マタイに恋して

第166話 マタイ イエスの弟子になる

 新約聖書の一番始めに登場する「マタイによる書」をご存知でしょうか?


 四福音書の一つとされ、マルコ、ルカ、ヨハネと続きます。これから、このマタイについてご紹介致します。


 イエスは、すでにぺテロ、アンデレ、ヤコブ、ヨハネを弟子として行動を共にしていました。

 彼らは漁師です。海の男ぺテロについては以前ご紹介しましたね。


 イエスは体が麻痺した男性を癒したあと、ガリラヤの海のそば、カペルナウムに到着しました。


 そこで座っているある男の人に目をとめます。

 そこ――徴税所です。この当時、ローマ帝国がユダヤ人を虐げていました。ローマの当局者は自国の為の税金集めに、ユダヤ人を使役。


 同じユダヤ人から売国奴と見下げられても、収入がいいので、収税人として、ある男は働いておりました。


 港に入る船、輸入品、商人たちの荷物、人頭税、土地税、何でもかんでも税率高くして取り立て、めっちゃ嫌われていたその男に、イエスは声をかけます。


「私の弟子になりなさい!」声をかけられた男の名前はレビといい、アルパヨの息子です。


 すでに弟子になっている漁師出身者とは違い、この美味しい仕事を辞めたら復職出来ません。


 考えるよね、日に焼けた真っ黒なぺテロたちが先輩になりますけど。断るよね、断りなさい。


「すると、彼は一切のものを後にし、立ち上がってイエスの後に従った」マタイ9:3~


 即断即決。椅子から立ち上がって、イエスの弟子になります。レビというその名を、イエスから改名されてマタイとなります。名前の意味は、「神からの賜物」です。羨ましいです。


 マタイはイエスの教えや活動についての噂を聞いていたのです。スカウトされて大喜びのマタイは、イエスに感謝を表すための食事会を自宅で開きました。


 嫌われ者の収税人の同僚や、同国民から罪人扱いされていた、娼婦も招きます。世間から見下げられている人ばかりを集めたこのパーティーにケチをつけるおっさんが登場。

 

 パリサイ派と呼ばれ、偉そうなおっさんです。自分達こそ、モーセのおきてを守り、神に愛される男だと公言し、派手な格好で人前でこれみよがしの祈りを捧げるおっさんです。


 人気者のイエスが大嫌いです。それで、

「あなたたちの先生が、収税人や、娼婦達罪人と一緒に食事をするのはどうしてですか?」


 宗教指導者にあってはならない行動だと、イエスの弱味を握りたいのでしょう。弟子に聞くあたりが、いやらしいですね。


「健康な人に医者は必要ではなく、病気の人に必要なのです。『私が望むのは憐れみであって犠牲ではない!』ということの意味を学んで来なさい。私は義人ではなく、罪人を招くために来ました!」 イエスが直接おっさんに答えました。


 パリサイ派のおっさん達は、確かに規定通りの犠牲をまめに捧げてはいますが、神様は、犠牲よりも憐れみを望むのです。それを学んでこい!って事ですね。


 マタイはイエスが罪人達を見下げたりしない事を確信していたのでしょう。その人達が、イエスの話を聞いて、爽やかにされる事を願って招待したのです。


 イエスはマタイの考え方、懐の大きさを分かって弟子として招いたのです。人間の心を読めるイエス・キリストは職業なんて関係ない!学歴も育ちも関係ない。その人の特質と可能性だけに目をとめ、弟子にスカウトするのですね。


 イエスはマタイの願い通り、霊的な病気の人達に思いやりと憐れみを示し、爽やかにしていきました。


 マタイは、困っている人、悲しんでいる人、病に苦しむ人、孤独な人に愛の手を差しのべる優しさと同情心を持つという賜物があります。


 イエスの目に狂いはないのです。まだまだ、マタイは活躍していきます。


 マタイ、がんばれー!



 


 

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