シットリック☆リベンジ!~同人野郎と正義がキレる時…編~ 

低迷アクション

シットリック☆リベンジ!~同人野郎と正義がキレる時…編~ 

シットリック☆リベンジ!~同人野郎と正義がキレる時…編~


始めに…シット訳:「ちくしょう!クソッタレ!くそっ!」(出展:うろ覚えの同人和訳より)



「あ~もう、むかつくぅ♪ったらありゃしねぇ!」


叫び、およそ少女らしからぬ言動で自身の装甲に包まれた腕を、掻きむしり、掻きむしり

ながら吠える。(最も!彼女の腕に傷を付けれるのは、例え…光粒子のレーザーブレードでも不可能な事だと思うが…)今、少女は世の中全てに!激しく“シット”していた!


「全く、クソッタレだよ!こ~ん畜生!な~にが!狂った文化が現実化した夢の世界

だよ?魔法少女やら変身ヒロインのあたし等が現実化して、そりゃパンピー共は狂喜するだろうよ!マジで!!“漫画みたいな事が!夢が叶ったってさぁ?”ところがどっこい!

苦労するのはあたし達だけじゃん?一般人共の平和を守るために体張るのはっ!?

柔肌MAXハートゥ!!な、か弱い娘っ子ちゃんじゃん!つまりあたし等じゃん!

見てよ、この肌ぷっにっぷにだよっ!?それが何だよ?この世界じゃぁ、いくら守ったって、ちっとも良くならいよ!人口減りまくりだし、今だに世界じゃ、殺し合ってるし!

個性を磨け!個性を出せって言ったって!結局は役人の!勉強した奴が役人になったって!何にも変わるわけじゃないじゃん!な~にが平等社会だよっ!?あげくの果てに、

後10年したらAIが人から職を奪う~?だったら作んなやボケがぁっ!!」


勢いよく叫んで頭に付けたカチューシャ風の変身ティアラを、これまた同じくらいの勢い

で床に叩きつける。その音に肩を震わしたもう一人の少女こと、あたしの名前は“ふぅ”

あんまり関係ないけど、結構オタクな女子高生で、同人誌とかも描いてる同人野郎(?)で、更に言えば、先程から目の前で、世の中への不満をぶちまけまくっている“変身ヒロイン”の同級生でもある。昨日まで普通の友達だと思ってた彼女が、そんな感じなもんだから、

とってもここから逃げ出したいけど、後ろ手に拘束されてるから、逃げ出せなくて、

とっても困ってる(泣きそう)な現状だ…


 「あ、あの、あのさぁ!“キリさん(変身ヒロインの名前)”の不満はとっても

わかったよ!あ、あたしも正直、この世界はどうかなって思う!で、でもさぁ!

あれじゃん!!それを変える力を持ってるのも!キリさん達みたいな存在じゃん!

正直、友達に変身ヒロインとかいるのって、いや、確かにさっきナレーション的に、

がなってくれた感じで、そーゆう人いっぱい、この世界にいる事わかったけど、

超レアだし!誇らしい訳よ!あたし等的にはさぁ!!」


声の震えを一生懸命カバーし、言葉を並べてみる。今、二人がいるのは何処かの廃墟の中…


「今日、放課後空いてる~?ふぅ~?」


な~んて甘い声で聞いてきた彼女に油断したら、間髪入れずにみぞおち喰らって、

気が付けば監禁。薄暗い室内を、よくよく目を凝らしてみれば、何かの怪人風の残骸が

大量に転がっている。アカン、ここ処刑場じゃんってな感じ。

そして、何でか知らないが、呼ばれたあたしも、怪人達と同じ運命?理由は?訳わかんないよ?いや、いや、まさか…ヤバい…結構覚えはあるかも…ブルブル…だが、それは

それとして!!


「ホントに?本当にそう思うっ!?ふぅ~?」


ちょっとウルウルな感じのキリさんが床にペタンと膝ついて聞いてくる。良かった!

さっきとは口調、ガラっと変わり、いつもの感じになってる。正直、先程の豹変ぶりは

あれだが!よく同人誌とか、SNSで見かける一枚絵の“キャラ豹変ネタ”もののリアル版みたいで、多少、オタクが抱く、変身ヒロインの理想が幻滅した感はあるけど!

