第132話 ヨシュア アイでの敗北

 エリコ陥落後、向かうはアイという町です。ヨシュアは先だってスパイを送り込みます。

「アイはエリコよりも小さな町です。全員が上って行かなくてもニ千人か、三千人でアイを討つ事ができます。皆を行かせて疲れさせないでください!住民は少数です」7:2


ヨシュアは合点承知の助で、三千人をアイに行かせました。


 勝利の報告を待つヨシュア。しかし、三千人はアイの人たちの前から逃げる事になりました。


 イスラエル軍、36人戦死。アイの人はまだ追いかけて来ます。イスラエルは敵に背を向けて逃げる、逃げる、逃げる。


 勝てるってゆうたんやん。(怒) ヨシュアは衣を引き裂いて、神の契約の箱の前でひれ伏しました。どうして勝たせて下さらないのか?と、小言を言うためではありません。


「――お許し下さい、神よ!イスラエルが敵の前から逃げてきた今、私はなんと言えばいいのでしょうか?カナン人と他の民はこの事を聞き、私たちを取り囲んで、私たちの名前を地上から消し去るでしょう!」7:9


ヨシュアが気にかけていたのは、神のお名前が悪く言われることでした。イスラエルの民がとるに足りない国民だと噂されることも、ヨシュアにとって、辛いことだったのでしょう。


 神様はヨシュアの祈りに答えます。

「イスラエルは罪を犯した。私が命じた契約を破った。処分される物を取って、盗み、こっそり自分の物にした。だからイスラエル人は敵に立ち向かえない。死刑にされるものを、あなたたちの中から除きさらない限り、私は二度とあなたと共にいない」7:12~13


ヨシュア、びっくりした事でしょう。まさかエリコの戦いで戦利品を盗んで、こっそり隠した者がイスラエルの民の中にいるなんて。


 神様も先に教えてくれたらいいのに!アイに進撃する前に教えてくれたら、36人も死ななくてすんだのにねぇ。


 ヨシュアはすぐに行動します。部族ごとに呼び、氏族ごとに、そして家族ごとに近くに来させます。聖書には何も書いていませんが、何か近くに来させる事で犯人が分かるのでしょう。神様が教えてくれるのかもしれません。


 ユダ族が選ばれ、ゼラハ氏族が選ばれ、ザブディ家が選ばれ……アカンが選ばれました。


 盗人アカン確定です。そんな事したらアカンとダジャレ言いたくなります。


「どうか、イスラエルの神を尊び、告白して下さい。何をしたのか、どうか、言って下さい。私に隠さないで下さい」7:19


ヨシュアはライトを当て、机をバンバン叩くような昭和な刑事ドラマみないな事はしません。


 タバコもカツ丼も提供しないで、とても丁寧に接して、本人の良心に訴えます。イケメンです。


 アカンはすぐに告白します。

「確かに私が神に対して罪を犯しました。戦利品の中に、シナル製の美しい職服と銀、金を見たとき、欲しくなって取りました。それらは私の天幕の中、地中に隠してあります」


「見たとき欲しくなった」から取ったと正直過ぎるコメントです。みんなそうだけどね、盗んで隠すなんてダメです。神様が見ています。


 アカンの言った通り、盗品が見つかりました。

 銀は2.3キロ、金は0.6キロの延べ棒です。笑


 盗んだ物以外に、アカンの家からは牛、ロバ、羊、天幕、そしてなんと娘と息子まで連れられて来ました。アコルの谷に運ばれます。


 そこでイスラエル全体が、アカンとアカンの家族、ロバ、羊、牛に石を投げます。


 盗みは犯罪です。石打の刑です。死刑です。死んだ事が確認されると、彼らを火で焼きます。


 イスラエルの中から悪が取り除かれました。神様は御機嫌になります。アイの住民一万二千人をイスラエルの手に渡します。勝利です。


 アカンのような父親を持つと悲劇ですね。子供達まで殺さなくてもと思いますよね。しかし、家族の天幕の中は狭いです。子供達も盗んだ事を知っていたはずです。もしかしたら、地中に隠すのを手伝ったかもしれません。神様だけが全てをご存じなので、ヨシュアは指示に従います。


 指導者は、人間的な感情を捨てなくてはいけません。「魂には魂」という教えを一貫して当てはめ、時に冷酷にならなくてはいけないのです。


 36人の家族もこれで納得です。


 アコルとは追放という意味があり、このあとも犯罪者はアコルの谷で処罰された事でしょう。


 エリコとアイを討ち取りました。目指すはカナンの地です。けれど、その前にボロボロの服を着た人達に会います。彼らは誰?ヨシュアがんばれー!


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る