行った。


式が終わって教室に戻り諸連絡を聞いて解散になった。貴斗とだけLINEを交換して、家に帰った。


「ただいまぁー」

「兄ちゃんおかえり」

そう言うと鞄と上着をサッと持ってくれた。嫁かよっ。俺はそのままソファーにダイブした。

「そういえば友達は出来た?」

静葉はお茶を出しながら聞いてきた。

「1人だけ連絡先聞いた」

「よかったぁ。兄ちゃんあんまり友達いないから安心したよ」

俺は友達がいないのではなくつくらないのだ。大切なのでもう一度言ういないのではなくつくらないのだ。

「あとショートケーキ作ったからあとで感想聞かせてね」

静葉は将来パティシエになりたいといってちょうど1年前の中一の頃からお菓子を作り始めた。それを俺が食べている。本日の晩御飯をとっとと平らげて、ケーキを食べ始めた。

「どうかな?おいしい?」

「う、うまい」

「よかったぁ。ちょっと失敗して誤魔化したんだよね」

これが失敗して誤魔化したケーキなのか。その辺のケーキ屋で買うより全然うまい。妹はめっちゃハイスペックなのに俺はなんでこんな感じなのか、悲しくなる。


俺は食べて少ししたら自分の部屋に戻った。とりあえずラノベを読み始めた。

コンコン

「兄ちゃん分からない所があるんだけど」

そういって数学の教材片手に入ってきた。

「どれどれ。あーこれはなここをこうして、ここに代入するんだよ」

「おおー。ありがとう兄ちゃんっ」

とびきりの笑顔でお礼を言われた。死ぬっ死ぬっ可愛すぎだろ。幸せな気持ちのまま俺は眠りについた。

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