そうやって“ちょこちょこん”としてれば、本当に可愛いい!やっぱりサイコー!

だし、これはいい傾向だ!彼女の“シット”を少しづつ和らげていこう!!

こう見えても同人屋!慰めにフォロー!決め台詞!任せてちょーだい。古今東西!

あらゆる漫画とアニメがあたしの味方ぁっ!


「こんな酷い事したのに、怒ってないの?ふぅ~?結構…け~っこう、キツ~く縛ったよ?」

「う~ん、この状況はちょっとあれだけど!そんな事で壊れるあたし等の友情や

ないやん!!そうでしょ!」

「うん、うん!」

「そうだ!これからアイス食べ行こう!こないだオープンしたお店、あそこのアイス

ヤバいよ!“オイオイ何だ?この仁王立ちしたシロクマみたいなアイスは!?”って感じの

美味さだよっ!?パナイよぉっ!」

「でも、高いんでしょう~?」

「そ、そんな事ないよ!(よし、このまま畳みかけろ!あたいっ!!)確かに

ギガンティックアイスは1個1500円くらいすっけど!他は、500円以下で買える

からっ!!あたし、おごるしっ!」

「キリ、その1500円の食べたいな。勿論、ふぅ~と一緒にね~。」

「ええっ!?そうなると、あれだな~2つで3000円かぁ(素早く計算!急げ、あたし)

うん、大丈夫!こないだ臨時収入あったし!」

「臨時収入~?」

「そうそう!“2000円!”財布に入ったの!元々あったの2000円と足して、4000円!

だから、大丈夫だよ!」

「ふぅ~?バイトとかしてたっけ?いつもお金ないって、言ってたよね?」

「いやぁ~それがね(少しモジモジしている、あたし!こそばゆいが仕方ない!)

実はあたしさ!同人誌っていう、アニメとか、キリさん達みたいな、今、現況世界で

活躍してるヒロイン達のオリジナル漫画みたいなのを描いててさ!こないだのイベントで

400円配布で売ったのが、5冊売れて2000円の収入!超楽しかったよぉ~!」


「ビンゴォ~…」

「えっ?(そこまで言って、あたしも!“やべ、しまったぁ~”と色々気づく。)」

「参加したイベントは大田区産業プラザで、

10月に開かれた“スーパーヒロインショータイム2017秋”ふぅ~の出した本の題名は

“ヒロインピンチ!VS触手怪獣”18禁同人誌。高校生だよ?ふぅ?そんなん描いていいのかなぁっ?おいっ?そして一番あたしが気になった、シットしたのはさぁっ!?」


だんだん、さっきのキリさんの口調が戻ってくる。ヤバいっ!この流れはぁっ!ズンズン

近づいてきた彼女が警告なしに、座ってるあたしの膝に片足をドンッと乗せた。思わず

呻いてしまう。


「モデルがあたしって事だよ!」…


 「し、知らなかったんだよ!キリさんっ!キリさんがま、ま、まさか変身ヒロイン

だなんてぇっ!」

「知ってたら描かなかったってか?そりゃそうだろうよ!こちらとら、身分を隠して

悪と戦うのが本業であり、ルールだからなぁ!それを、お前!ほんわかギャグ系なら、

まだしもっ!よりによって触手かよ?ドン引きだよ!マジでびっくりしたわ!

お前、触手持った奴等と戦うのどんだけ大変か?わかってんのか?この野郎!

いいかよく聞いとけぇ、触手はなぁっ!漫画の中じゃぁ、服溶けるだけで“エロい”で済むかもしんないが、実際はなぁっ!皮膚も溶けるんだよ!馬鹿野郎!!いっつもギリギリの状態で闘ってんだよ!こっちはなぁっ!」

「やめてぇっ!キリさん!そこはリアルじゃなくていいから!」

「何がリアルだっ!ふぅ!こっちが必死になってんのに、お前らはそれを好き勝手にやりやがって!あげくに利益を得ただとっ?休日だって、こっちは出動してるのに!

