第9話 ダビデ 王様になる
サウルとヨナタンの死後、ダビデはイスラエルの町ヘブロンにやっと戻ることが出来た。
しかし簡単には王様になれない。ダビデを王とする人と、サウルの息子イシボセテを王としようとする人たちの戦が起きた。世継ぎ争いはどの時代にも、どの国でも起こる。
でもダビデは神様に選ばれた男。あの紅海を二つに分けてエジプト軍からイスラエル人を救出した神様に逆らうんですか?無駄な抵抗だ。
やはり、ダビデ側が勝利し、西暦前千七十七年ダビデは、晴れてユダ族の王となる。そこで七年半、その後エルサレムに進軍し三十三年間の支配。
家来三十四万八百二十二人(細かい)と共に神様から与えると約束されていたカナンの土地もゲット。
あの有名なダビデの都市を築く。格好よすぎるよダビデ。四十年間王様なんて! ブラボー。
しかし、ただの羊飼いダビデが王様になった事で、周りの人間の人生が狂わされる。
例えば、あのサウルの娘、ミカル。サウルにいやいや嫁がされたミカルは、ダビデが王様になるとすぐに取り戻された。ミカルの夫は王様の命令だから仕方ないとミカルと別れる。夫はミカルを愛していたんだろうな。泣く。残念。
なのに、ダビデの妻に戻ったミカルには子供ができなかった。神様との契約の箱を取り戻し狂喜乱舞したダビデを侮り、嫌味を言ったからだ。ダビデはプッツンお怒りで、性関係を持たないことで罰したのだ。ひどくない?
ダビデ、プライド高すぎない? ミカルはお兄ちゃん、お父さんが死んで、夫とも別れて、子供もいない人生を歩む。大奥の正妻のようだ。
でもダビデは、妻とそばめとやりまくり、二十人以上の子どもを作る。子孫繁栄は王様の仕事だから仕方ない。まあ旧約聖書を読むと一夫多妻が当たり前で、頭が混乱する。誰が誰の子なのかメモ必要。近親婚の歴史書でもある。
アビガイル、アヒノアムとマアカ。ハギトにアビタル、エグラなど舌を噛みそうな名前の妻たちに加えて、一目惚れした人妻バテシバがいる。バテシバは、あの有名なソロモンの母。
そして驚くことに、この不倫した妻、バテシバを通して、イエスキリストの両親ヨセフとマリアが誕生するのである。イエスキリストはダビデの家系を通してと分かっていても、まさかのバテシバですか? 何でもありですね。
ダビデが王様になったことで、まだ残念な人たちがいる。サウルのおじアブネルだ。彼は総指揮官としてサウルを支えて来たのに、暗殺される。しかも次の総指揮官ダビデの甥っ子ヨアブに復讐されるのである。
ヨアブは自分の兄弟アサエルをアブネルに殺されている。その復讐をしたのである。
みんなダビデの命令だと疑った。ダビデはそんなことをするような小さな男ではない。アブネルが殺された報告を受けて、ご飯が食べられなくなる人情派だ。
ダビデは逃亡中、洞穴に隠れていた時、サウルを殺す機会が訪れても殺害しなかった。そのくらい器の大きな男だ。(サウルが用を足していたからやめた。という説もある)
なのに、ダビデは、サウルを殺した部下や、イシボセテを暗殺した部下を平気で殺す。褒美をとらせるどころか、死刑にする。
殺人、復讐、死刑や不倫。近親相姦というワードたっぷりの旧約聖書。読んで熟考すると、人間の本質が理解できる。お宝の書物。
人間なんて目くそ鼻くそ。罪だらけだ。自分の生い立ちを悲しむことも、恨むこともなく、他人を羨む事もなく自由になる。何が罪で何が正当なのか規準が麻痺してくる。現代のいじめも虐待も浮気も全て、人間の不完全さの極みだと自分にある怒りが麻痺してくる。
聖書の神を崇拝してきた国民が現代も争い続けることもなんとなく納得してしまう。キリストの愛を説く欧米と話が合わないことも理解。
次回は戦人のダビデが用いた戦術を通して、彼の魅力を引き出します。
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