魔王の妹はいっそ遊び尽くす。
「くるしゅーないくるしゅーない」
何がなんだかよく分からないけれど今私が楽園に居る事だけはよく分かった。
「ほらシリル早く飲み物」
「はいですの♪ 少々お待ちくださいましーっ!」
「遅い! 罰として今すぐ脱げ」
「喜んでっ♪」
うむうむ。これはとても良い。
「ほらシャリィも早くこっち来て肩揉んで」
「くっ、なんで私がこんな事を……!」
相変わらずシャリィは簡単にいう事を聞かないけれどこの子はこういう所が良いんだよね。
「じゃあキャナルでいいや。シャリィがどうしても嫌だっていうからキャナルにしてもらう事にするね」
「分かりました……貴女がそう望むのなら」
「待って下さいキャナル様! キャナル様はこんな事しなくていいです! 私がやりますから!」
「あ、そう? じゃあ早くしてくれる? ほらはーやーくー」
「くっ……この屈辱は忘れないぞ……!」
まったく可愛い奴。
こいつのイヤイヤはむしろ……。
「ひぃゃあっ!」
豪華な椅子に座りながら、背後から肩を揉んでくれるシャリィの尻を揉む。
「ば、ばかものっ! 貴様、何をしているのか分かっているのか!?」
「勿論分かってるよー? それともそこキャナルと変わる?」
「ぐっ……キャナル様が貴様の毒牙にかかるくらいなら……っ!」
ほら、こうやって結局そんなに嫌じゃないんだよねー。
「キャナルに変わるのが嫌なの?」
「む、無論だっ! キャナル様にこんな事をするなど許せるはずが……」
「そんな事言ってほんとは私をキャナルに取られたくないんじゃないのー?」
「だ、誰がっ!! 貴様私を愚弄するか!」
「愚弄? ばかだなぁ。私はシャリィが可愛いから虐めたくなっちゃうだけだってば」
「……くっ、うるさい。貴様はじっとしてろ! そして黙れ! ついでに呼吸もするな!」
あんまりな言い草に笑ってしまった。
「ほんとシャリィは可愛いなぁ」
「う、うるさいっ!」
これ以上言うと肩を揉んでる手が首に伸びて来そうなのでやめた。
「シリル。こっちきて」
「はいですの♪」
「遅い。あとなんでまた服着てるの? さっさと脱げ」
「私の服はおねぇさまに脱がしてもらう為にあるんですわ」
……なかなか上手い事言うじゃん。
「じゃあ可愛がってやるからそのままこっち来て。あとキャナルもこっち来て」
「おい貴様! キャナル様に変な事をしたら……!」
「シャリィうるさい。私はキャナルにお願いするだけだから。実際するかどうかはキャナル次第だよ。キャナルが自分で決めた事まで否定するの?」
「くっ……! キャナル様は貴様の思うような……」
「分かりました。……その、どのようにすれば……」
「キャナル様っ!?」
キャナルは何重にも重ねて着こんでいる服を一枚一枚脱ぎながら私の隣までやってきた。
「……ほら、キャナルは私に尽くしてくれるんだってさ」
「くぅぅぅっ!!」
面白過ぎる……! やっぱりシャリィをからかうのは最高だ。
例えこれが私の頭が勝手に作り出した都合のいい妄想だったとしても、私の頭が作り出したこの子達はなかなかにいい再現率だと思う。
さすが私。
アルプトラウムが何をしたのかは知らないけれど、明らかに精神感応式の攻撃だ。
どうせその人に都合のいい天国のような世界に放り込んで戦意を奪うとかだろう。
最悪、この世界から抜け出せなくなって自分の頭の中に閉じこもる人も居るかもしれない。
……もしかしたら都合のいい夢を見せるというよりも、対象の精神に一番効果のある物を見せるものかもしれないけど……私の場合完全に嬉しい内容ばかりだから検証のしようがないかな。
私の場合は神器礼装によって魔法抵抗値がかなり上がっているから最初から正気を失う事はないけれど……。
おにぃちゃん達は大丈夫かなぁ?
おにぃちゃんはああ見えてド変態だからハーレムな夢見せられたらイチコロかもしれない。
……でもよく考えたら今もあんまり変わりないかも。
だったらそんなに心配いらないかな?
なら私ももう少しの間この世界を楽しんでいこう。
そんな事を考えているうちにキャナルがほぼ全ての服を脱ぎ棄て、私の膝の上に座る。
「貴様……! キャナル様に変な事をしてみろ……! 貴様の首を掻き切ってやるからな!」
「シャリィ……そんな事いって……本当は今キャナルから目を離せなくなってるでしょう?」
「ば、馬鹿な! 私は、キャナル様をそんな汚れた目で……」
「あーそう? キャナルの裸は綺麗じゃないって言うの?」
「そ、そんな事は無い! とても美しい!」
簡単に語るに落ちる所もシャリィの可愛い所だなぁ。
「ほら、自分に正直になりなよ。本当はキャナルに触れたいんでしょう?」
「そ、そんな……事は……」
顔を上に向け、シャリィの顔を覗き込んでみると案の定真っ赤になって苦悶の表情。
「ほら、キャナルからも聞いてあげなよ」
「……シャリィ? 貴女が私に触れたいのなら正直に言って下さい」
「そ、そそそそれは……ッ」
「ほら、シャリィ。キャナルが聞いてるよ? 嘘をつくのは不敬だよ?」
シャリィは私の期待通りの反応をしてくれる。
シリルのように一途になんでもしてくれるタイプとは違った良さがある。
あぁ、アルプトラウムもなかなか面白い事をしてくれたものだ。
「わ、わ、私……は……」
「シャリィ、分った。それ以上言わなくていいよ。その代わり……今からみんなまとめて可愛がってあげるから……本当に嫌だったら力の限り抵抗して」
「そ、そんな……」
「シャリィ、ショコラ様の言う通りに」
「そうですわ♪ 嫌なら抵抗すればいいんですの」
シャリィの両脇をキャナルとシリルががっちりと固める。
「さぁ、時間はあまりないからね……ちょっと乱暴になるかもだけど、シャリィってそういうの好きでしょ? だからいいよね?」
「ばっ、そんな訳……やっ、やめっ……!」
その声とは対称的に、【嫌】の合図である激しい抵抗は無かった。
そしてひとしきり私がスッキリした頃、目の前が明るくなっていく。
きっと私がこの世界に満足したからだろう。
意外と簡単に脱出できるザル仕様だなぁ。
この戦いが終わったらシャリィの所に行って同じようにしてやろう。そうしよう。
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