真に求めているもの
「――ヒャッー!! ユウくんめっちゃ可愛いィ!!!!」
「おい……その言葉は複雑すぎるぞ……ったく、彼氏に女装させて楽しむってどういう趣味してやがんだ……」
「そんなのどうでもいいからっ! ねえ、今度は両手をグーにしてブリっ子ポーズしてっ!」
「うっ……こ、こうか……?」
「アヒャァァァー!!!! ちょおおおおおお可愛いぃいいいいいい!!!! 今度は俯き加減で、アヒル口かーらーのー? 上目遣いでお願いしますッ!」
「ぐぅ…………はい……」
「おほおおおおッ!!!! いいよ、いいよっ!」
「はぁー……疲れる……」
「――なあ、イブキってさ、女の子が好きなの?」
「ん? どうして?」
「や、俺を女装させて楽しんでんじゃん。だからさー」
「はぁー……ユウくんはわかってないよ……私はねッ! 女装した『ユウくん』が好きなの! だから他の男子でもダメだし、もちろん女の子でもダメ。あくまでも女装したユウくんじゃなきゃ!」
「コイツ頭おかしい……ってかさ。それって、要は普段の俺じゃダメで、『女装した俺』が好きってことなんだろ?」
「そーんなことないよ! 私は普段の男の子の状態のユウくんも大好きだよ?」
「ホントかぁ?」
「ちょっ! そんな疑いの目で私を見つめないでよぉー! ホントのホントに大好きだって! ただっ! ぶっちゃけ女装しているユウくんの方がもっと好きだけど……」
「おいっ! さり気に本音をぶちかましてきたなっ! やっぱホントの俺なんて愛してないんだろ……?」
「いや違うのッ! 何て言うのかなぁー……そう女装したユウくんはもはや私の芸術、私が求める『美』というものをまさに具現化した形なのだよ! ユウくんの他の男子よりどんなに頑張っても到底届かない身長。そしてお母さん似の童顔であどけないその顔。そひて、力を入れたら折れてしまいしょうなほしょいうでぇ……私の腕の中でしゅっぽりとおしゃまりそうな、小さなかりゃだ……」
「おいイブキ、顔が溶けてる。ヨダレも出てる、気持ち悪い。つーか、俺の体のことディスんじゃねぇ!!」
「おっと! その全てが私の理想とする『美』そのものなんだよ! それは決してコンプレックスという弱点じゃない。むしろ私からすれば、それは長所! 褒めるべきところなんですッ!」
「でも、じゃあ、俺の体目当てってことじゃねーかよぉー……?」
「うーん、でもっ! 元々私はユウくんが好き。これは普段の女装していないユウくんのこと。でねっ、女装しているユウくんは私の美学を満たしてくれるからもっと好き。だから順番的には普段のユウくんの方が先。だから私は決してユウくんを体目当てでなんて好きなったりなんかしてない。ユウくんの人柄、中身に触れて惹かれてたの。てか、そもそもこんな変態的なこと、真に好きな人以外にしないって」
「自分が変態ってのは認めるんだな……でも、なんか微妙に納得できないなぁー……」
「もーう、わかった。じゃあ――」
「えっ……?」
「――これで、証明できない?」
「あっ、えと……」
「ふふっ、キスされて照れてる。可愛いなぁー!」
「うっせ! でも、うん……なんか唇を通して愛が伝わってきたみたいだわ。今日はこれで納得する……」
「ふふふーなんか、恥ずかしいセリフぅー! でも、私の真の想いが伝わってよかった」
「うん……」
「――じゃあ、女装の続きしよっかっ!?」
「おいッ!? さっきのいい雰囲気を返せぇえええええ!」
色々な恋。 瑠璃ヶ崎由芽 @Glruri0905
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。色々な恋。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます