やさぐれ同人~荒廃した地元交戦記録~

低迷アクション

やさぐれ同人~荒廃した地元交戦記録~ 

やさぐれ同人~荒廃した地元交戦記録~



「その子、シュメール人だよっ!」


叫びと勢いよく叩きつけた俺の拳がテーブルを浮かす。周りの席の奴等が、驚いた様子で

こちらを見るが“叩きのキッカケ”を作った当の相談者は沈んだまま。これじゃぁ

叫び損だ。


「オイッ!お前等、映画の“フォース・カイ〇ド”観ただろ?夜中、部屋に来るフクロウ!

あれだよ。」


俺の声は、全員の頭にハッキリ浮かんだ「?」によって理解不能と片付けられた様子だ。

こちらに集中していた視線はすぐに切り替わり、元の会話に戻っていきやがる。バイオの

ミラ・ジョ〇ヴィッチだって出てるんだぞ?誰か観ておけよ?と手前勝手な自分もヒドイが、問題の相談者を放っておく訳にもいかない。新しい酒を注文した俺は、こちらから話を切り出す。


「まぁ、それで、お前の所にくる、け〇フレのフクロウさんの件だけど…」

「いや、けも〇レのフクロウさんじゃないです。明け方に聞こえる声の話です。」


そこは即座に否定する友人。この場での“オタク的ネタ”は禁句だったか!?激しく後悔するが、もう後の祭りってところだ。今度はゆっくりテーブルに拳を付けた俺は、深く反省した…


 オープニングが長くなってしまったが、ここらで紹介を!!俺のあだ名は“軍曹”

荒廃した地元で燻る“同人野郎”だ(二次創作、一次創作。オリジナル小説の作成!投稿!

時には現実面での創作的?探求もしばしば…!)今、世間は、俺がガキん頃には考えられないくらい“アニメ、漫画文化”がメジャーなものとして受け入れられ、国益にちょっと関わるくらい(いや、結構関わってるか)な状況となっている。いや、気がするくらいに

言いとどめておこう。あくまで個人的な感想だ。だが、都内の即売会(コ〇ケとか)に参加したりで、たまに地元を離れれば、電車のつり革広告、市街に貼られたポスター、看板に

彼等、彼女等の姿を多く見かけると、このクールな文化…狂った文化の浸透具合を肌で感じられる気がする。(歴戦のオタク道を突き抜けてきた戦友達から言わせれば、隠れ潜むべき文化が公然と町中を闊歩する様は狂気の沙汰という意見もあり、わからなくもないので、

敢えてこの表現を使用したいと思う。)確かに都内に住んでいる彼等からすれば、

そういった時代の変化をまざまざと見る事ができるだろう。自身達がオタクでないダチ公に隠し通してきた文化、地元の本屋で“萌え系コミック”買えないから隣町の本屋に

行ったり、コ〇ケ帰りの改札で友達以上、恋人未満の彼女に“萌え紙袋”を見られて、その場で破局!!的な、苦い“思い出ボロボロ”の記憶があれば、現況フルオープンな世界に

戦慄するのも無理はねぇ。だが、それは都内で生きる人間達の話ってもんだ…


 「朝になると消えてるんですが、余韻は残ります。それで俺、今度はその正体を見てやろうと思って。部屋の窓を見てたんです。そしたら…」

「フクロウが覗いていたと、えっ!?ガチの方の…」

「そうです。軍曹。フクロウ…いや、あれはフクロウじゃない。フクロウじゃ…」

「ホラァッ!ホラーじゃん。フォースなカインドの方や~ん!よっしゃ、わかった!!

すいません!とりあえず彼に酒を一杯。」


ここからは本題に戻すとしよう!相談者の話に驚きながらも、注文と一緒に時計を見る。

午後8時40分。お悩み相談が始まってから1時間が経過している…

不味いな、何処かで話の終着点を見付けねば…ちなみに彼の紹介を忘れてた!名前は“B君”万年空っ欠の同人野郎の俺とは違い、きちんとした勤め人だ。勿論、漫画アニメが大好きで一緒に同人誌即売会等々、サークル参加をした事もある。そんな彼が(ちなみに実家暮らし)自室で休む際、明け方近くに歌声のようなものを聞くと相談してきた。それが別段、

怖いとか、不気味だと言うものではない。ただ、その妙にくすぐったい音色を聞いていると、何かとても不味いような、良くない所に引き込まれる感じがするそうだ。おかげで連日

