第2話 コーヒーカップ(2)

「何、うれしそうにしてるんです?」サキちゃんが笑う。

「漏るからよ」呆れたようにテラスさんが答える。

「漏るとうれしいんですか?」

「そ、この人はね」

「???」

「だって漏るんでしょ?」イタリ氏は興奮している。

「漏らないわよ」

「漏るって、さっき」

「漏るコーヒーカップおもしろがる酔狂なのはあなたくらいなもんよ」

イタリ氏はまじまじとカップを見つめたままテラスさんの声を聞いている。

「だいたい、サキちゃんがくれるカップが何で漏るのよ」

「ああ、そうか。そうだね」

イタリ氏の悲嘆の声にサキちゃんは同情したがテラスさんは一向に平気である。



つづく


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

カフェ ブルーム 板里奇足 @itarikitari

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る