第24話 ソロモン ソロモンの歌

 ソロモンの歌は雅歌とも呼ばれ、西暦前千二十年頃にソロモンによって書かれました。

 テーマは男女間の真の愛。(簡単に言うと貫一お宮の逆バージョン) です。一連の会話形式で八章あります。


 登場人物はシュラム(地名)の田舎娘 娘の母と兄 シュラムの娘と相思相愛の羊飼いの青年 ソロモン王 宮廷の女達 エルサレムに住んでいる婦人達


 あらすじは、シュラムの娘が羊飼いの青年にデートに誘われた。ルンルン気分の娘を心配して、母親と兄達が行かせないように、仕事を言いつける。その仕事は娘にはきついぶどう園の見張り番。そして仕事を終え、くるみの木の園に行く途中、偶然ソロモンの宿営に出くわす。

 

 娘の美しさがソロモン王の目にとまり、妻にするつもりで、エルサレムの宮廷に連れていかれる。その事を聞いて、羊飼いは、娘に会いに行き、愛を確かめ合う。ソロモン王は諦めないで娘に金や銀をちらつかせる。娘は王の妻になれば手に入る、富や権力や地位に背を向けて、故郷のシュラムに戻り、羊飼いと永遠の愛を誓うというものです。


 以下は詩的表現の素敵な部分を、独断と偏見でご紹介します。(ツッコミ入ります。)


 シュラムの娘の自己紹介

「わたしは沿岸の平原のただのサフラン、低地平原のゆりです」(私、田舎娘なんです。って謙虚な表現)

  

 シュラムの娘が羊飼いの青年を紹介 

「わたしの愛する方は森林の木々の中のりんごの木のようです。わたしはその陰を恋慕い、そこに座りました。その実はわたしの上顎に甘かったのです」(とにかく好きなんですね)


羊飼いの青年が娘をデートに誘う言葉

「わたしの美しい人よ、一緒においで。ご覧、雨季も過ぎ、花も地に現われ、ぶどうの木を刈り込む時が来た。いちじくの木は、早なりのいちじくのために色が熟し、ぶどうの木は花を開いて、香りを放っている。……一緒においで。

あなたの姿を見せておくれ。あなたの声を聞かせておくれ。あなたの声は快く、あなたの姿は麗しいからだ」(春の美しい風景を一緒に見ましょうとのお誘いですが、ラブレターですか?)


娘の美しさに一目惚れのソロモン王の言葉

「女の中で最も美しい人よ……あなたの頬は編み毛の間にあって麗しく、あなたの首は飾り玉をつないだ輪の中にあって麗しい。あなたのために金の飾り輪を作ろう。それと共に銀の飾りびょうも」(ソロモン、あなた今、六十人の王妃と八十人のそばめがいるじゃない。欲張りですね)


娘が他に愛する人がいると断る言葉

「わたしの愛する方はわたしにとって没薬の袋のようです。あの方はわたしの乳房の間で夜を過ごすでしょう」(娘は初めての人は王ではないと必死に抵抗。王様怒らせないように大変)


宿営から自分を連れ出してと願う娘の言葉

「わたしの愛する方はわたしのもの、わたしはあの方のもの。……わたしの愛する方よ、日がいぶき、影が去ってしまうまで、振り向いて下さい。分離の山々の上のガゼルか雄鹿の若子のようであって下さい」(早く来てと切実です)


娘と再会し、愛を伝える羊飼いの言葉

「あなたは全く美しい。あなたには欠けた所がない。わたしの花嫁は横木で閉じられた園。封じられた泉。あなたの肌はざくろの庭園。そこには選り抜きの果物ヘンナの木、すべての最良の香物がある。(愛している。結婚しよう。処女を守れ。)


羊飼いの青年の求愛に答える娘の言葉

「わたしの愛する方が自分の園に入って来て、そのえり抜きの実を食べますように」(素敵な表現なのになぜかエッチ。あなたに女の子の一番大切なものをあげるわぁ」

 

 それを聞いて二人を励ます婦人達の言葉

「友らよ、食べなさい! 飲んで、愛情の表現に酔いなさい!」(ソロモン王に負けるな!)


しつこいソロモン王の求愛の言葉

「愛されている乙女よ、無上の喜びを与えるものの中で、あなたはなんと美しく、なんと快い者なのであろう。あなたの乳房はなつめやしの房に似ている。わたしは言った、『わたしは、なつめやしの果梗を取ろう』と。」(ただのスケベなおじさんですか? 王も人の子よのぉ)


それにきっぱり答える娘の言葉

「わたしはわたしの愛する方のもの。あの方の渇望はわたしに向けられています。……わたしは城壁です。わたしの乳房は塔のようです。」


シュラムの娘は貞潔を守り、羊飼いの青年に対する忠節を保ちました。一途な愛の物語。ソロモンにとったらお金で買えないものもあるという教訓でしょうか?自分がふられた話をあえて書くソロモン王も好きです。


 ソロモンの歌の比喩表現は素晴らしい! (英語版の聖書の方が分かりやすいです。Loveのオンパレードです。」


 ソロモン王はダビデの子。これからもっとそばめを増やしていきます。桁違い。その影響でとんでもない事になります。


 


 

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