絶好調で寝不足になってしまった彼は、先日勇気を出して目を開けたら(別に金縛りとかにかかる訳ではないらしい。)フクロウのような怪人?(怪美少女ではないのが、非常に残念。)が窓から覗いていたという。B君の家の裏は鬱蒼とした林、「何か出そう!」なスポットではあるにはあるが…(ちなみに冒頭「シュメール人」ネタは実際の映画で確認して頂きたい。正にクリソツな状況が展開されており、彼の悩みがより一層わかるというものだ。)加えて

怪しい歌声!怪奇小説ならコレ定番といっちゃぁ、定番だが…いや、あるか!?

あるもんな!ウチの地元なら!!…


 「燃え盛るマンションの中から子供を助け出した覆面男を見た。」…どっかの外国記事。

「“これ何かの撮影?”フリフリの衣装を来た魔法少女風な子が

真っ黒い靄のようなモノと戦っている映像まとめ」…某有名掲示板のまとめスレ。

「東南アジアの海域で巨大不明生物の死骸が流れ着く。」…Ya〇ooニュースサイト。

「“ウルト〇マン!?”閃光を発した光が市街に落下。」隣町のタウンなニュース。


最近の世の中は何だか!「漫画みたい!」な出来事が頻発している気がする。勿論、

科学技術の発達とか、人間の頭ん中の文化レベルが最高潮(?)に近づいている、良いのか?悪いのかな?そんな方向に向かっている兆候かもしれないけど!とにかくそんな素敵で!どこか恐ろしげな世界の到来を迎えつつある昨今だと思うのだが!

我が愛しの地元はと言うと…


「“パチンコ店でリアル弾ハジき!?”店員に対し、客が拳銃発砲!」

「鹿さん大暴れ!山間部の公共施設全壊!」

「“先に仕掛けてきたのは奴等だ!”高校生達と社会人!自転車競走!暴走1キロ走破!」

「“老人ホーム建設予定地はテロリストの武器庫?”旧ソ連製自動小銃2丁発掘!」

「“地元でジョーズ?”アオザメ漁港を襲撃!数分でかまぼこ!お手柄!血気盛んな

地元民の雄姿!」


えっ?何なん?ウチの地元?全然ドキドキワクワクしないんだけど?「漫画みたい!」

じゃなくて「午後ロードみたい!」みたいなんだけどっ!?(ちなみに午後ロードとは

毎週平日午後1時半頃から7チャンで、やってる映画の時間!昔は名作しかやらなかったけど、現在は「サ~メ~」とか筋肉照準ガチバトル的な!ものが多く、午後の穏やかな

ひと時を問答無用でぶち壊す!大変刺激的な作品が多く放送されている。先程の

フォースなカインドもやった事ある。)毎日がワンダフルデイズじゃなくてエンドデイズ

だよっ?更に言えば、これは俺達事情だが、アニメ映画とか、ちょっとコアだけどオタク

殺到な作品なんかは上映した試しがねぇっ!(劇場版艦こ〇が来た時は皆で泣いた。)

そんな世紀末的空気が常に漂い続ける我が町は、良い感じの深い山と古城、そして海に囲まれ、今日も何処かで怒声と轟音、時々銃声、肉食獣の咆哮が上がるといった按配…正に

荒廃した地元なのだ。普通なら笑ってスルーしたげなB君の話を「さもありなん。」と

思ってしまう訳がわかって頂けただろうか?さて、ここからは彼の悩みの解決法だが…

俺は“3日前の図書館での出来事”を思い出していた…


 「えーっとですね。お客様のお問い合わせしました“闇の展開図”は、現在当館には

置いておりませんね。」

「あ、はい、わかってますぜ。検索機で調べましたからね。あのですね。闇の展開図じゃ

なくて“闇の展開図Ⅱ”なんすよ。」

「あ、そうですか…じゃぁ、今探してみますので。」


図書館司書(最近は派遣サービスらしい)のおねーさんがスゲェ訝し気な視線で俺を見る。そりゃ、そうだよ。だってこれで2回目だよ?先週も同じ話したぜ…

行動不一致も甚だしいが、俺こと同人野郎は、結構本を読む。こんな事を友人達に言えば、


「電〇文庫?図書館に置いてんのか?」


なんて言われてしまう始末!いや、好きだけど!ラノベ好きだけど、違うんだよ。扶桑〇

ミステリーとか!創〇SF推理文庫とかハヤカ〇SF文庫とか結構読むんだよ。勿論、

電撃だって置いてある所には、あるにはあるけど!(ちなみにウチの図書館はやっぱり荒廃していて、市民からのリユース本として、エロゲー雑誌が置いてある時がある。)とまぁ、そんな感じで今日は、あまり役に立たない図書館検索機をフル活用し

