第167話 マタイ 系図を書く

 マタイが「マタイによる書」を書いたのは、イエスが亡くなってから十年以上経ってからの事です。リアルタイムで日記のように書いた訳ではないのですね。


 ただ、速記が出来たというマタイは、イエスの言葉をメモにしていたのかもしれません。

 

 初めて聖書に触れる方は、新約聖書のマタイ伝から読み始めるでしょう!しかし一章で断念する人が多くいると思います。


「なんじゃこれ?誰やねん!」と突っ込み入れたくなるような名前の羅列です。


 マタイを語る上で、どうしてこの系図を真っ先に書いたのかについてお伝えしたいと思います。


 マタイ……彼は収税人ですが、実は教養のあるユダヤ人でした。このマタイ伝は、始めアラム語、またヘブライ語で書いたのですが、何とマタイ自身がギリシャ語に翻訳もしているのです。


 まずは、系図の記述をご覧下さい。日本語版。

「アブラハムの子であるダビデの子、イエス・キリストの系図。アブラハムはイサクの父であり、イサクはヤコブの父。ヤコブはユダとその兄弟たちとの父。ユダはタマルによるパレスとザラの父。パレスはエスロンの父、エスロンはアラムの父。アラムはアミナダブの父。アミナダブはナアソンの父、ナアソンはサルモンの父、サルモンはラハブによるボアズの父。ボアズはルツによるオベデの父。オベデはエッサイの父。エッサイはダビデの父であった。ダビデはウリヤの妻によるソロモンの父であり、ソロモンはレハベアムの父、

レハベアムはアビヤの父、アビヤはアサの父、アサはヨサパテの父。ヨサパテはヨラムの父。ヨラムはウジヤの父。ウジヤはヨタムの父。ヨタムはアハズ、アハズはヒゼキヤの父。ヒゼキヤはマナセの父、マナセはアンモンの父、アンモンはヨシヤの父。――マタンはヤコブの父、ヤコブはマリアの夫ヨセフの父であった。このマリアからキリストと言われるイエスがお生まれになった」


 息切れ。途中飛ばしましたが、アブラハムからイエスまでの家系図であることを確認していただけましたか?


 ヨセフのお父さんヤコブの名前もありましたね。娼婦ラハブの名前も見つけられましたか?ボアズの名前、そしてルツ、ヒゼキヤの名前もありましたね。私のダビデの名前もソロモンもいましたね。バテシバは残念です、ウリヤの妻と書かれています。神様はウリヤの方を高めたのです。


 そうです、これを見てわぁってなるのは、旧約聖書の知識があるからなんです。いきなりマタイ伝から聖書を読み始めると何のこっちゃってなります。この「ダビデに恋して」をずっとお読み下さったので、皆さまもわぁ!ってなって下さいましたね?ねっ、たぶん、そう。


 マタイはこのマタイ伝をユダヤ人に当てて書いているのです。系図をあえて書くことでイエスがメシアである証拠を提出しました。


 ユダヤ人は、系図を見ればイエスが約束のメシアである事を納得せざるおえません。

 否定すれば、自分達がアブラハムの子孫ではないと言ってるようなものです。


 そして、系図に女性の名前を入れたマタイは、何を教えたかったのでしょう?神の約束は律法によらず、神の恵みによって到来するという事です。皆様は信仰を示したラハブやルツをご存知ですね。異教徒にも拘わらず、イエスの先祖の一人になったのは、神の憐れみと恵みによるものだと印象付け、将来福音はユダヤ人だけでなく、異邦人にものべ伝えられる事の暗示なのです。


 マタイは自分が見下げられている収税人だった事も隠さず書く事で、謙遜さと正直さを示しました。イエスがマタイを弟子とした一番の理由はこういう特質にあったのでしょうね。


 マタイ、カッコいいでしょ。これから注意を自分にではなく、イエスの話と行動に向けています。

 マタイ伝は三つの福音書にはない情報が、42%あります。


 テーマはイエスこそがメシアであり、神の王国の王になること、そのためにイエスから学ぶように教えています。


 マタイはイエスのどんな教えを、私たち現代人に知って欲しかったのでしょう。


 次回、「山上の垂訓すいくん」をお伝え致します。

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