第142話 ヨブ シュアハ人ビルダドとの会話

 ヨブの発言を聞いて、今度はシュアハ人ビルダドがヨブに意見します。

「いつまでそんなふうに話続けるのか?神は公正を歪めるだろうか?あなたの息子たちが神に対して罪を犯したので、その反抗の事で、神は息子たちを処罰したのだろう!」ヨブ8:1~3


ビルダドは、子供が罪を犯したので死んだのだ!と因果応報の持論を持ち出しました。ヨブにとったら一番辛い言葉かもしれません。


 この因果応報の考え方は、自分に当てはめても、人に言ったら終わりですよね。生まれたての赤ちゃんが亡くなった場合は特に意味が分かりません。さらに、ビルダドはヨブを追い込む発言をしていきます。


「もし、あなたが本当に清く、正直なら、神はあなたに注意をはらい、元の良い状態に戻して下さるはずだ!」8:4~6 遠回しにヨブは嘘つきで清くないと言っていることになります。子供が犯した罪をヨブが隠しているとでも言いたいのでしょう。ヨブはもっと傷ついたでしょうね。


「湿地が無いのにパピルスは育つか?水がないのにアシは育つか?――神を忘れる人はみな、こうなる。神を認めない人が抱く希望は実現しない。その人が頼りにしているものは虚しく、信頼しているものはクモの巣のようにもろい」


 ビルダド、お洒落な詩的表現をしていますが、ヨブを背教者扱いしています。ヨブの事を神を認めない者、神を忘れる者だと批難しているのです。ずっと忠実に神に仕えたヨブが、不幸になったのを見て、本当は神を認めていないのではないかとヨブの忠誠心を嘲るのです。


「交通事故にあったんだってね。交通安全の御守り持ってたよね、残念‼あっ、本当は神様のご利益なんて信じてなかったでしょ!笑」


 こんなふうにズカズカと人の心に土足で歩くようなものです。腹立つよね?こういう人。


 ヨブはビルダドに答えてこう言います。


「その通りだと私も知っている。神に抵抗して無傷で済む人がいるだろうか?神は正しい方で、正義を曲げたりすることはない!神は超越したところにおられるので、絶対的に正しい方だ。私が罪を犯してないと思っていても、神から見たらあるのかもしれない。私は自分の正しさを訴える事が出来ない小さな存在だ!」


 ヨブは神の憐れみによってのみ、神に近づく事が出来るのだと謙遜に認めました。毎日、子供たちのために犠牲を捧げ許しを求めてきたとしても、神様にしか分からない罪があったのだと認めるのです。自分は神とは言い争えない、ちっポッケな存在だということも受け止めています。


 そう悟ったヨブは、また嘆きの言葉を吐き出しました。

「私に有罪宣告しないで下さい。ご自分の手で造った人を退け、虐げないで下さい。――あなたは私をミルクのように注ぎだし、チーズのように固まらせませんでしたか?あなたは皮膚と肉を私に着せ、骨と筋で織り上げました。母の腹から直接墓に行けばよかったのに!」10:1~5


 ヨブ、詩人ですか?受精から誕生までを書いています。母親の胎内での様子でしょう。確かに液体から固体になりましたもの。


 私、肉着て、ぜい肉を羽織って、その上からまた厚い肉を着ております。ファ、ファスナーが下りません。脱げないのでございます。


 ヨブはまた死にたい願望を口に出したのです。今度は、ナアマ人ツォファルがヨブに意見します。ヨブがんばれー!




 

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