第128話 ヨシュア 指導者になる

 10人のスパイのネガティブ発言と同調した民のせいで、イスラエルは荒野を40年さ迷います。


 けれど神様は民に反抗されたにかかわらず、ずっと民を養います。天から「マナ」という食べ物を降らせました。う~ん、簡単に言うとホットケーキの粉のような物です。白くてサラサラしていて、味はハチミツを入れて作ったケーキのようです。


 人間が生きるために必要な栄養素全てが入っているのでしょうね。知らんけど。


 昼間は雲の柱、夜は火の柱で民を導きました。それがとどまるところに天幕をはります。


 あれから40年経過しました。民はカデシュという場所にいます。荒野の中でも特に荒廃した土地で水がありません。


 民はモーセにめちゃくちゃ不満をぶつけます。

「エジプトで死ねば良かった。ここは穀物もいちじくも、ブドウもザクロもない!水もない」


 果物好きですか?マナだけじゃダメですか?


 モーセは感謝を忘れた民にプチ切れ気味です。ずっと養って下さった神様に申し訳ないのです。


 神様はモーセに岩を杖で叩くようお命じになります。民を大岩の前に集結させました。そばには大祭司アロン、モーセのお兄ちゃんがいます。


 民はまだ、モーセに文句を言ってます。モーセプチ怒。民不平、モーセはプチ切れ。民は不平の合唱。モーセは血管切れそうです。


「さあ、聞け!反逆の者たちよ!この大岩から私たちはあなた方の為に水を出すのか!(怒)」


 ぶちギレし、杖で2回岩を打ちました。モーセ、分かるよ、ヒステリーになるのも仕方ないよね。ずっと我慢してきたものね。たまには怒ってもいいと思います。


 民もびっくりしたことでしょう。普段温厚で怒らないモーセがぶちギレたのですから。


 私はモーセの味方です。しかし神はモーセに激怒しました。リーダーたるもの感情的になってはいけないのです。また神様が水を出したと言わないで、自分とアロンの奇跡のように言ってしまったからです。神はモーセとアロンにこう言います。


「あなた方が、私の民をカナンの地へ導き入れることはありません!」


 何ですと?ずっと頑張ってきたのに、約束の地に入れないなんて……残念すぎます。指導者を交代させるおつもりです。神の中では既に誰を指導者にするか決まっています。


 お兄ちゃんのアロンはこの後しばらくして亡くなりました。息子のエレアザルが大祭司となります。モーセも指導者の世代交代を言い渡されます。

「ヨシュアを連れて行って、祭司エレアザルと民の前に立たせなさい。そして民全ての前で、ヨシュアが新しい指導者になることを告げなさい!」


 モーセは言われた通りにしました。トップになった男の去り方、引き際は流石です。この後、モーセはネボ山の頂上に登るように言われました。


 そこからは美しいカナンの地、ずっと戻りたかった故郷、約束の地が見えます。

「これは私がアブラハム、イサク、ヤコブの子孫に与えると約束した土地です。私はその土地をあなたに見せましたが、あなたがそこに入る事はありません」 神様からのダメ出しを聞きながら、それでもモーセは穏やかな気持ちでカナンを眺めた事でしょう。モーセ120歳なのに、目が良かったのです。


 ファラオに命を狙われ、川に流された赤ちゃんのモーセ。ファラオの娘に拾われ、エジプトで育てられ、ナンバー2になったモーセ。自分の民が虐待されているのを見かねて殺人を犯し逃亡。

 神に選ばれエジプトに戻され、同胞を救出。指導者としての命を全うしネボ山頂上で死にました。最期にカナンの地を見られたのは、神様からのご褒美でしたね。うっ、私泣けます。


 モーセの死を知ったイスラエル国民も大泣きしました。あんたら、どの顔して泣くのですか‼


 しかし、神の知恵を持つ者ヨシュアが新しい指導者として立てられた事を思いだし、喜びます。気持ちの切り替え、早っ。

 

 さて、ヨシュアは40年以上の年月、モーセの訓練と知恵を与えられた男です。指導者としての素質を存分に発揮していきます。ヨシュアがんばれー!


 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る