第83話 ヨセフ 兄達との再会

 ヨセフの夢の解き明かし通りに7年間は、エジプトは大豊作でした。備蓄、備蓄、備蓄します。


 そして予告通りにその後は穀物が実らなくなり、周辺諸国を飢饉が襲います。

「エジプト全土には食糧があった」41:54 エジプト人はヨセフに感謝した事でしょう。食糧が無くなれば、ヨセフの所に買いにいけます。


 飢饉の影響はヤコブの住むカナンにも及びました。ヤコブはエジプトに食糧備蓄があることを聞き、息子達に買ってくるよう命じます。ヤコブには辛い記憶があります。ヨセフが野獣に殺された忘れられない経験でベニヤミンは行かせません。


 長旅の末、エジプトに着いた兄たちは役人に穀物を売ってくれるように懇願します。

 ザフナテ・パネアという高官の元へ行くよう指示されます。ザフナテ・パネア……そうヨセフのエジプト名です。いまだ、食糧管理官なのです。


 兄たちはその高官ザフナテ・パネアに会うと、敬意を表して身を低く屈め、顔を地に着けました。ザフナテ・パネアいや、ヨセフは目の前で身を屈めているヘブライ人が兄たちだと気が付きました。突然の再会に震えた事でしょう。と同時に少年時代の自分の夢の成就をみて、天の神を称えた事でしょう。


 ヨセフは兄たちが、昔のままの暴力的で利己的な者であるか試したくなります。ヨセフは自分の正体を隠して、通訳を介し兄たちにこう言います。


「お前達は外国のスパイだ。この国の弱みを探ろうとしてやって来たんだろう!」

 めっそうもございません、お代官様。兄たちは頭を上げ、否定します。

「私どもはただ、食糧を買うために参りました。スパイなどではございません。私どもはカナン地方にいる父の息子で12人兄弟です。一番下の弟は今、父の所におり、あとの一人はもうおりません」あんた達のせいですけどね。


 ヨセフはそれを聞いて、感情を押さえることができませんでした。愛する父親はまだ生きている。ベニヤミンも父親の元にいる。うっ、涙。


 ヨセフは兄たちに、スパイではない証拠として、その弟を連れてくるように命じます。連れてくる間、一人を人質にする事を条件にします。


 ヨセフは兄たちの本当の人間性を知りたかったのでしょう。それは、殺されかけて、奴隷として売り飛ばされたヨセフにしか持てない感情だと思います。兄たちはどうするでしょうか?


 

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