第192話 パウロ フェリクス総督への弁明
五日後、大祭司アナニアは数人の長老と弁護士テルトロと共にカエサレアに到着。
アナニア自ら足を運ぶとは、かなりパウロが憎かったのでしょう。ローマの法律に精通したテルトロ同伴はパウロに有罪判決を下すためです。
パウロもフェリクスの前に立たされます。
まずテルトロが訴えます。フェリクス称賛。
「あなたのおかげで、私どもは大いに平和を楽しみ、またあなたのご配慮によってこの国の改革がなされています。フェリクス
フェリクスを閣下という称号で呼びます。そこら辺のオッサンを先生と呼ぶゴマスリと同じです。そしてユダヤ人が平和なのはフェリクス様のおかげだへつらいます。好意を得るのが目的です。いやらしいですね。
現状は、フェリクスの圧政的な支配で、ユダヤ人は苦しい思いを強いられていました。ユダヤ人はフェリクス総督が大嫌いです。テルトロ、嘘つきは泥棒の始まりだぞ。
その後、パウロの問題を持ち出しました。
「この男は、疫病のような者で、世界の至る所でユダヤ人の間に暴動を起こし、ナザレ人一派の先頭に立ち、神殿も汚そうとしましたので、私たちが捕らえました。……お取り調べになれば、私たちが訴えるこうした事柄全てについて分かっていただけると存じます!」24:5~8
パウロを害悪をもたらす疫病に例えていますね。アナニアのオッサンの方がペストですけど。
アナニアと数人の長老たちは、訴えに同調。フェリクスはパウロに弁明するように合図します。
フェリクス総督は、ユダヤ教に通じるキレ者です。ユダヤ人を有罪にする根拠を心得ています。
パウロは敬意を示し、落ち着いて話します。
「この国民が長年あなたに裁判をしていただいてきたことをよく知っておりますので、自分の弁明の為に喜んでお話いたします。確認していただける事ですが、私が崇拝のためにエルサレムに上ってから12日しかたっておりません!」
まずフェリクス総督への信頼の言葉を述べ、暴動を起こした事がないと言います。
「私はこの方たちが一派と呼んでいるやり方に従って、父祖たちの神に神聖な奉仕をしています。そして律法と預言者の書に記されていることを全て信じています。私はこの方たちと同じ希望を持っております。神が義者も不義者も復活させて下さるという希望です」
ナザレ人一派とは、ナザレ人イエス・キリストの教えを守るユダヤ教の一派の事です。ユダヤ教徒は神殿を汚すと死刑判決を受けました。
パウロをユダヤ教一派の一員にしなくては死刑にならないのです。
しかし、パウロは神殿に入る前に清めの儀式を行い、神にも人にもとがを犯さなかった事を力説しました。
そしてヘブライ語聖書を全て信じている事を強調し、復活の希望について語ったら裁かれたと述べます。
復活を信じないサドカイ派アナニアを除けば、みんな復活を信じています。サドカイ派はモーセ五書だけを認めていますが、パリサイ派は預言書も神の言葉だと信じているのです。
復活の希望を述べた預言者を覚えておられますか? ヨナとダニエルがいますね。
ダニエルについては、義者と不義者の復活についても書いているので、パウロもサンヘドリンの成員も同じ事信じてる、ってことですね。
フェリクス総督は妻もユダヤ人なので、イエスとイエスの復活についてよく知っていました。
パウロに関して罪がないことを感じました。クラウディウス・ルシアスの手紙からもパウロは無罪だと思い、軍司令官ルシアスが来たときに本件を裁決することにしようと言います。
大祭司アナニアと他の仲間たちは悔しかったでしょう。とっととエルサレムにお帰り。
パウロは神の保護によりヘロデ宮殿内に軟禁される事になります。
このあと、パウロどうなる‼がんばれー!
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