第10話 ダビデ 戦人

 ダビデは力も強いがメンタルも強い。王様として、また軍の最高司令官としてフィリステア人、ツォバ人、シリア人、エドム人を次々に打ち倒していく。


 米を研がず、野菜を切らず、洗濯物も取り込まないで一日中、戦闘シーンを読んでいるダメダメ主婦は何処のどいつだい? 私だよ。古っ


 そのくらいダビデの戦人としての生き方に、胸がワクワクするのである。


 ダビデは戦闘体系として、先ず、古くからの組織上の方式を取り入れる。ヨアブ、アブネル、アマサを野戦司令官として任命。その下に千人、百人を司る長達をおく。どの時代も組織力が勝利の秘訣だ。

そして新しい方式として、二万四千人を一つのグループとして十二グループに分けて、月毎に交替させ任務につかせる。各兵士を一年に一ヶ月だけ働かせ、残りの期間は家族と過ごさせる。現代の会社もこれならいいのに。

 

 亭主元気で留守がいい! の奥様には無理。


ダビデは、信仰心にも熱い人だ。フィリスティア人が攻め上って来た時に、向かって出ていくべきかをイスラエルの神に伺う。

 

「上って行け」と答えがあれば正面から戦い、「回り込め」と言われれば、戦術を変えて後方から打ち破る。何でも神様のいう通りに、戦う。

 

 もちろん、騎兵隊と兵車(移動式射撃台)を所有し、速さと機動性をバビロニア、アッシリア、エジプトから高く評価された。残酷アッシリア人もびびったでしょうよ。あいつら生きたまま、人間の皮を剥ぎますし、真っ二つに切りますから。親の顔が見たいものだ。


 剣、槍、弓、石投げ器を武器に持つ歩兵隊も充実していた。しかし、神様の、馬に頼るなという命令に忠実で、ツォバ人から奪い取った馬のひざ腱を切ってしまうのである。戦人にとって馬は必需品だろうに、百頭しか残さない柔順さ見事だ。

 

 またダビデは頭がいい。難攻不落の都市エルサレムは地下水道から攻撃しやすいとみてとり陥落させた。エブス人の頭を討ったのはあのヨアブだ。気性が激しくないと、褒美が貰えない世の中ですね。戦場で敵の頭を見つけるのも大変だ。


 沈着冷静さと瞬発力が求められるのかな?


 私がこの時代の兵士なら、槍だけ持って死んだふりする。絶対そうする。怖いもん。

 

 ダビデは、公平さも示した戦人。アマレク人との戦いで朝から晩まで彼らを打ち倒し、分捕りものを手に入れたときである。共に戦った兵士から荷物番には分捕り物を与えないように要求された。その時の言葉に惚れる。


「皆、一緒の分け前にあずかるのだ」サム1,30

 

 社長さん、聞いてますか? 社長さんも朝から晩まで働いて、共に働いた社員も、窓際社員もボーナス同じにするって言ってるのと同じ。


 私が社長なら、共に働いた部下だけ飲みにつれてくけどね。窓際は、缶コーヒーです。

 

 そんなダビデも戦人として一度死にかけたことがある。フィリスティアの巨人、イシュビべノブに殺される寸前、アビシャイに助けられた。

 

 九死に一生を得たダビデ。部下にもう戦いに出るなと頼まれ、もう勇気や体力がないと自分の弱さを認めた。なんて謙遜な戦人。何故か巨人には足の指も手の指も六本ずつあったという。怖かったね、ダビデ。お家に帰ろう。

 

 社長さんも引き際大事。席譲ろう。

 


 そして、ダビデは、アッシリア人と違って捕虜達を残酷に扱わなかった。のこぎりや斧を使う仕事につかせ、レンガ作りにも従事させた。

 

 戦勝国の王が普通に行う自国の経済的発展のためだ。なのに石のこぎりや鉄の斧というワードだけ取り上げられて、ダビデは人間を挽き切る、切り刻む残忍な拷問者として勘違いされている。


 違う。ダビデは、心優しい人。羊を熊から助けた愛ある人。彼は惨殺はしない。

 

 強くて勇敢で、知的な王様。自分の弱さを認め、部下を公平に扱う優れた最高司令官。そして、人の尊厳を重んじる愛ある人間。ダビデのような人が今の時代にもいたらいいな。


 もう四時だ! 洗濯物畳んで、晩御飯作ろう。

 

 次回はダビデ不倫する! をお送りします。

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