第196話 パウロ 難破とマルタ島
ついに念願のローマ行きが決まり、パウロはルカとテサロニケ人アリスタルコと船に乗せられます。
百人隊長ユリアスが、パウロと他の囚人の監視係りに任命されました。
カエサレアからシドンへ、キリキアを停泊しパンフリアへの船旅です。ローマ直行便がないので、パンフリアで乗り換えます。
北アフリカのアレキサンドリアとイタリア半島の間を行き来する貿易船に乗ります。
乗員乗客276名と穀物を大量に積んで船が出ます。(乗員乗客ってワードに切ない今日この頃)
地中海に浮かぶクレタ島の港で足止め。季節は冬です。荒れた天候の航海は危険だとパウロは判断し、航海中止を百人隊長に提案します。
百人隊長はパウロの意見をガン無視して、航海士と船長を信頼し、船を進めます。普通そうですよね。漁師のぺテロの意見でも却下でしょう。
多数決も取り、冬はクレテの港で過ごす事が決まり、出航。しかし、船はユーラクロンという暴風に巻き込まれ漂流しました。
船員は穀物を海に投げ捨てます。何日も太陽も星も現れず、激しい嵐の中必死に水をかき出します。絶望。もう死ぬ!と誰もが思ったその時、
「みんな、勇気を出して下さい!誰も命を失いません!船だけが失われます!」
パウロの叫び声が聞こえます!パウロはだから行くのを止めなさい!って言ったよね、と一言怒ってから、みんなに食べ物を配ります。そして、276人の命の保証を天使がしたのだと伝えます。
神様が天使を遣わして言ったんだから、俺ら助かるんだと元気になりました。
パウロの宣言通り、二週間後、島発見。246名船を捨て、島まで泳ぎ着きました。良かったね。
島の名前はマルタ島です。この島の人たちは親切に泳ぎ着いた人達を温かく迎えました。
体を温めるため火を炊き、食べ物を与えてくれます。パウロも感謝しながら小枝を集めて火にくべます。せっせ、せっと火にくべます。
と、その時、熱気のため毒蛇が出てきてパウロの手に噛みつきました。マムシです。パウロはマムシを火の中に振り払いました。
島の人はビックリ仰天。「きっとこの男は海からは無事に助かったが、女神がその罪を見逃さなかったのだ!」とパウロの様子を見守ります。
マルタ島はギリシャの神様、女神を崇拝していました。もうすぐ、女神の罰が下るよね。
島民さらにビックリ仰天。パウロの手が膨れあがることも、毒が回って倒れる事もないのです。
島の人は、パウロは神だと言い出しました。
神の遣いだと信じた島民ポプリオは、パウロを家に連れて来て世話をします。信心深い。
ポプリオの父親はちょうどその時、熱と赤痢で苦しんでいました。普通の人なら感染を怖がるでしょう。パウロは神と呼ばれた男。神様に力を与えて下さるよう祈って、父親を癒しました。
以前、パウロの汗が染み付いたタオルでも病気が治りましたね。パウロ本人は力倍増。毎日、毎日島民のほとんどを癒しました。このご時世コロナも宜しく。奇跡はもうないのですね。残念。
三ヶ月後、パウロたちは皇帝ネロの前に出る為に、島を出る準備が整いました。
マルタ島の住民は感謝、感謝で沢山の食糧と共にパウロ達を送ります。なんていい島の人たち。
現在、マルタ島観光ツアーで、パウロの彫像を見ることが出来るらしいです。パウロがこの島に漂流した記念と、感謝を込めて建てられたとの事です。
右手をあげ、左手に聖書を持つパウロ像は、イタリアローマを向いているとか。泣けます。
マルタ島にキリスト教を伝えたパウロ。今日のキリスト教に影響を与えた聖人パウロ。ローマ法王はパウロ像の前で祈りを捧げたとか。
しかし、私たちは、喜怒哀楽があって、人間臭いパウロを知っていますね。天幕作りの筋肉ムキムキパウロ、仲間に慕われ愛されるパウロ、サンヘドリンで大胆に弁明するカッコいいパウロ。病人をほっとけない優しいパウロ。
パウロはイエスに憧れ、イエスに倣って生きてきたのです。パウロのそういう所が大好きです。
さあ、イタリアのポテオリ(現在ナポリ)に向かって出発。パウロあと少し、あと少しです。ローマでの証しの業が待っています!
がんばれー!パウロ。
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