(目的の本にヒットするまで時間がとってもかかる。)古代の呪術、お話し系を多数収録した本を注文した訳だけど…一冊目はデータ上では存在するが、実際の本は無く、仕方ないので今度は二冊目を貸し出そうとしているのだが…


 「どうも見つからないみたいですね。やはり当館には・・・」


カウンター前で8分…立ちんぼの俺に、少し大きめな声でスタッフの人が伝えてくる。

確かにゴツめの服装に加えて人相不敬な輩の俺では、下手すりゃクレーマーと間違えられかねない。しかも、時間帯は休日の午後…周りの子供やら、おじいちゃんやらが俺にとても冷たい視線をむけている。図書館に警備スタッフがいるとは思えないが、そろそろ何等かの処置をとられそうだ。仕方ない。こちらから断りを入れようとする俺の視界に、

やたらはしゃいだ感じのおねーさんが、書庫から飛び出してくる。


「あった~!ありましたぁ~!“闇の展開Ⅱぅ~”見つけましたぁ~」


黄色い声ではしゃぐ!おねーさん。その手には“目当ての本”が握られていた。喜ぶ俺に

本を手渡す彼女が笑顔で付け加える。


「ごめんなさ~い。背表紙が薄くなってて読めませんでした~。」


おいいーっ!それでいいんかぃ!スタッフの方ぁ~!返してよ!俺に向けられた不信の

時間をさぁっ!と心の中で思わずツッコむが、目当てが見つかったので良しとする。早速、家に戻って内容を確認した俺は思わずビックリ。ある!ある?あるっ!?呪いやら、それに纏わるおどろおどろしい話の数々がっ!?その時の身震いを思い出し、もっとブルブルな俺だが、B君の話と似たようなお話がいくつかあった気がする。つまりB君に対し、何か呪いが、かかっているのかもしれない。目の前で自論を繰り出そうとする俺の声は、横から

聞こえた野太い声に遮られていた。


「いや、違うな。そいつは呪いじゃない。」


突如として!背後から聞こえた野太い声に、俺が頭の中で考えた1500文字くらいの

“図書館の出来事+そこから導き出される持論”は一瞬で打ち消された…

 

  「相変わらず声がデカいな。軍曹。店の端っこまで、聞こえてきたぞ?」


野太いが、よく聞こえる声と共に現れたのは、赤ら顔のひげ面がよく似合う男、通称

“赤ひげ”とその相棒、メガネの好青年?日本人だけど、何故かあだ名が、外国風の

“トミー・リー”だ。学生風を偽っている俺こと軍曹も大概だが(酒飲んでるじゃん!というツッコミは後で頼む。)彼等もこの“荒廃した地元”で生きる者達だ。


「B君と言ったか?安心しろ。今夜からグッスリと眠れるだろうよ。」

「本当ですか?赤ひげさん。」

「ああ、任せておけ。」


重みのある口調と暖かい笑顔で頷く赤ひげ。B君の目に安心が芽生えてくる。


「良かったじゃん!」


と一声かけたいが、続く台詞に、俺はビックリ目を見開いた。


「行くぞ!軍曹」

「えっ?なして?俺がっ!?…今、この感じは、お前等にお悩み相談が移行した

流れじゃん?」


地元では赤ひげが町の“顔役”を担っているといい。最も担当するのは血生臭い暴力関係の方だ。かつて一緒に暴れた事はあるが…今の俺は


「“同人屋”とは言うまいな?安心しろ。今度の冬コ〇(年2回、ビックなサイトで

行われる大規模な同人誌即売会)にいいネタを提供してやる。」

「心読まれたぁっ!?てかっオイ!勘弁しろよ。時刻は、夜の九時。

良い子は寝る時間だぞ。この野郎。」

「ほう…そうか…ふ~ん。」


何故か訳知り顔で頷いた赤ひげが、隣のトミーリーに“何か”を合図しやがる。心得たと

ばかりに奴が連れてきたのは、可愛い感じの女の子。こんな時間に掃きだめみてぇな居酒屋では正に鶴!だが、場違いな空気を醸し出してるのは間違いねぇ。一体何だってんだ?

