夕闇の誓い

優。

01 夢

「マフラー、貸してあげる」

 私は得意げにそう言い放った。

 他人から見れば、きっと酷い顔をしていたことだろう。

「別にいらないな」

 必要ないと言われ、得意げになっていた私の気分は一気に乱降下した。


 ◇


「僕は夕のことが大好きだッ!!」


 大声で告白しながら彼は私をまっすぐに見つめていた。

 恥ずかしくないんだろうか。周りには誰もいないけれど、真っ赤な夕日が彼の顔を染めていて、彼が赤面しているように私には思えた。

 

「……あたしも悠耶のことが、――好き」

 答えたはずの言葉はとても小さくて、きっと彼には聞こえていない。

 

 ◇

 

「いこう!」

 私の手を掴んで悠耶は駆け出す。まっすぐな彼に流されてばかりだけれど、

 あたし達はいったい、どこへ行くんだろう?

 

「……きれい」

「だね!」

 夕焼けを見る彼の眼はきらきらと輝いていて、私の手をとって、どこまでもまっすぐに進む。

 かっこよくて、大好きな幼馴染。そんな風に思っていたんだ。

 

「夕。君は僕が守るよ。だからずっと一緒いてほしい」

「……」

 まるでおとぎ話のような展開で、ああ……そっか。


 私は答えることができなかった。

 

 ◇

 

 …………。

 これは、夢。

 

 ◇


 醒めた現実で、私は抱き枕をきつく抱いていたことに気付いた。

「……悠耶」

 ぽつりと呟く。

 

 答えてくれる彼はそこにはいない。

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夕闇の誓い 優。 @renren334511

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