トキメキ★平成浪漫

第4話 “キ★”

「リサぁ？」

聞き覚えのある、間の抜けた声。

見渡す限りに広がるラベンダー畑。

どうやら現実世界に戻ってきたらしい。

「ねぇ、聞いてる？」

「うん、聞いてるよ」

私はユイカに向き直り、はにかみながら切り出した。

「ね、ユイカ。私達もラベンダーソフト食べよう」

「え？さっきいらないって言ってなかった？」

「気が変わったの。もしかしたら物凄く美味しいかもしれないし、私もたまには冒険してみようかなって思って」

ユイカはちょっと意外そうな表情を浮かべ、それからにっこり笑って頷いた。

ラベンダーソフトを舐めながら、二人並んで花畑を眺めた。

鼻に抜ける優しいラベンダーの香り。

「綺麗だね」

ユイカが呟く。

「うん」

私は深く頷いた。

目の前に広がるのは、もう灰色の風景などではない。

色鮮やかな、美しい紫の絨毯だった。

《了》