現代ダンジョンで女体化して人助けするのが楽しくてやめられない

ダンジョンが発生するようになった現代日本。

そこでのみ産出される通称魔石と呼ばれる鉱石を目指して日々ダンジョンにもぐるワーカー。

その一人、廿日(はつか)は今日もダンジョンに潜る。


レベルがある

レベル5毎になにかしらのスキルが得られる

レベル10でアイテムボックス、レベル20で鑑定のスキルが確定になっている。


廿日は5で毒耐性、レベル15で軽業を得た

いつも森林エリアでオオグモや獣を狩る日々

蜘蛛や蛇と言った毒を持つモンスターは嫌われ勝ちだが、逆に奪い合う相手もいないということ。毒を持つモンスターにも果敢に立ち向かい、手に負えなさそうなモンスターからは簡単に逃げ出せる。

自分の戦い方を編み出し、安定して稼いでいた。

冒険者になって五年。

ようやくレベル25になる。そこで得たのは「女体化」だった。


使ってみたら面白かった。

姿かたちが大きく変わるが、力やスキルはそのまま。

自分でも鏡で見惚れるくらいの顔立ちとスタイル。

今までの自分と違うことができるかもしれない。


衣装装備を一新

アイテムボックスで早着替え、軽業で身軽な動き

5年間で培った知識や、土地勘で様々なところに出没、注目される。

人助け(捜索や救助、依頼)で活躍する。

正体を隠して活躍するうちに話題になる。

名前「シルクスパイダー」


メディア・好事家などから追いかけられる、付きまとわれる、探られる


正体に気付いても、協力してくれる受付嬢

でも、暗に指示を出してくる。



今まで味わったことの無い達成感と爽快感で過ごす毎日。しかしある日、受付でダンジョンの異常事態を知る。

低位層でそこにはいないはずの強いモンスターが出没するようになった。

何人もが犠牲に。廿日も襲われている冒険者を助ける。討伐はできなかったが、鑑定はできた。

正体は毒を持つ大型ゴブリンとわかる。

討伐隊が編成される。

廿日は自分では勝てないと考え、討伐隊に参加しない。


受付嬢と会話

なんで「シルクスパイダー」になったんですか   うるさい

なんで「シルクスパイダー」を続けたんですか   関係ないだろ



いつもここから出ていく人たちも、いつか突然にいなくなるのです。

そんな人たちを何人も見てきました。誰一人失いたくない。

死ぬ可能性は知っています。それでも助けを請わざるを得ないのです。

お願いします。

あなたの力を貸してください。


助けてください廿日さん




森林エリアでの戦闘。

ゴブリンの毒と力で押され気味の討伐隊。

木々が邪魔で動きが取れない。

毒があって近づけない。毒耐性でも防げない。

数種類の対策準備はあったが想定以上の知性で回避される。

討伐隊に最初の犠牲者が出ようとした瞬間。

ゴブリンの頭上から岩が落ちる。ゴブリンに大ダメージ。

木の上からアイテムボックスから出した岩を投げつけたのはシルクスパイダーだった。


初めて会ったときは勝てないと思った。でも。

森林エリアなら、周到な準備をしたなら、倒す意思がある今なら。


木々の間を縦横無尽に跳びまわり、枝とゴブリンにロープをかけていく。

身動きできなくなったゴブリン。

「トドメを刺すんだ」

討伐隊が倒す。いなくなるシルクスパイダー。


次の日、受付で呼び止められる。

いやー、廿日さんがシルクスパイダーさんと知り合いで、すぐに連絡してくれて助かりましたよ。おかげさまで討伐隊の犠牲者はゼロ。被害も軽微。ホント感謝感謝です。まあ、魔石の査定は変わらないんですけど。

……ここからは聞いた話ですが、シルクスパイダーさんの顔写真や、姿をとらえた写真があれば高値で買おうという週刊誌があるようです。もしもですよ。シルクスパイダーさんの独占写真などを撮ることができれば、私に一声お願いします。情報元は伏せたままで取引ができますよ。

こほん。それでは廿日さん。今日も行ってらっしゃいませ。


ああなんと充実した日々だ。

これだから人助けするのは止められない。




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