命掛けで戦ってるのに!それを泥に塗るような事しやがって!」

「リスペクト!リスペクトだよ!キリさん!いやっ、キリ様!」

「ああっ、リスペクトォッ?」


怒りでグイグイ足を前に押し出してくるキリさん!太もも露わで“激萌え”だが!イカン、

今はそれどころじゃないっ!何とかこの状況を打開せねば。


「キリさん達の存在は、あたし等の憧れだよっ!リスペクトだよっ!そして、その存在を

描く事全てが、あたし達、ファンの!同人屋の生きがい!潤い、生活!全ての糧に繫がる。勿論!時には思いが強すぎてエロくなる事もある。だけど、これはより強い愛の形なんだよっ!」

「触手じゃなくていいじゃん…」

「た、確かに触手はやり過ぎかもしれない。でも、見てみたいって気持ちは皆にある。それが現実では危なくて叶わない。それは文字通り、キリさん達が敗北するっていう、あたし達的にもあっちゃ不味い事だからね!だから人々は創造する、紙媒体、電子と言った虚構空間の中でのみの絵空事として…かつては、それがどちらも虚構の中だけだった。だけど、今は

それが現実として確立している世界、こーゆう問題はこれからも起きるかもだけど!わかりあっていかなきゃ!同人と現実の公式…互いに手を取り合ってさ(ヤバい、超必死だよ!あたし)」

「ふぅがエロ描く必要ねぇじゃん…」

「あ、ハイ、すいません…」


恐らく数多の修羅場を潜り抜けてきた彼女達だからこそできる、突き刺すような視線、それに射竦められたあたしは、思わず謝罪してしまう。そんなしゅんとするあたしを、しばらく見つめ、何だか楽しそうに笑いだすキリさん!表情も穏やかに戻りつつある。やったー!

やったかな?


「ふぅ~、こっちも謝らなきゃ。ごめんねっ!ホ、ホントはね。羨ましかったんだ。あー、べ、別に触手エロくていいな~とかじゃないよ?(勿論とばかりにあたしもブンブン頷く。)

楽しそうだなって。勿論、自分達しかない力ってわかってるよ。でも、たまには普通の生活とか、違う人生あったんじゃないかなぁ~なんて思っちゃう。でも、これってふぅだって、皆だって、誰だって思う事だよね?あたし等の場合はそれがとっても重大なだけ。いや、

これも、人それぞれ、程度は違えど必ず持っている事だよね。大切だもんね。あたしは、

そーやって悩んだり、話せる友達がいるもんね、ありがと。ふぅ~。何だか色々喋ったら疲れちゃった。」


「えへへ」な感じで、はにかみ笑顔なキリさん!よっしゃぁ!勿論、相槌も忘れない。

「いやいや、こちらもありがとうです!とっても良い出会い、あたしがファンになった

ヒロインちゃんはやっぱりサイコーだよ!」

「うん!」

「そんで、そこでもって、気になったんだけど、この戒めと、とーっても、

ビューテイな御身足が、今だに、お腹に食い込んでるのは何でかなぁ?」

「うん!うん!」

「えっ?その無言で手に用意してんのは、触手?リアルのっ!?不味いって、溶けるんで

しょ?それ?あ、切れて触手だけだから、大丈夫なのかな?あーっ?凄い!服が自動的に脱げていく。何かの魔法かなぁ(大汗)キ、キリさぁんっ?」

「お礼に、ふぅ~の同人のお手伝いしてあげる。取材だよ?実際に味わった方がわかるよ?

その身でさ!」

「いやいや、そこはリアルじゃなくて、空想を大事にしたいなぁ~ハッハァ(泣き声)」

「だいじょう~ぶ。ふぅ~の同人誌にも描いてあったでしょ?始めは狂声でも、最後は嬌声に変わるってさぁ!!

(楽しく喋る、彼女の手元から放たれた触手があたしの裸体にむしゃぶりつく。)」

「ひゃあぁぁっ~」

「終わったらアイス食べにいこ?」


ニッコリ笑う変身ヒロインとあたしの悲鳴が同時に響き渡った…(終)




 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

シットリック☆リベンジ!~同人野郎と正義がキレる時…編~  低迷アクション @0516001a

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る