ダビデに恋して

第159話 エレミヤ 涙の預言者

　ヨシヤ王の死後、ユダではヨシヤの子エホアハズが即位しました。王様が代わると他国に攻められやすくなります。エジプト、アッシリア、バビロンがユダ王国を狙い、エホアハズはエジプトのファラオ・ネコによりたった三か月で退位させられます。

　ネコが口出しします。ニャー。ヨシヤの別の子エホヤキムを王位に就けます。ヨシヤが宗教改革を行い、霊的に清められていたのに、この愚息エホヤキムがまた偶像崇拝を行いました。

　イスラエル国民が幸せに、安全に暮らせるかどうかは、神に専心を示すかどうかで決まるのに、

王が率先してバアル祭壇を立てます。このバアルという神は子供を焼燔の犠牲として捧げることを要求します。頭がおかしいぞ、バアル。エリヤもエルシャも苦しみましたよね。バアル根絶したはずなのに、しつこいぞ、バアル。

　そんなエホヤキム治世の初め、神の言葉がエレミヤに臨みました。さあ、神の言葉を預かるものエレミヤ、心して聞くのですよ。

　エレミヤは、生涯中、主に五つの事を民に伝えなければなりません。その一つが偶像崇拝の糾弾です。

「盗みを働き、殺人を犯し、バアルを崇拝し、他の神に従って歩むその生き方や行いを改めなさい！そうすればこの場所に住み続けてよい！もし、あなたたちが私の言うことを聞かず、私が与えた律法に従わないなら――私はこの土地をシロのようにし、地上の全ての国民が、この都市に災いがある事を願うようにする」

　バアル崇拝をやめなきゃ、ユダ国民皆殺しにするよっていう神様の警告です。もしかしたら一番のサイコパスです。

　エレミヤは頑張りました。神の言葉を忠実に伝えました。偉かったね、エレミヤ。ヨナが伝えたニネベの人たちのように悔い改めてくれるよね。だってアブラハム、イサク、ヤコブの子孫なんだもん。

　エホヤキム王、宗教指導者、偽預言者、民はどう反応するでしょうか？

　エホヤキム王はガン無視。もっと不正を行い、殺人を行い、血にまみれた支配をします。

　エレミヤを応援していた、別の預言者ウリヤを捕まえて殺し、死体を墓に投げ捨てます。

　エレミヤに対する当て付けです。「黙らないとお前も殺すぞ！」と。ヤクザですか？

　祭司や偽預言者が問題を大きくし、あらゆる階層が堕落していきます。そう、殺人が起きても警察が動いてくれない感じ。拾った財布を交番に届けた女の子が、レイプされちゃう感じです。

　国民全てが甚だしく病んでいきます。イスラエルの神に背き、辛抱と憐れみにつけこみ、裏表のある生き方をします。

　エレミヤの警告に無関心、注意を払わない。

　そして、エレミヤ出身の地の人は、エレミヤにこう言います。

「あなたは神の名によって預言してはならない。あなたがわたしたちの手にかかって死なないためだ！」これ以上語ると殺すぞ！脅しです。

　エレミヤ、メンタル大丈夫かしら？信頼していたヨシヤ王は死んじゃったし、泣きたいよね。

「もし、あなたがこれを聞かなければ、私は隠れた所で泣き、涙にくれ……私の目は涙を流す」

　エレミヤはこの荒んだ状況を目にして、泣きます。隠れて泣きます。涙の預言者です。

　慰めてくれる家族もいません。神様から、「兄弟も父の家の者もあなたを裏切る！」と先に言われています。これからユダ王国はとんでもないことになるので、「妻を嫁とるな！子供を持つな！」とも言われています。

　結婚を禁じられた預言者ってエレミヤくらいだと思います。

　やってられないよね。生まれる前から任命されて、普通の生活もさせてもらえなくて。可愛そうなエレミヤ。使い古しでよければ、ハナス立候補していました。

　このあと、怒り狂った偽預言者に命を狙われます。エレミヤ、あと四つ、語らないといけないのよ！逃げて～‼早く逃げて～、がんばれー。