第189話 パウロ アガボの預言

 パウロ宣教団は、後ろ髪を引かれる思いで船に乗ったあと、コスに直行します。そしてロードス、パタラ、シリア経由してティルスに上陸。


 ティルスの弟子は、エルサレムに足を踏み入れないように告げます。パウロはその気遣いに感謝したあと、プトレマイオス、カエサレアに向かいます。


 カエサレアには熱心な福音伝道者フィリポがいます。そこで厄介になり、体を休めます。


 そこへユダヤから来た預言者アガボ登場。突然、パウロの帯を取り、自分を亀甲縛り、いや両手足を縛ってこう言います。


「ユダヤ人はこの帯の持ち主をエルサレムでこのように縛り、異国の人々に引き渡す」使徒21:11


やめて~‼ 預言者の言葉にガクブルのルカたちは、エルサレムに行かないで~‼と懇願します。


 パウロその亀甲縛り、いや、自分の両手足を縛ったアガボと泣き始めるルカ達にどう反応するでしょうか?


「どうして泣いたり私の決意を弱めたりするのですか。大丈夫です。私は縛られることはもちろん、主イエスの名のためにエルサレムで死ぬ覚悟も出来ています!」ドヤ。パウロカッコいい!


 ルカたちは、パウロの決意が堅いのを見て、「神が望まれることが行われますように」と言います。パウロ宣教団もカッコいい!


 数日後、エルサレム到着。初期弟子ムナソン宅で厄介になり、翌日ヤコブの所へ行きます。


 ヤコブはイエスの兄弟で、エルサレム会衆のトップです。ぺテロとヨハネも会衆の柱として忙しく宣教しています。


 ヤコブを中心に長老たちも集まって、パウロの伝道報告を喜びのうちに聞きました。しかし、パウロについての良くない噂も伝えました。


「パウロ、ハゲ増されましたね。苦労すると白髪になるか脱毛するかのどちらかですね、お疲れ」


 パウロのハゲの噂ではなく、パウロはモーセから背教しているという問題を指摘。


 ユダヤ人はモーセの律法を固く守る民族なので、パウロが割礼をしなくていいと言った事に反発しています。イスラエルの神のおきてを無視していると思ったのでしょう。


 パウロはイエスの死によって律法が廃された事を理解しましたが、ユダヤ人は受け入れられないのです。


 クリスチャンとはいえ弟子たちも、子供の頃からの教えを簡単に捨てられないのです。


 それで、ヤコブや、長老たちはある提案をします。ナジル人の誓いをしている四人を連れて、神殿で清めの儀式をするなら、律法を守っていることをみんなが知り、パウロへの噂が消えるというものです。


 パウロは神の原則を守るために、神殿に行きました。費用もパウロが出しました。太っ腹。


 神殿での清め七日目、アジアから来たユダヤ人が群衆をあおり、パウロを捕まえました。


「イスラエルの人たち、手伝ってくれ!この男は、至るところで、全ての人に、民と律法とこの場所に反する事を教えている!その上、ギリシャ人を神殿に連れ込んで、聖なる場所を汚すことさえしたのだ!」使徒たちの活動21:27~29


 パウロは群衆に囲まれ、殴られ、神殿の外に引きずり出されました。群衆がパウロを殺そうとしている騒ぎを聞き付け、ローマ兵が止めに入ります。


 クラウディウス・ルシアス司令官指揮の元、ローマ兵はエルサレムの治安維持のため、巡回しています。


 殺気だった群衆からパウロを救いだし、治安を乱した者として二本の鎖で縛り、兵営に連れていきます。パウロが何者で何をしたのか尋問するためです。


 アガボの預言がその通りになりました。ユダヤ人にエルサレムで縛られ、異国の人、ローマ人に引き渡されたのです。残念。


 階段に差し掛かると、群衆に襲われないようにローマ兵はパウロを担ぎました。パウロを殺す為に大勢の群衆が付いて来たのです。しつこい。


 兵営に引き入れる時、、パウロは軍司令官に声をかけます。ギリシャ語で話すパウロに、


「ギリシャ語を話せるのか?お前はこの前暴動を起こして、短剣を持った4000人の男を荒野に連れ出したあのエジプト人か?」


 誰やねん、それ。パウロは内心、思ったでしょう。知らんけど。


「私はユダヤ人で、キリキアのタルソス出身、名の知られた町の市民です。ですからどうか民に話す事を許可して下さい!」


 敬意を込めてお願いするパウロに、軍司令官は群衆に話す許可を与えました。


 パウロは自分を殺そうとした群衆を前に、ヘブライ語で話し始めます。何を語るのでしょうか?


 パウロがんばれー!

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