第5話 ダビデ サウルの嫉妬

 ゴリアテを倒しもはやイスラエルの英雄、ダビデは、総指揮官アブネルに認められる。このアブネル、サウル王の親戚で陰の実力者。


 やったね、ダビデ。軍の隊長として凱旋するが、迎える女達の歌がまずかった。


 「サウルは千を打ち倒し、ダビデは、万を」


 言い換えれば、サウルは何千人も殺したが、ダビデは、何万人も殺したと、ダビデの方に誉れを与えている。


 これを知ったサウル王は人気者ダビデに嫉妬し妬むようになる。


 芸能界でも会社でも、学校でもありそうな嫉妬の世界。人間の本質は何年経っても変わらない。ダビデ危うし。


 サウル王は相変わらず、ダビデのたて琴の音色で気持ちよく眠る。

 感謝しなさいよ!


 妬みは怖い。妬みが憎しみに変わり、殺意を抱く。サウル王は異常なほど、感情が高まる。


 愛したダビデに槍を投げつけた。もちろん殺そうとしてだ。ダビデを壁に突き刺そうと、二度も槍を投げつけた。


 自己愛パーソですか?手のひら返しの境界パーソですか? 二番じゃダメですか?


 ダビデがかわいそう。イスラエルの為にゴリアテと戦い、サウル王の為に音楽奏でて、結果は命を狙われる。やり返せばいいのに。

 

 逃げるだけのダビデの心を思うと切ない。そして、勝利した時の約束もほったらかし。


 ゴリアテに勝ったら、娘と結婚させると言いましたよね。サウル王は嘘つきだ。他の男と結婚させました。意地汚い。


 しかし、サウル王はダビデを殺したい一心でもうひとりの娘との結婚を企てる。

 フィリステア人の包皮百を差し出せば、娘のミカルと結婚させると条件を言う。


 これはダビデがフィリステア人の手にかかって死ぬように意図した事だ。何処まで卑劣なんだ。サウル王よ。みんなに嫌われるのはそういうとこだぞ。


 さすがのダビデ。包皮二百差し出して、ミカルゲット。ミカルはダビデを愛した。

 

 羨ましい。ほんとに羨ましい。


 もっと怒ったサウル王は息子のヨナタンに胸のうちを告白する。ダビデを殺したいと。ヨナタンはよく出来た人。父親に説教する。

 

「ダビデを傷つけてはなりません。ダビデは、あなたに悪い事をしたことなど一度もないではありませんか」


 娘のミカル、息子のヨナタンもダビデの味方だ。サウルは、ダビデを傷つけないと約束する。


 この親父、最悪。舌の根もかわかないうちに家にダビデを呼び、また槍を投げつける。


 もう殺意が止まらない。子供に裏切られると普通の精神状態ではなくなるのか?

 理性は? 感情のままに行動するから、神様から王権とられるのだよ。


 家に逃げ帰ったダビデ。家まで刺客をやるサウル王の執念。しつこい。しつこすぎる。

 

 妻ミカルは窓からダビデを逃がした。新婚なんですけどってミカルはキレたに違いない。ダビデの布団にダミーを置いて刺客を騙した。その間、遠くへ逃げるダビデ。


 そこから七年間の逃亡生活が始まる。

 怒ったサウル王はミカルを他の男と結婚させ、自分の怒りを消化。けつの穴の小さい男よのう。

 

 サウルの目を逃れてあちらこちらに隠れ、逃れて、隠れて逃れる。

 

 ダビデ、がんばれー。




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