第3話 親

ただ、呆然と見つめていた。

俺たちのパーティーが殺されているのを見ていた上級冒険者がモンスターを討伐し、ギルドに帰り、パーティーメンバーの遺体を運んでもらい、パーティーメンバーの亡骸をただ見つめていた。

もちろん、一部始終を見ていた上級冒険者は俺のせいでパーティーメンバーが死んでしまったのをギルドの人に言っていた。

なぜ……俺だけ生きていた?なぜ俺が死ななかった……?

そんなことばかりが頭の中をぐるぐると回る。

ただぼーっと亡骸を見つめていると、突然右頬に激痛が走り、意識がハッキリとする。

なぜ痛みがするのかわからず、右頬に手を当てるど赤黒い、少しドロドロとした血がべっとりと着いていた。

「あんたが……っ!」

はっと声が聞こえた方を見る。

そこには全身が研ぎ澄まされた刃のように、こちらに敵意剥き出しの様子の手に血がついた包丁を持ったおばさんが何人かに取り押さえられていた。

おばさんはパーティーメンバーであるヒロトの母だ。

ヒロトの母は何人かに取り押さえられながら叫ぶ。

「あんたが……あんたがいなければ……ヒロトは死ななかった!」

するとまた、別の方向から声が聞こえる。

「そうよ!あんたの意気地がないから!マサキを返して!」

先程まで俺に気を使ってくれていたのか、俺の悪口は聞こえなかったが、ヒロトの母を原因にして、周りの人間も俺に罵声を浴びせる。

「根性無し。」

「冒険者を名乗るな。」

「死んで償え。」

うちのパーティーは将来が有望視されていたため、多くの人が俺に罵声を浴びせる。

だが、俺としては気を使ってくれるよりも、こうして悪口を言われた方がスッキリとした。

ヒロトの母が警備員に取り押さえられながら叫ぶ。

「殺してやる!必ず見つけ出して殺す!」

「っ!」

その言葉を聞いた瞬間、体の力が抜けていくようだった。

頭がぐるぐるする。思考がまとまらない。

ハッキリしない意識の中、唯一考えることが出来たのは『俺は生きては行けない』だった。





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まだ決めてません あかばらさん @gamu_

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