第160話 エレミヤ 迫害

 古代イスラエルの預言者は、命がけです。孤高の預言者エリヤでさえ、ヒステリーババ、あっ、イゼベルに命を狙われましたね。


 エレミヤも例外ではありません。ある日、ユダ王国の滅びを預言し、裁きの音信を伝えたという罪で、神殿の裁きの庭に、またそこにいた民の前に引きずり出されました。


「この人は死の裁きに値します!まさしくあなた方が自分の耳で聞いた通り、この都市に関して預言したからです!」


 裁判です。臭いものには蓋をしてしまうといったお上のやり方です。民もエレミヤの死を願っているでしょう。エレミヤがウザいのです。


「私の民が弱り果てたので、私は打ちのめされた。私は意気消沈し、恐怖にとらわれた」


 偶像崇拝を止めなさい!殺人をやめ、弱い者に憐れみを示しなさい!今の生き方を悔い改めて、神様と和解しなさい!


 臆する事なく、民にダメ出しをし、言うことを聞かないと落胆する預言者に苛立ちピークです。


「廊下を走らないで。学校ではたばこを吸わないで!先生の言うことを聞いて下さい!」


 不良に向かって繰り返し叫ぶ、女子学級委員のようにウザいのです。聞いてくれないと、机に突っ伏して泣く事も面倒なのです。


 しかし、エレミヤは男の子です。死刑宣告した裁判官にこう言います。


「ただ、もしあなた方が、私を殺すのであれば、無実の血を自分自身と、この都市と、その住民の上に置くことになるということを、是非知っておいて下さい!」


 神の言葉を語る預言者エレミヤを殺す事は、神と戦う事になるのです。その事を認めていた裁判官の一人アヒカムは、神からとがめられる事を望まず、エレミヤに無罪の判決を下しました。


 良かったね、エレミヤ。無罪放免だよ。エレミヤはイエス・キリストを予表しています。


 イエスも無実の罪で捕まり、裁判にかけられました。自分を神の子だと主張し、神を冒涜したという罪です。ただ、イエスは無罪放免とはなりませんでした。


 そうです。このあと、エレミヤもまた祭司パシュフルの手にかかり、痛め付けられます。


 祭司パシュフルは、親エジプト派。バビロニアがユダ王国を滅ぼす事がないよう、エジプトの軍事力に頼り、援助をお願いしていました。


 パシュフルはエレミヤに憤ります。神殿の北側の城壁にある門の所で足かせに繋ぎます。


 民衆の前で、40回のむち打ち。エレミヤは手足を固定され痛みに耐えるだけ。民衆は気を失いそうになるエレミヤをあざけり、ののしり、唾を吐きかけました。

 

 イエスも杭につけられる前、むち打ちされ、拳で殴られ、唾を吐きかけましたね。


「私は一日中笑い物となりました。皆が私を嘲笑っています」落胆するエレミヤ。このまま死んでしまいたいと願った事でしょう。


 神様、こんな苦しむエレミヤを見てシカトですか?助けてあげて下さい!そもそも、あなたの言葉を誠実に大胆に語ったからですよ。


 神はボロボロになっているエレミヤを見ておられました。エレミヤを自由にされたあと、祭司パシュフルに宣告します。


「あなたと、あなたの家に住む全ての者は、捕虜の身となってバビロンに行き、そこで死に葬られる。パシュフルは死の道を歩む事になる」


 はい、オワタ。お疲れパシュフル。あんた、バビロンで拷問されて、死ぬんだってよ。残念。


 神は、パシュフルだけでなく、偽預言者ハナニヤに対しても死の宣告を与えました。


 そして、エレミヤの預言通り、ゼデキヤ王が支配していた西暦前587年、ネブカドネザル王率いるバビロニア帝国によって、ユダは滅ぼされました。

 

 ネブカドネザル君、久しぶりですね。ダニエルと三人の友達を捕虜として連れていった、顔のデカイ王様です。知らんけど!


 しかし、エレミヤは希望の音信も伝えていました。ダニエルはそれを知っていたので、希望を持って、ネブカドネザル君のそばで頑張れました。


 どんな希望の音信でしょうか?そして、エレミヤもバビロンに連れて行かれたのでしょうか?


 次回お伝え致します。エレミヤがんばれー!

 



 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る