第63話 ダニエル 北の王と南の王 11:6~9
北の王がセレウコス一世、南の王がプトレマイオス一世という事が分かりました。
では次に進みましょう。
「何年か後、彼らは同盟を結び、和睦するために南の王の娘が、北の王に嫁ぐが、彼女は勢力をとどめておくことができず、彼の力もとどまらない。この女と彼女を連れてきたもの、彼女を生んだもの、その頃彼女を力づけた者は死に渡される」11:6
何年か後とはプトレマイオス一世が死んで、息子のプトレマイオス二世になっていた頃です。
その時、北の王はアンティオコス二世です。
一世の時代からめちゃくちゃ仲が悪くて最悪でした。アレキサンダー大王も泣いてるでしょう。
その打開策とは政略結婚です。日本の戦国時代にもありましたが、犠牲になるのはおなごです。
プトレマイオス二世の娘、ベルニケがアンティオコス二世の元に嫁がされました。条件はアンティオコス二世は妻ラオディケを離縁する事でした。同盟を結ぶため、やはり不幸になるのはおなごです。
これでメデタシメデタシとならない。預言には不吉な言葉がありました。――死に渡されるのです。
「この女」ベルニケと、「連れてきたもの」アンティオコス二世と、「力づけた者」ベルニケの赤ちゃんは殺されました。離縁されたラオディケが恨みをはらしたのです。元夫を毒殺し、世継ぎにしないように、ラオディケは自分の息子を利用してベルニケとベルニケの赤ちゃんまで殺す……大奥か?
「しかし、この女の根から一つの芽が起こって彼に代わり、軍隊を率いて北の王のとりでに攻め入ろうとし、これと戦って勝つ」11:7
聖書の中では「根」は親、また祖先を表し、芽は子供を表します。つまり、ベルニケの父親プトレマイオス二世の子供が、北の王と戦うのです。
それはベルニケの兄、プトレマイオス三世が、ラオディケの息子セレウコス二世と戦い成就しました。ベルニケの敵討ちです。ラオディケを殺したのです。勝った!のです。
「さらに、彼らの神と銀や金、捕虜たちを連れてエジプトに戻る」11:8
プトレマイオス三世は戦利品と捕虜をエジプトに持ち帰ります。母親を殺され、金銀奪われてプッツンしたセレウコス二世はどうするでしょう?
「北の王は南の王の国に侵入し、また自分の地に帰る」11:9
セレウコス二世はエジプトに戦いに行きますが、負けて自国、シリアの首都アンティオキアに生き残った僅かな兵と戻りました。
ダニエルの書いた巻物に目を通しておけば、ベルニケも嫁ぐの拒否出来たのにねぇ。赤ちゃんは男の子でした。その子も死なずにすんだのにねぇ。悲しすぎる!
セレウコス二世もお母さんラオディケの敵討ちに行かなければ良かったのに。負けるって預言されてますよ。しかし、みんな自分に当てはめないのが預言なのかもしれません。
聖書の預言の成就は時が経過して、歴史と照らし合わせて、後付けしたものだと思う方もおられるでしょう。お好きな方でお読みください。
しかし、聖書はセレウコス二世の死後も預言しています。まだまだ北の王と南の王の抗争が続くのです!
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