第173話 マタイ 例え

「イエスはこれら全てを例えで群衆に話した。実際例えを用いないで話そうとはされなかった」マタイ13:34~35


マタイはイエスが群衆を教えるときに、例えを多く用いるのを耳にしていました。


 例え……直喩、隠喩、比喩がありますね。カクヨム作家様も主にこの例えを使っておられるのではないでしょうか?


 イエスのについて、マタイはパラボレーというギリシャ語を使っています。この語は物事に例えたり、なぞらえたりする以上の意味があります。創作的な短い物語を用いる手法も含まれます。


 では、なぜイエスは教える時に例えを用いたのでしょうか?


 皆様はどういう時に、自分の作品にを用いますか?必ず何かしらの効果を求めておられるのではないでしょうか?


 読者の注意を引きたい時、思考力や感情を刺激したい時、この作品を記憶してまた読みたいと思って頂きたい時ですよね。


 はい、私事ですが、私もその点を意識して参りました。たとえば、サウル王と若者ダビデの関係を、ジャニーズ社長(死んじゃったけど)と、タッキーの関係に例えたり、箴言の聖句を知って頂きたいときは、現代に当てはめられるように短い創作物語を用いてきました。


 皆様の思考を刺激し、この「ダビデに恋して」が記憶に残るようにと、願って書いたのです。


 イエスの例えに話を戻しましょう。イエスの目的は有名になることではなかったはずです。マタイもお金欲しさに書いたわけでもありません。


 マタイはユダヤ人が、イエスをメシアと認め、イエスの福音に希望を持ち、神に信仰を持つ為だけに、イエスの例え話を忠実に書いたのです。


 職業柄、速記が得意だったマタイは、一字一句間違う事なく書きとったと思われます。


 イエスはマタイの賜物を信頼して、例え話を語ったでしょう。


 イエスが例えを用いた重要な目的は

①神とその王国についての真理をもっと深く知りたい人と、知りたくない人とを分けました。謙遜な人は必ず例えの意味を理解しようとします。

②パリサイ派のように、弟子を罠にかけ真理を誤用する者たちから、真理を隠しました。

③警告や叱責を与え、聞き手の敵意を取り除き、話し手にやり返す事がないようにしました。

「健康な人に医者は必要ない。病気の人に必要だ」とパリサイ派を叱責しましたね。 

④矯正を与え、人の心の中を明らかにします。つまり悔い改めるかどうかを明らかにします。


 では、独断と偏見で二つの例えをご紹介致します。


――種まきの例え<心の状態>

「さて、人が種まきに出掛けました。蒔いていると、幾らかは道端に落ち、鳥が来て食べました。幾らかは土が少ない岩地に落ち、土が深くないので、すぐに芽を出しました。しかし、太陽が昇ると日に焼けて、根がないので枯れてしまいました。幾らかはイバラの間に落ち、伸びてきたイバラにふさがれてしまいました。さらに幾らかは、良い土の上に落ち、実をつけ始め、ある種は百倍、ある種は六十倍、ある種は三十倍の実をつけました」

 種とは王国に関する福音の事です。蒔かれた場所は人の心を表しています。道端に蒔かれると、根も芽も出せずにあっという間に敵に取り去られてしまいます。岩地に蒔かれると、喜んですぐに受け入れますが、苦難や迫害が生じると信仰を捨ててしまうような心の状態です。イバラは心配事や物欲の誘惑で心がふさがれ実らない状態です。


 良い土に蒔かれると、聞いた事に信仰を持ち、他の人にも福音を伝えます。


 イエスはこれをユダヤ人に対して語りましたが、現代でもキリスト教徒はこの言葉を当てはめて、自己吟味しています。


――王と家来の例え<許し>

ある国の王様が、一万タラントの借金を抱えた家来に返済を求めました。家来は返せないと牢屋に入らなければいけません。王様は憐れみをかけ懇願する家来の借金を帳消しにします。喜んで帰る家来。しかし自分がお金を貸している人に会うと、捕まえて借金を返せと脅し牢屋にいれます。


 現代のお金で三千億円もの大金を帳消しにされた家来は、たった五十万円を返せない人を牢屋に入れたのです。その事を知った王様は、


「わたしが、お前を憐れんでやったように、お前も自分の仲間を憐れんでやるべきだった」と怒り家来を牢屋に入れました。


 この創作的物語の例えから、イエスは何を教えたかったのでしょうか?


「人間は神に多額の借金(罪)を負っている。神はそれを帳消しにされているので、人間同士、人を憐れみ許しなさい!」って事ですね。


 イエスの知恵の源は、人間をはるかに超えた、神様から知恵です。例えの引き出しを増やしたいときは是非、聖書を参考にしてみて下さい。

 

 マタイはまだまだ活躍します。マタイがんばれー!


 

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