出会い系サイト

黒羊 鈴

出会い系サイト

これは一人のモテたかった男の本当の話。


『なぁアオイ』

『なんだよ』

『俺ってどうよ?』

『なんだよ気持ち悪いやつだな、んーマモルは顔も良いし運動できるし勉強もできるし怖いもの知らずって感じだな』

暑い部屋の中で俺とアオイは携帯ゲームをしながらこんな会話をしていた。

暑さのせいか褒められてもマモルは何も言わずただゲームに夢中になっている。

『どしたんだよ』

とアオイが聞くとマモルは急にゲームをやめ、

『じゃあさ、なんで俺今男二人でゲームしてんの?』

『なんだよ、俺じゃ不満か?』

と呆れながらアオイは答えた。

マモルは少し間を空け急に叫んだ。

『あぁー!!!彼女が欲しい!!!!』

そう。俺は正直カッコイイ。イケメンで運動も勉強もできる。だが一つだけ弱点がある。女子と話せないのだ。

『じゃあさ、これすれば?』

アオイは自分のスマホの画面を俺に押しつけてきた。

『出会い系サイト』

そうだ、これだ!これなら女子と話せる。会話ができる。つまり。彼女ができる。

アオイと解散したあと、すぐに俺はそのサイトに登録した。特に個人情報も出さずにできるため安心してできる。唯一必要なのは本人の顔写真のみ。

登録してから俺の携帯の通知は鳴り止まない。さっきも言ったが俺は見た目だけならカッコイイ。つまりこのサイトだと無敵なのだ。しかもこのサイトの子は基本可愛い。たまにとんでもない勘違いがいるが無視すればいい。このサイトだと女を選ぶことができる。メッセージでのやりとりをちょっとしただけなのに簡単に告白される。いい気分だ。

山ほどのメッセージの中なぜか一人で目に止まった。特別に可愛いわけではなく、化粧も濃い。ただどこがで見たことある気がする顔だ。お話しませんか?と来ていたが無視をし他の女とのやりとりを楽しんだ。

いつものようにアオイが俺の家に迎えに来て登校している時の話題はもちろん出会い系サイトの事だった。

『彼女できたか?』

アオイはおちょくるように聞いてくる。できてないわけがないだろう。こいつはバカなのかと思いながらも

『できたよ、何人いるかわかんないけど』

と笑いながら自慢してやった。ほらこんなにメッセージ来てるぜと嫌味のように携帯を見せてやった。するとアオイは

『気をつけろよ』

とだけ言って自転車を飛ばした。せっかく自慢したのに珍しく褒めてこないシンジにムカついたがそんなことも気にせず俺はまた出会い系サイトを開く。するとまた昨日の女からお話しませんか?とメッセージが来ていた。仕方なくメッセージを返してやった。


俺はこのサイトにどハマりしてしまった。現実ではありえないほどモテてしまう。実際に可愛い子と何度も会い何人もデートをした。いつものように家に帰り携帯を見るとこの前の女だ。こいつに関しては可愛くはないし化粧も濃い。もちろんデートなんてありえない。唯一いい所は俺とやるゲームが同じということくらいだ。今日女は急に告白をしてきた。僕はもちろん断った。にも関わらずまた同じメッセージが来たのでブロックし、女との連絡をやめた。そしていつものようにサイトで女と遊ぶ。

次の日の朝はなぜかアオイが迎えに来なかった。風邪でも引いたのかと思い、特に何も気にせず学校へ向かい普通の一日を過ごし今日もいつものようにサイトを開く。するとまたあの女から告白のメッセージが来ていた。ブロックしたはずなのになぁと特に気にせずまた無視をしブロックした。そしていつものようにサイトで女と遊ぶ。

次の日の朝もアオイは来なかった。アオイは何日も学校を休むようなやつではないから時間ギリギリまで待ったが来なかった。仕方なく今日も一人で学校へ向かった。いつものように普通の一日を過ごし今日もサイトを開く。するとまただ。昨日の女からメッセージが来ていた。確実にブロックした。アカウントを変えてわざわざ連絡をしてきたのだ。少し怖かったが特に気にせず、いつものように女と遊ぼうとした、するとまたあの女からメッセージが来たのだ。勇気を出してやめて下さいとはっきり伝えた。少し遅れて返信が返ってきた。と思ったら俺の住所を送ってきた。なんで知ってるんだ?このサイトを登録する時にそんなもの書いてないぞ?怖くなり次はブロックをした。が次はこのサイトで知り合った彼女との写真が大量に送られてきた。それも遠くから盗撮しているものばかり。怖くなりスマホの電源を切った。今日は寝る。しばらくサイトは使わない。そう誓ったが非常なことにスマホの電源を切ったのに女からのメッセージは止まらない。もうわけが分からない。サイトを開くのが怖いが不安で眠れなかった為、メッセージの確認だけをした。そこにはなぜか俺とアオイのツーショットが送られてきた。意味がわからなかった。俺に考える余裕はなく携帯を投げ、すぐ布団に入った。2度とこのサイトは使わない。そう誓ってた後俺はいつの間にか寝ていた。

次の日の朝。恐る恐るサイトを開くとメッセージはなかった。これで解決したと思い、いつものようにアオイを待って学校へ行く。少し待っても来ないのでもう行こうとした直後にアオイは遠くから俺の名を叫んだ。

『体調は大丈夫なのか?』

と俺は心配したがアオイは以外にも

『元気だよ』

といつものように返事をした。なぜかアオイはニコニコしていて少し気持ち悪い。

アオイは急に携帯を取り出しなにか文字を入力し始めた。彼女でもできたのか?とおちょくるように携帯を除くと見慣れた画面があった。

『お前もそのサイトしてたのかよ。そういえばさこの前から変な...』

と話し出した瞬間。俺の携帯にメッセージが来た。

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出会い系サイト 黒羊 鈴 @kokuyorin6

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