第141話 ヨブ テマン人エリパズとの会話

 ヨブを慰めに来た三人の友は、変わり果てた姿を見て大泣きします。友といっても、アブラハムの子孫なので、ヨブの遠い親戚に当たります。


 痛みに耐えるヨブに、彼らは七日間そばに付き添いますが、声をかけませんでした。


 そう、本当に苦しみにあっている人には、励ましや慰めの言葉が見つかりませんね。優しく背中をさすったり、話をじっくり聞いてあげることが必要な時もあります。


 八日目、ヨブが話始めました。ヨブの言葉に耳を傾けましょう。

「私が生まれた日は滅んでしまえ!その日は闇となれ!天の神に関心を払われる事も、光に照らされる事もなくなってしまえ!」


 ヨブは自分がこの世に誕生した事を嘆いています。分かるよ!ヨブ。子供も亡くして、妻に辛辣な言葉を投げられて、お見舞いなのに三人の友は手ぶらで……知らんけど!


 痛みは人の感情に影響しますね。メンタルもやられてきましたね、ヨブ。


「なぜ、私は生まれた時に死ななかったのだろう。どうして私を育てる乳房があったのか!」


 母乳育児ですか?現代なら「なぜ私を育てる哺乳瓶があったのか!」と怒りますね。そこじゃない!


「神はなぜ苦しむ人に光を見させ、ひどく苦悩する人に命を与えるのか?なぜ死にたい人に死が訪れないのか!」ヨブ、限界なんだね。もう生きるのが辛くなったんでしょうね。可哀想です。


 ヨブは神を侮辱したり、恨みの言葉を言っていませんが、苦しみに遭う理由を間接的に尋ねています。どうしてこんな苦しみに遭うのかと。


 経済的、身体的な苦しみにあうと、人はよくこんな言葉を言いませんか?

「神も仏も無い」「神からの試練」などです。

また、「そういう運命だった」「日頃の行いが悪くて罰が当たった」「先祖の祟り」「前世で自分が何か悪いことをした」などなどです。


 ヨブは天の神に、苦しみに遭う本当の理由を、どうしても問い尋ねたかったのでしょう。


 答えたのは神ではなく、テマン人エリパズでした。ヨブの言葉をよく聞いて、こう言います。

「無実なのに滅びた人がいただろうか?正直な人がいつ滅びただろうか?――何と、神はご自分に仕える人を信じていない!神に戒められる人は幸せだ。全能者の矯正を退けてはならない!」


 エリパズはひどい言葉を投げ掛けます。ヨブの忠誠を神は信じていないんだよってことです。むしろ、悪いことをしたんなら、ちゃんと神様から戒められなさいねって上から目線のアドバイスを与えたのです。


 三人とも、折角お見舞いに来たのに、「死にたい!死にたい!」ってヨブの言葉にイラっとしたかもしれませんが、少しキツイですね。


 傷口に塩です。「悪い事は重なるね。そういう偶然もあるよね。それでもヨブ、忠誠を保って偉いね。がんばれーヨブ」ってなぜ言えない?


 ヨブはエリパズの言葉に返答します。

「私の苦悩が十分に量られ、私の災難もはかりにかけられればいいのに!――考え直してもらいたい!誤解しないで欲しいのだ。私の正しさはいまだに損なわれてはいない!」


 ヨブは声を上げて、自分は正しいと訴えました。つまり、悪いことをしてなくても災難に遭うのだ、私はまだ神に忠誠を示している、どうして自分を標的にするのかと訴えました。


 そのヨブの言葉を聞いて、今度はシュアハ人ビルダドが発言します。ヨブ、また心を乱されます。

ヨブがんばれー!

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