第60話 ダニエル 天使に強められる
ダニエルからお返事が届きました。そのまま掲載しますね。
『 星都ハナス様。手紙ありがとうございます。
天使に会った話をしましょう。
それは私の晩年でございます。バビロンがメディアペルシャの手に陥ってから、2年後、同胞のイスラエル人は、キュロス王の慈悲を受け、自由の身となり、エルサレムに戻りました。エレミヤの預言通り、70年後の帰還です。このバビロンで生まれた子供もいます。みな、喜びのうちに我が都、我が故郷へ戻るのです。わたくしも帰りたかった……しかし、この90過ぎた老体で、4ヶ月の旅はとても無理でした。このバビロンに骨を埋める覚悟をしました。
振り返れば、身の引き裂かれるこの思いは、イスラエル国民が神に逆らい、おきてからそれたことに始まります。
イスラエルの神は何度も預言者達を遣わし、罪を犯さぬように警告しましたが、不忠実でした。
私はそんなイスラエルの罪を赦して頂けるように、朝晩祈りました。そんな時です。夕方の供え物の祈りで疲れきっていると、私の前にガブリエルが再び現れたのです。彼はイスラエルの罪を取り去る為に、メシアがいつ到来するかを教えてくれました。
イスラエル国民が待ち望むメシアですよ。どんなに嬉しかったことか……。エルサレムの城壁を修復して建て直せという命令が発せられてから69週年後の事です。どうですか?預言は成就しましたか?
本当にその約束に強められました。
また、別の時にも天使が現れました。キュロス王の治世第3年の年です。バビロンに残る私も、やはり人の子です。3週間ほど嘆き悲しみ、食事も喉を通らないほど、弱っておりました。
その名前を名乗らない天使は、私に会うために神に遣わされたそうです。大切な預言の言葉を伝えるために。彼は……私に会うために、ペルシャの領土の長に行くてを阻まれたそうです。そのペルシャを支配する悪霊と21日間、闘っていると、ミカエルが助けに来てくれたとのことです。天使最高位のミカエルがですよ。どれほどのことでしょう。
彼は私を強めてから話始めました。
――その音信の言葉に、やはり驚愕しました。北の王と南の王との抗争についてでした。覇権争いの詳細な預言を書き留めるのに、精根使い果たしました。あなたの生きている時代まで続く預言です。歴史はどう証明していますか?
天使は私の事を、神から愛される貴重な、大切な者だと何度も言ってくれました。
わたくし、ダニエルは10代で親と離され、異教の神のもと、この齢になるまで、イスラエルの神を崇拝した者のひとりに過ぎません。
こんなありがたい言葉を頂けるなんて……。
何の為に生まれ、何の為に生き、このバビロンの地で、死ななくてはならないのかと思案しておりました。
悲嘆にくれる中での天使の励ましは、年老いた私に力を与えてくれました。
私のこの信仰は、イスラエルの神に対する愛は……誰も離しえない。誰も取り去る事はできません。イスラエルの神の憐れみによって、もう少し……もう少しだけ……この命を全うしたいと願うばかりです。 ダニエル』
次回はダニエルの手紙に書かれていた69週(70週)の預言と、北の王と南の王の実体について紐解きます。
関心あればお付き合い下さい。
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