不安も露わな俺に、その子がふいに近づき、何にも言わず…


「ジィィィィーッ」


とした視線を向けてくる。何だ?何がしたい?そんな俺の気持ちを知ってか、知らなくても知ってそうなフリしてる彼女は再び、


「ジィィィィーッ」


を継続する。止せ!その「ジィィィーッ」は!?(汗)止めるんだ!吸い込まれそうやん!

だが、彼女の「ジィィィィーッ」は止まらず、俺は、心も体も「ジィィィィーッ」な感じ(?)になり…やがて…


「オーケィッ!!わかった!わーったよ!行こうぜ!」


と頷いてしまった。ニヤニヤ顔の赤ひげは「いいね!」と言った感じで頷き、動き始める俺が逃げないように、しっかり肩に手をかけ、

(“ちっくしょう”と毒づく俺の心まで呼んでそうだ。くっそう!)

この店の店主を見る。


「グレートだ。軍曹!マスター!すまんが、彼は店を空けるぞ?朝までには戻ってくるから、支払いはその時だ。後、B君にもう一杯追加でよろしく頼む。」


赤ひげの注文を聞き(勝手に注文すなと俺は怒りたい。)無言で頷く、

乾燥トウモロコシみたいに火焼けたメキシカン風店主。あだ名は“トレホおじさん”。

ついでに店の紹介をしておくと、営業時間は日没から夜明けまで、

店名“フロムダスク・ティルドーン”時間もサービスもちょうど今の俺達には

“おあつらえ向き”の素敵なお店って訳だ…(気になる人は店名で検索!

荒廃した感覚を共有できるぜ!)


 「嘘だろ?これなんて、萌え系?」


薄暗い倉庫のちょうど中央…コンテナの間に設置された巨大な水槽の中で半裸の女の子

(勿論!可愛い!)が戸惑い気味にといった感じで、俺を見ている。半裸と表記したのは、上半身が人間の女の子で、下半身が魚の尻尾…つまり人魚だ。あまりに衝撃的すぎて、

言葉を失う俺…嘘だろ?つい数分前まで“爆走!怒りの午後ロード”な感じの我が地元が!いつに間にか“ドキドキヴィジュアル!萌え萌えキュンキュン人魚姫”に鞍替え

しやがったぁ!?あれかっ!?核爆発の影響か?最近ニュースでもやたら“ミサイル”の

話してたもんな。ミサイルが着弾した時の対応法“姿勢を低く…”アホか?

70年代の東欧諸国の軍事教本クリソツじゃねぇかっ!?そういえば、今日は店に行く途中の道でマタ〇ゴみてぇなキノコ雲を見た気が…いやいや、見てない。見た?もう頭ン中グーグル?違うグールグルだ!魔法〇グル〇ルみたいな感じだ!今の俺!そうだ。まほ…


「訳わかんねぇ事ほざいてないで。てめぇも応戦しろ!やられっぞ!」


瞑想状態の俺に拳を一発!どこから仕入れたの?って感じの

どでかいショットガン(散弾銃)“イサカⅯ37”を盛大にぶっ飛ばす赤ひげのおかげで

今が現実という事をようやっと認識する。そうだ…ここは地元の廃棄された漁港奥の倉庫。俺達はここに“人魚”(今だに信じられねぇ)を探しに来て…それを守ってる、多分同じ

地元人のやさぐれ共とA級ハリウッド顔負けの銃撃戦を展開してるって訳だ。倉庫内は

暗くて視界はハッキリしないが、飛んでくる銃声の数からして、俺達と同じくらいの人数、恐らく3人!単発の拳銃2丁に半自動小銃1丁(この辺はミリタリーを少しかじってる

同人知識が役に立ってるか?)に、この花火っぽい噴射音はまさかっ!?


