第58話 ダニエル 獣の解き明かし

――では少し休んだところで、天使からどう解き明かされたか教えていただけますか?

 はい、4匹の巨大な獣は、地上で権力を持つようになる4人の王を、その王国を表すそうです。


――そうでしたか。ではライオンはどの国?

 バビロンです。肉食のライオンのように諸国をむさぼり食いました。しかも鷲のように速い侵略でしたね。人間のように二本足になったときに次の獣に襲われたのです。


――2番目は熊でした。それはどの国ですか?

 メディアペルシャの事です。三本のあばら骨をくわえていましたが、3という数字は食欲旺盛な事を象徴します。そして北のバビロン、西のトラキア、南のエジプトを奪いました。


――確か、聖書の中で3は強調を表しましたね。ではヒョウはどの国でしょうか?ネブカドネザルの金の像から考えると、ギリシャですか?

 そうです。アレクサンドロスの世界征服の速さは有名でしょう。それは4つ翼があるからです。しかし、アレクサンドロス死後は、4つの頭から分かりますように、四人の将軍に後継されます。


――セレウコス、プトレマイオス、リュシマコスとカッサンドロス将軍ですね。私、世界史で習いました。ではその後はどうなるんですか?

 確実に私、ダニエルの死後ですから……聞いたところによると、西暦前30年までに、ギリシャに続いたローマが世界強国になりました。ローマはどの王国より軍事強国として他国を崩壊させたのではないですか?鉄の歯で噛み砕いたのです。


――確かに。「ローマは一日にしてならず」の言葉通り、長年かけて軍事力で服従させ領土を拡大してきましたね。ひときわ恐ろしいはずです。

 けれど、星都さんが知っている通り、支配者階級から退廃し、衰えて多くの国に分かれたでしょう。10本の角がその事を表します。


――聖書の中で10という数字は全体性を意味しますものね。ローマ解体により生じた王国全ての事なんですね。

 そうです。小さな角があったの覚えていますか?目と口がある高慢な態度の角です。今現在存在する世界強国はどこですか?


――私が答えるんですね。ダニエルさんは知らないですものね。はい、英米でしょうか。観察力があり、世界の政策に口を出します。目と口があるとはそういう事ですか……きもっ。

 けれど、天使の解き明かしによると、獣は根絶やしにされ、滅ぼされます。統治権は人の子に与えられるんです。そしてその人の子の支配は永遠に存続するとの事です。私、ダニエルはこの事をずっと胸に納めてきました。あなたにだけですよ、話すのは。ダニエル書の預言の大半は将来の事ですから、私にはどう成就するのか分かりません。むしろ、どう成就したのか教えてくれてありがとうございました。また会う日まで。


 この後は、ダニエル2章と照らし合わせると、英米世界強国の支配の時に、天の神様が支配権を取り去り、人の子であるイエス・キリストに与えるのです。そしてその王国は永遠に人類を支配するとの結論になります。


 聖書の預言を歴史が証明しているのか、こじつけているのかお好きな考え方でどうぞ。


 それにしてもダニエルさんは、素敵な方でした。インタビュー以外にたくさんお話伺いましたので、次回お伝えします。お疲れ様。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る