第71話 エステル 覚悟
「第12の月、すなわちアダルの月の13日、その1日のうちに、ユダヤ人を若者も老人も子供も女性も殺し、滅ぼし、全滅させ財産を奪い取れ」3:13
これがハマンの布告です。アダルとは今の2月下旬から3月中旬をさします。雹が降る寒い頃に殺せという事です。ハマンどんだけひどい奴。
モルデカイは辛いですね。ユダヤ人があちこちで嘆くのを聞いて……自分も衣服を引き裂き、粗布をまとい、大声で泣き叫びます。
宮廷にいるエステルの耳にも、ユダヤ人の嘆きの声が届きました。そしてモルデカイから王に執り成しをするように、自分の民族の為に立ち上がるようにとの伝言も受けています。
エステルは恐れを抱きながら、モルデカイに返事します。
「王の家来も男性も女性も呼ばれていないのに、王の内の庭に入って行く人は――処刑されます。ただし、王が金の笏を差し出すならば許されます」
30日も王の元に召されていなかったため、エステルは不安を口にします。
モルデカイはエステルの父親がわりです。少し厳しめにエステルを鼓舞します。
「王の家にいる自分は他のユダヤ人とは違って安全だろうと考えてはなりません。もしこのような時に黙っているなら、ユダヤ人は別の仕方で助け出されますが、あなたも、あなたの父の家族も命を失うことになります」4:14
エステルが行動しなかったら、いずれにせよ貴方も殺されるよという脅しのようです。
そしてエステルが王妃になったのはこのような時のためかもしれないと励まします。
幼い頃からエステルは、モルデカイにイスラエルの神について教えられてきた事でしょう。神様がどんな方法でご自分の民を救ったか……。
――もしかしたら、私が王妃に選ばれたのはこのためかもしれない。
エステルは覚悟を決めました。
「行って、シュシャンにいるユダヤ人全員を集め、私の為に3日間断食をしてください。私も付き人の女性たちと共に断食をいたします。そして王のもとへ参りましょう。命を失うとしても、その覚悟は出来ております」4:16
キッパリと言い切りました。ユダヤ人が断食をするのは祈りのためです。強い信仰と勇気、物事がうまく運ぶための導きを祈り求めるのです。エステルはそうすると決めたのです。カッコいい。
エステルは死ぬ覚悟を表しました。モルデカイはそんなエステルの姿を見て嬉しかったに違いありません。すぐにシュシャンの都に行きます。
ユダヤ人と共にエステルの為に祈るのです。
エステル覚悟を決め、祈りの3日間を過ごします。
さあ、王の前に出る日となりました!
エステルがんばれー!
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