「RPG――!(最近、戦争映画とかで、この台詞よく聞くと思うけど(有名なのは

“ブラックホーク・〇ウン”先端にロケットが付いた棒みたいなロケット発射器の名前!)」


上げた叫び声と同時に、すぐ傍のコンテナが爆散し、俺達の傍で拳銃を撃っていた

トミー・リーが炎の中に呑み込まれる。これで銃を持っているのは赤ひげ一人。水槽の中でアワアワしている人魚ちゃんと同じくらいアワアワしている俺は激しく後悔!!くっそう、やっぱり来るんやなかったぁ!…


 「セイレーンの歌は知っているか?」


車を持つ金がないので全員自転車で移動する俺達(さっきのジィィィッとの子は来ず、野郎三人)の先頭、背中にケースを背負った赤ひげがタバコを咥えながら、話を進めていく

(咥えタバコに関しての苦情は勿論、我が地元では皆無だ。)時は倉庫内での戦闘前、

数十分前に遡っている(念のための補足。)


「何だっけか?オデュッセイ?聖闘士なんとかみたいな感じ?いや、違うな。とにかく

そいつが航海中に出会った人魚やら人面鳥みたいなやつだろ?美しい歌声と美貌で船人達を惑わし、水に飛び込んだ所を食っちまう的な感じの。遊戯〇カードのハーピィ・レ〇

とか、パイレーツ・オブ・カ〇リアンにも出てくるやつ!」

「その通り、彼女達だ。今、世界ではその歌声を元にした“ドラッグ”が姿を現し始めている。ここはその“実験都市”に選ばれたんだ。確かに、都心に微妙に近い中田舎。気候も年中イイ感じの安定具合で、昔は別荘の候補地としても捉えられていた、この土地は最適と言えるだろう。加えて言えば、夜は人通りも少なく、司法や警察もそこまで発達してない

この地なら、何でも好き放題だ。」


何となくで頷く俺。トミー・リーも訳知り顔で頷いているけど、何かが引っ掛かっている。何だろう?ごく自然に話を聞いてるけど、何かが凄く大事な部分を突っ込んでいない気がする。赤ひげの話は続く。


「B君が聞いた声は、恐らく、彼女“人魚”の試験的調整音だ。商品化にあたり、市場に

通用するかどうかを、試しているんだ。彼女達も人間と同じで、それぞれ力の度合いがあるらしくてな。ただ、皆に聞かせるには、まだ早いから明け方とか夜中にね。眠りの浅く、

感受性の強い者は彼以外にも障りが出ている筈だ。」


「へぇ~っふ~ん、そうなんだ。俺、寝たら起きないからなぁ~っ!!ハッハァ!」って

言いたいけど!スッゲェ言いたいけど!ようやく気付いた!

俺が、さっきから引っ掛かっていたのは!


「なぁ、赤ひげさんよぉっ…」

「?」

「何か当たり前みたいに人魚ぉ?博多のむ〇みさん?いやそれとも任侠と書いて人魚と

読むきん的なサ〇ちゃん?はたまたぴちぴちぴっちな感じでも何でもいいんだけど!そもそも人魚って本当にいるのか?」


その時の赤ひげの表情!あ~もうっ、文才のない自分が情けないぜ!この野郎!上手く

表現できねぇけど、とりあえず…


「え~っ!お前、普段、同人とかで夢見がちなキャッキャウフフ?なもん描いてんのに

そーゆう時だけ真面目ぇ~?」


みたいな表情!とにかくそんな感じの表情の奴さんは短く笑い、答えやがった。


「まぁ、あれだ。何度も日本海にミサイルが落ちたり、絶対ねぇって言われてた男が

国の最高権力を手にしたりって感じの、あり得ない事が頻発する世界だ。何が存在したって不思議じゃない。俺は、俺達はその鱗片を見ているに過ぎない。」

「答えになってねぇぞ?」

「行けばわかる。場所の検討はついてる。」…


 そうして、乗り込んで「人魚いたよ…」なんて呆然してたら、敵にも見つかって!

撃たれまくりナウな俺達は水槽の傍で縮こまってる。敵もアワアワ人魚さんがいるから、

近づいてまでの攻撃はしてこない。しかし…


「マジかよ。こんな事ってあるんかい?」


思わず呟く。てか、赤ひげとトミー・リーはナニモンだっていうんだ?トミーの方は

吹っ飛んじまったけど…


「オイッ!このままじゃ、銃の数で負ける。何か、考えろ!軍曹!」


隣でイサカに散弾を装填しながら赤ひげが吠える。考えるっつったって、俺は同人野郎。

さっきから“ドキドキ萌え萌え人魚”と“爆走!午後ロード”をサブリミナル効果みたいに目の前で秒速交互に展開された状態じゃぁ、どうしたらいいかなんてわからねぇ!だが、

