第7話 猫と人と年末
占い師の人が云ったご先祖様という単語が気になったので、ひいおばあちゃんの家に行ってみる事にした。
思い出した、私は昔、母親から護身術を習っていた。ひいおばあちゃんの代から、娘が産まれると継承して教えていると云っていた。社会人になってからは忙しくなったので、筋トレだけを行っている。
今はひいおばあちゃんの孫にあたる人が住んでいる。私の母親の、義理の兄弟? よく解らないけれど、おじさんおばさんと呼んでいる。毎年お正月に来ているので、迷う事無く来れた。
「美由、ニュース見たよ」穏やかな笑顔でおばさんが云った。
先日の背負い投げは、すぐに地元のニュースで流れた。私は報道機関からコメントを求められた。顔と声を出さない約束で、コメントを提出した。
「毎日筋トレをやっています」とだけ。それから女性の間で、筋トレがプチブームになっているとかいないとか。
ひいおばあちゃんの写真を見せてもらった。紙の写真だ。ひいおばあちゃんは、結構アナログな事が好きだったらしく、紙の写真を残していた。
ひいおばあちゃんの若い頃のファッション文化は、細身のズボンや幅の広いズボンなど、色々なファッションがあったようだ。長いコートやわざと襟を開けた着方など、今とそんなに変わらない気がする。
賑やかな写真が続いた後、シンプルな写真が出てきた。ひいおばあちゃんが若い頃、猫と一緒に写っている写真だ。
「あれ、ロメリア?」写真の中の猫は、ロメリアに似ていた。
「美由、ロメリアを知っているの? そうよね、親戚で飼っている猫は、皆うちから産まれた猫だからねぇ」おばさんが云った。
そうだったんだ。私が昔飼っていた猫も、此処から貰ったのか。
私が昔飼っていた猫の名前は、ブルーベルと云う。花言葉は【変わらぬ心】
ロメリアとブルーベルは……孫? 孫の孫? よく解らないけれど、そういう関係だったのか。
「もうすぐお正月だから、又すぐに来るね」おばさんが嬉しそうに云った。そうか、来週はもう、お正月か。二十二世紀だ。
寒いけれど雪は降っていない。わざと一駅分、歩いて帰る事にした。
「ロメリアは、ひいおばあちゃんの猫だったんだね」
ロメリアは、何も言わずに笑顔で浮いていた。何だか嬉しそうに見えた。多分。
百年後と百年前 青山えむ @seenaemu
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