待てよ!仮にも俺は同人の端くれを嗜む男!何か利用できそうな事は…人魚ちゃんが出てくるアニメを思い出せ!彼女達がよく、お風呂入ってたりで主人公に覗かれて(普段の恰好も結構エロいよ!人魚さん!と個人的に言いたい。)


「キャーッ!の〇太さんのエクスタシーッ!!」


的な声を上げる時に何かが起きてた気がする。何だっけ?あれ…

目の前のコンテナを跳弾しまくる弾丸がパチパチと火花を上げる。それを見ていたら、

頭の中で電球が浮かぶ!漫画みたいな電球がっ!!閃いたぁぁーっ!!

こっちにだってあるぞ!銃より強力な武器がっ!アワアワな感じの人魚ちゃんを見る。

恐らく言葉が通じるだろうという確信だけを頼りに!!おっと、その前に、赤ひげから散弾を2発もらい、奴さんにも、それで耳を塞ぐように指示する。かのオデュッ何とかの時は

蝋燭かなんかを詰めたらしいが、これだって立派な“耳栓”になる。用意が整った俺は、

水槽に顔面をぶつけ、怯える人魚ちゃんに“赤ん坊殺し”の異様を持つ俺の変態フェイスをタップリ歪ませて!



「へい、人魚ちゃん!パンツ何色~っ!?(穿いてないだろ!とのツッコミは、

今は勘弁だ。)」

「みゃああああああん~」


可愛い人魚ちゃん!「イヤッ!変態」的に泣き叫ぶ感じもたまらない。そして、耳栓越しにも伝わる、その超音波級の大絶叫!耳栓アリでも気絶しそうだ。ふらつく俺の肩を力強い手がしっかりと支える。


「流石…同人野郎だな!」


ニヤリと笑う赤ひげ。背後の銃声はもう止んでいた…


 「後は上手くやる。」


そう言った赤ひげは何処かに電話し、気絶した相手方をしっかり拘束したトミー・リー

(生きてた!)は俺に怯えている人魚ちゃんをしっかりフォローのアフターケアの

真っ最中…疲れ切った俺は、二人に声をかけ、倉庫を後にした。店に向かう道は、仄かに

白み始めた空が明るく染めていく。さて、B君には何と説明するべきか?人魚?といったら


「軍曹!疲れてるんすね?」


なんて、ス〇リーばりに言われてしまうかもしれない。しかし、それでもいい。俺は自転車を止め、空を見上げる。何だか夢みたいな一夜が空けた。まるでゾンビ映画だ(この手の

映画は日没から夜明けまでにカタがつく、ナイトオブなリビングデッドのパターンが多い。)

そして、朝には新たな希望が生まれている。俺達が空想し、思い描いていた世界が

また一つ現実のものになった。この荒廃した地元でだ。今日のような出来事を同人と定義していいのかは疑問だが、敢えて言おう…


「やっぱり、同人はサイコーだぜ!」


自称100万ドルの笑顔を浮かべ(誰も見てないから!好き放題だもんねぇ~!)俺は

自転車を漕ぎ出し、そして唐突に気が付いた。もし、これがゾンビ映画なら、最後に生き残りの敵がまだいて…恐怖は続いていくという事にっ!?…満足感に酔った頭が冷えてくる。初めのB君の相談事…声の後に何かが続かなかったか?確か、「何かが覗くとか!」俺が

けも〇レのフクロウとか言ったあれ…


「まだ!!!解決してねぇ~!!」


俺の絶叫は明るくなった夜空にとっても!!あ・か・る・く響いた…(終)




追記…この出来事を今年の冬コ〇で発表しようとしていたが、“遅刻消印”のため落選してしまったので、今コンテストで発表したいと思う。信じるか、信じないかは!貴方の心に

根付く!同人、いや!創作魂に聞いてほしいと思う……by 軍曹



明け方に響く、声と覗く影の正体は?ホラーじゃないよ!

同・人・☆の地元交戦記


荒廃した地元に響く歌の正体は?同人野郎の地元交戦記録


低迷アクションがSNSで投稿しているイラスト絵をテーマに一つの物語を

作ってみました。時々、フィクション、たまにノンフィクのマッドワールドを

ご堪能下さい。

 

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